第14話 邂逅⑧
「全然反応ねえ..............」
あれからというものレーダーの反応を探るように散策したが全く成果は得られてなかった。
レーダーだけでなく己の霊的感覚でも探ったのさが夕方の静寂と同化するかの如く見つけられなかった。
黒猫から妖怪には”思念型”と”受肉型”に分かれており、肉体もしくは器に値する無機物などを持つのが”受肉型”、肉体を持たず霊力でそのまま構成されているのを”思念型”と分類されるのを聞いていた到真は受肉型ならいざ知らず、思念型なら見つけられるかな~、なんて考えもしたが結局見つけられることはできなかった。
夕日を夜の帳が覆いつつあるのでいったん切り上げて夜に場所は変えどもう一度探そうとした時だった。
「あ!ようやく反応出た!」
レーダーに点が浮かび上がったのだ。点自体は小さいものの歩き回ってようやく出た反応に到真はゲーム好きの子供が新作ゲームを買いに行くかの如く駆け足でその地点へと向かった。
反応が出た場所は小さな公園であった。
レーダーを懐にしまい細かい草木といった所もかき分けて探す。
「そこか」
茂みが動いたのでそこをかき分けるとまたまた小さな猫がいた。
最も黒猫のような気配もなく仮に妖怪であったとしても低級、そうでなかったらただの野良猫のはずだがしっかり綺麗に毛並みが整えられていてかつ首輪がつけられていたことからも十中八九飼い猫だろう。
残念がりつつも交番に届けようとした時だった。
「ッ」
自身の堪に従い公園の中央へとバックステップする。
その直後に周りの景色が歪んだと思いきやさっき到真が立っていた場所に黒い大蜘蛛が現れた。よく見ると猫には細い糸が巻き付いておりその糸は蜘蛛の下へと伸びている。
巻き付いてた糸を魔力を込めた手刀で切り裂くとまきついていた糸は消滅した。
にも拘わらず大蜘蛛は困惑もなくただ到真を餌として見ていた。
「なる。誘っていたわけね。確かに一般人ならこのまま喰われてたかもな。」
何の困惑もなくスマホを弄る到真。電波は遮断されており先の景色が歪んだときに結界でも張ったのだろう。
大蜘蛛はその行動に怒りもなくただ捕食しようと迫った。
トラックと思わせる勢いで突っ込む大蜘蛛だが何の構えもせずに到真は佇みその拳でパンチを放った。
ドパッン!と水風船が割れるような音と共にパンチを受けた大蜘蛛はバラバラになり霧のごとく虚空へと消え去っていた。その光景をただ到真は見て
「................いや、弱すぎ。マジで?これで死ぬか普通」
到真にとっては拳に薄膜のように魔力を込めただけのパンチだったが、致命傷となってしまったようだ。せっかくの遭遇なのにこれでは下手に手出しできないではないか。
「時間の無駄だったか。帰えr」
そう言い振り返ると振り向いた先には昼休みに話したツインテール金髪美少女、雷崎鳴がいた。その驚愕の様子から先ほどの出来事も目撃してしまっていたようだ。
「「............................................................」」
両者に少しばかり沈黙の時間が流れた。
気まずい空気になる中、到真は呼吸を整えて
「HAHAHA。雷崎さんここで会うとは奇遇ですね。アッ、僕猫を交番に届けて保護してもらわないといけないのでソレデハ!」
「待ちなさい」
シュバ!と切り返して現場離脱を優先しようとしたが肩をがっしりつかまれてしまった。その手には絶対逃がさないという念が込められているとはっきりわかるほど力強かった。
「少しお茶でもしないかしら?」
「いや僕そろそろ帰「付き合ってくれるよね?」.....ハイ」
YES以外認めない圧力。果たして到真はどうなることやら。




