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エロ親父

博士よりも若く研究熱心な助手。博士の右腕とも言われる人物。

「おい余計なことをベラベラしゃべるな!

君はそう言うところが軽いと言われるんだ。いいか肝に命じろ! 」

ご立腹の様子のアークニン博士。

客がいる前で叱責するのは少々大人げない気もするが。


「申し訳ありません博士! 」

「ほら質問があるそうだぞ。しっかり子供たちに答えてやれ。

もちろん余計なことは言うんじゃないぞ」

専門家にとって他言無用なことも当然あるだろう。

それをうまく取捨選択し伏せるのも助手の仕事。

彼はそれを疎かにし余計なことを喋ってしまった。

これでは博士から叱責されるのも当然である。

偏屈な博士のお世話係の哀れで気の毒な助手。

とは言え助手としての振る舞いがなってなければ信頼を失う。


どうやら異世界に関するとんでもない発見があったのだろう。

それを肌で感じ取るが具体的にはよく分からない。

俺たちに教えるつもりはサラサラないらしい。

ケチだと罵るのは簡単だが上手く聞き出すのもテクニック。

しかも実はアークニン博士も話したくて仕方ないのだろう。

ほらウズウズしてるしな。さあどう聞き出そうかな?

うん? 違うぞ。何か別のことに関心があるらしい。


「おい青井君。どうだね…… 」

未だに俺から個人情報を得ようとしてる。姑息な奴だ。

だが俺にだって踏み込めない領域もある。

「そんなこと知るかよアークニン! 無茶ばかり言いやがって!

いくら俺が顧問でも生徒のプライベートなことまで把握してるはずがない。

ましてやミホ先生のことまで…… 推測の域を出ない。本当にもう恥ずかしいな」

アークニン博士は一体何を考えてる?

これでは高名な学者と言うよりただのエロ親父だ。

人は見かけによらないと言うがアークニンの場合は見かけ通り。

もうこれ以上付き合いきれないよ。


「そんなに恥ずかしがるなって! 大事なことだと言ったろう?

もうお前では話にならん! 直接聞いてやる」

狂ってしまったアークニン博士。

直接聞いたって答えてくれるはずがないだろう。

それなのに照れることもなくミホ先生を捉まえる。

あーあもう知らない。

うん? さすがのアークニンも躊躇ってる様子。

どうすればそのようなことが聞けるのか? その神経を疑うレベル。

俺だって本当は知りたいよ。でも知りたくない気も。

そもそも正直に答えてくれるはずがないだろ?


愚かな行為をしないよう釘を刺す。

「そんなこと誰が答える? 生徒にもミホ先生にも手を出さないでもらいたい。

今までの功績に傷がつくことになるぞ? 」

異世界研究などと言う異端な学問とは言え高名な学者に変わりはない。

今までの功績を捨ててまで暴走することもないだろ。


「どうしたんです二人とも? 」

俺たちの不穏な会話にミホ先生も黙ってない。

「いや済まない。どうやら誤解があったらしい。そうだ皆食事にしないか?

君たちの為に特別に料理を用意してあるんだ。腹が減っただろう? 

食事が済んだら併設してある博物館にも案内してやるからな」

食事で誤魔化したな。俺だってハラハラドキドキだ。

当然生徒たちは大喜び。

「ありがとうございます。何から何まで」

ミホ先生も遠慮気味に応じる。

「これも好きでやってるのだ。さあさあ遠慮せずにどうぞ」

ラッキーと大騒ぎ。

生徒たちは浮かれているが俺には嫌な予感しかしない。

取り敢えず相手の出方を見るとするか。


ピカピカの食堂に招かれる。

まだ一年も経ってないらしい。

新しい食堂が出来るまでは出前に頼り切っていたと。

アークニンが機密情報漏えいを警戒するあまり利用を控え他の者が困ったそう。

何と言っても近くに食堂もカフェもなく近くても車で三十分は掛かるらしい。

コンビニだってないのだから無理がある。

でも博士は頑なによそ者を入れようとしない。

弁当も面倒と言うことで食堂室を作ったらしい。

そこには信頼の置けるスタッフが常駐。これにより食事の悩みが解消された。

去年のことだそう。

ただずっと出前の方が経済的にはお得なはず。

博士の判断はあまりにも独特。

誰も寄せ付けないアークニン博士の人隣りが分かるエピソード。


              続く

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