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祝い酒

お別れの挨拶。

「アークニン博士の願いを胸に行って参ります」

「うん。それでいい。お土産ぐらいはもらうからな。ははは…… 」

ようやく異世界がホラでも夢物語でもないことが分かった。

俺は今猛烈に感動している。

「では健闘を祈る。私も研究に忙しいのでこれで失礼するよ。

後は館長に頼むといい」

「ありがとうございました! 」

全員で感謝の気持ちを伝える。

「うん。頑張れよ同志たち! 」

「はい! 」

館長に最後までお世話してもらいお土産を買い足して博物館を後にする。


さあ帰るか。

一時はどうなるかと思ったがどうにかアークニンの館から脱出することが出来た。

魔王アークニンを倒した一行はついに異世界の扉を開くのだった。

アークニンも反省し心を入れ替え元の心優しい博士に戻った……

おっとつい調子に乗ってふざけ過ぎた。

アークニンには本当にお世話に。貴重な情報を提供してもらった。

感謝しても感謝しきれない。

仮に異世界があろうとなかろうと少なくても旧東境村にはたどり着きたい。

それがアークニンとの約束でもある。


「うわ…… 忘れてた! これ返さないと…… 」

どうやら夢中になるあまり部長が無断で持って来てしまったらしい。

「馬鹿何やってる! いいからは早く返して来い! 」

慌てて走っていく。

「待て! やっぱり俺が返してくる! 」

まだ完全にアークニンを信用してない。

一人で行かすにはあまりにも危険過ぎる。


「これは銃? 」

「はい何でも異世界で使われているそうです」

ふふふ…… 純粋だな。どうせ奴が適当に作ったものだろう。

これなら返さなくてもいいかな? 

「何でも人に向けるもので一瞬で現在の危険度を測れる装置だそうです。

これで体調も分かるそうです。色分けされていて赤は危険。黒は超危険」

リンゴの時計みたいなものか。

「それで試したのか? 」

「いえ危ないので使うなとなってましたのでまだ…… 」

本当に好奇心旺盛な生徒たちだ。これは暴走するな。しっかり教育をしなくては。

「よし俺が返してくる。ミホ先生後をお願いします」

まったく余計な手間増やしやがって返さないと窃盗になってしまう。

いくらゴミでも無断で持ち出せば窃盗。


うん? 誰か来る?

「おーい! おーい! 」

アークニンだった。ちょうど良い。奴で試してみるか。

銃を向ける。

うわ…… 真っ黒だ。これは体調? いや危険度マックスってか。

「先生…… 」


「おお。まだおったなお前たち。これは私からの餞別だ。受け取ってくれ! 」

アークニンが息を切らして駆けてくる。

「これは? 」

「酒だ! 異世界にたどり着いたら空けてくれ。祝杯だ! 」

酒って未成年が大半なんだぞ。分かってるのか?

「おう。その顔は文句があるな? なに祝杯だから堅いこと言いっこなし」

「では有難く頂きます。発見した暁にはこれで祝杯を挙げさせてもらいます。

本当にありがとうございますアークニン博士! 」

礼を述べる。

「気をつけるんだぞお前たち! 」

「分かりました。それでは」

お別れの挨拶を終え奇妙なアークニンの館を後にする。


昼は物凄い暑さだったが夕方になり気持ちの良い風が吹いて来た。

もう間もなく夕暮れ。ほら辺りもだいぶ暗くなってきた。

これは急がなければ真っ暗になってしまうな。

急いで帰るとしよう。


一行が駅に着いたのは午後九時近く。

「お疲れ様でした」

こうして社会科見学を終える。


<社会科見学> 完


新章スタート。


<旅立ち>


アークニンの館訪問後も日常は続いていた。

月曜日はタピオカ部と異世界探索部を見ている。

何てことはない夏合宿直前の打ち合わせだ。

夏休みに入り学校へ来るとは立派な心がけだ。

俺も本当は休みにしたいんだけど気合いの入ってる部員を無視できない。

それを言えばほぼ毎日来ている運動部には顧問も含め恐れ入る。

文化系だから楽でいいんだよな。

無理せずゆっくり楽しく活動出来ればと思っている。


ZERO館は今日も平和だった。

タピオカ部二泊三日で台湾旅行。

豪勢な旅行になりそうだな。

俺も出来たらついて行きたかったがスケジュールの都合上無理。

だからミホ先生に引率を任せることに。うーんやっぱりもったいなかった。

サマー部にタピオカ部、異世界探索部と三つも掛け持ちしてなければ……

誰にぶつければいいのかこの恨み節。当然スケルトンだろうな。


タピオカ部ほぼ全員の参加が決まった。

ただ幽霊部員と大怪我で入院中の二人はまだ分かってないらしい。

部長が言うには今年も不参加だろう。

せっかくの台湾旅行なのにもったいない。


                 続く

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