目覚め
俺は自分の夢を語り始めた。それは夢の世界から目覚めたことを意味する。
週に一度の戯れの最中に我に返る。
魔法が解けた。もう夢の世界にはいられない。
それを誤魔化すように熱く語る。
夢が叶えばもっと具体的な夢へと変化していくのだろうな。
彼女たちと戯れたいから彼女たちを屈服させ意のままに操りたいへと。
もちろんそれだけではないが。
「先生考えないで。今は何も考えてはダメ」
今は考えるのではなく感じるべきだと主張する長女。
「そうだよ。疲れてるの? 考え過ぎないで」
二女の指摘通り俺は考え過ぎなんだろうな。でも考えない訳にもいかない。
「いやその…… 変かな? 」
「リラックス。リラックス。ほらゆっくり解放して。
いつものように思いっ切り解放するの! 」
くそ…… まるで偉い先生様だよ。俺よりよっぽど説得力があるじゃないか。
これでは立場が逆転してしまってる。
俺は一体何をしてるんだ? せっかくの金曜日の夜。
おかしな考えを捨て楽しまなければ損。白けるばかりなのに。
分かってるんだけどどうしても気になる。もう止まらない。
夢が叶った時俺はどうなってしまうのか? 俺たちはどう……
不安なんだ。どうしようもなく不安でたまらない。
夢を見続けることを止めた時すべてを失う。そんな気がする。
男なら誰しも一度は考える心の奥の奥に仕舞い込んだ夢。
そんな夢を叶えるために俺は何をどれだけ? 誰をどれくらい犠牲にするのか?
やはり夢は夢のままであるべきなのかもしれないな。
いたずらに夢を追いかければ逆に夢に追い立てられすべてを失うことになる。
あまりに抽象的な話。誰にも理解してもらおうとは思ってない。
「ホラ来なさい。もう困った子なんだから」
結局俺は命じられるままに動いてしまう。
命じられるよりも命じたい。そんな強い思いに駆られる。
学校では教師と生徒。顧問と部員。
ここでは逆に支配者と服従者の関係。
言葉を交わす時だけ先生と生徒に戻る。
最初はそれが新鮮だった。でもそのうち息苦しさを感じるようになった。
もちろんこの関係を続けるのは嫌と言う訳ではない。
一週間に一度のお楽しみを失いたくない。
だから無理して我慢してる。でももう限界かもしれない。夢から覚めたのだから。
いつの間にか思い描いてしまっている。
上位に立ちたい。下位は嫌だ。
下位よりも上位に。立ちたい。立ちたい!
不利な態勢ではなく有利に立ちたい。立ちたい!
「どうだ気持ちいいか? 」
「まだ…… 」
「これならどうだ? 」
「うんもう少し」
「気持ちいい? 」
「ダメ! まだ…… 」
「おかしいな。こんなものでどうだ? 」
「いい。これでいい…… 」
「ほらな。俺はすごいんだから」
「あああ…… 」
「どうだ見たか? 俺は凄いんだからな」
「もう調子に乗って…… 自慢は良いからこっちもお願い」
「悪い…… 少し待ってくれ。ははは…… 情けねえや」
「待て? 待ってて言うの? 無理に決まってるでしょう! 」
「仕方ないな。だったら動かずにじっとしてろ! 」
「刃向かう気なの先生? ああ…… 」
これで満足だろう。
「どうする今日は? 」
長女は自分で決められない。ははは…… 可愛いものだ。
「そうだな…… 暗闇モードで頼む」
すぐに真っ暗闇に。うん。これでどっちがどっちか分からなくなったぞ。
「はい寝ましょうね」
「うわ待ってくれ! 」
第一ラウンドが終わりすぐに第二ラウンドへ突入。
「おやすみ」
果てた二人は夢の世界へ。
何だかんだ言いながらまだまだガキだぜ。寝ちまいやがった。
俺を信用していいのかな?
ああ……俺もそろそろ限界だ。もう眠いや。
寝息を立てる少女たちに囲まれ夢の国へ。
こうして夜は更けて行った。
翌朝。
早くに二人が出て行く。
土曜日になると人が変わったように冷たい態度の二人。
昨晩のことが嘘だと思えるほどの豹変ぶり。
どうしてこんなにもクールでいられるのか?
「なあもう少しいいじゃないか? 昨夜の続きをしようぜ」
我慢出来ずに長女の腕を引っ張る。
だが抵抗を受けて断念。
「先生もしつこいね」
二女がからかう。
「お前でもいいんだ。相手にしてくれよ」
「ダメ。もう土曜日だよ」
それは見れば分かる。だが一週間お預けを喰らうこちらの身にもなって欲しい。
お前らはいいさ。好きなようにやってるんだから。俺は…… 俺は……
無理矢理説得するも聞く耳を持たない。
成功した試しがないが僅かな望みに懸ける。
「行かせないぞ! 」
「先生しつこい! 」
「なあ良いだろ二人とも? そんなクールにならずに人助けだと思ってさ」
「ダーメ! 」
懇願するが当然受け入れてはくれない。
続く