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ラボ見学

アークニンの館の後方にはラボがある。

そこでは異世界に関する研究が進められている。

隣には小さな博物館まで。


アークニン博士の密かの企み進行中。

「いいかよく聞け皆! あれがついて行ってはいけない人間の見本だ。

下手すると精気を吸い取られるかもしれない。勝手な行動は慎め! 」

「はい分かりました! 」

「それから前にも言った通り単独行動は控えろ。これは冗談ではない! 」

釘を刺してからラボへ。


「うわすごい! 興奮するな」

生徒たちの笑顔が弾ける。さっきまで動けなかったのが嘘のように足取りが軽い。

まったく単純な奴らだぜ。

「ほれこっちだ」

アークニンは話があるのか俺の後にピッタリつく。

仕方なくミホ先生に生徒たちを任せゆっくり歩くことに。


「何だよ? 用があるんだろ? ラボを荒らされても知らないぞ」

「大丈夫。助手がいるから放って置いても構わないさ。

それよりもお前の話は本当か? 」

ぼそぼそ耳元で囁くので気持ちが悪い。

「おい聞こえない。はっきり言えって! 」

「だから処女って本当か? 」

柄にもなく赤くなりやがった。うわ見てられない。

「はあ何をおかしなこと言ってるんだ? 」

俺は一言だって…… まだ結婚してないとだけ。確かに女子高出身で真面目だし。

もしかしたらあるいは……


「だから彼女が処女か聞いてるんだろうが。はぐらかすな! 」

最重要事項らしい。気持ち悪い野郎だな。いつも何を考えてやがる?

「彼女が…… 処女? 知るか! 」

確かに含みを持たせたかもしれないがだからって喰いつくか?

「大事なことなんだ! 早く答えろ! ミホさんは? ミコ君は? 」

うわ…… もう信じられない。たとえそうでも言えるかよ。

俺は奴から守る義務がある。それは生徒ばかりではなくミホ先生も。


「先生! 博士! 凄いですねこれ。一体何ですかこれ? 」

生徒たちが騒ぎ出す。

「それはな異世界に通ずると言われる…… おっとこれ以上は教えられん。

どうしても知りたければ異世界に関する情報と交換だ」

セコイ真似を…… この世界もどうやら甘くないらしい。

どうやらアークニンは異世界発見に情熱を傾けるあまり攻撃的になってるらしい。

俺たちが先に異世界を発見するのが面白くないと情報を公開しない。


どんだけの確率だよ? 専門家と素人だぞ?

こっちは高校のクラブ活動だと言うのに心が狭い。

だから付き合いは最小限に留めておくべきなのだ。

そもそもいい大人が異世界を発見しようと研究すること自体狂っているのだ。

異世界は心で感じるものであり実際にはいけない。それが異世界だろう。


「はい分かりました。ありがとうございます」

素直な生徒たち。可愛らしく思えてくる。

アークニンのような心の狭い人間になってはいけない。

こう言う最低な大人もいると分かっただろう。

俺が指摘せずとも感じ取ってもらいたい。

これで少しはこの訪問にも意味が。


「うわ! 凄い…… 」

ミホ先生も生徒たちに混じって目を輝かせている。

おいおい子供じゃないんだからさ。

「先生こっちこっち! 」

「ミコちゃん。はしゃぎ過ぎ」

ミコ先生まで我を失ってもう子供だよ。

ミコも喰いつきがよくいつものような冷静さが感じられない。

魅了されてしまってる。見たことのない表情のミコ。

それだけでもここに連れて来た甲斐があるというもの。

普段は絶対見せないであろう明るいミコ。

それ以上に強い関心を示したのは部長。

異世界探索部の部長だけあって熱の入れようが違う。

熱心に質問を繰り返す。そこに助手が答えて行く。


「この生物は? 」

「ああ生きてるよ」

「信じられない! 何だこれ? 」

「いやもちろん冗談だよ。これは異世界から連れて来たと言われる生物。

その化石だね。何百年も前から異世界人がおり偶然発見した代物らしい。

そう言い伝えられてはいるが恐らく宇宙生物か何かではと僕は推測するね。

この世界には存在しえない生物だからね。そうですよね博士? 」

博士よりも随分若く研究熱心な彼。博士の右腕とも言われてる人物。

「おい余計なことをベラベラしゃべるな!

君はそう言うところが軽いと言われるんだ。いいか肝に命じろ! 」

ご立腹のアークニン。


せっかくの社会科見学なのに了見の狭い博士によってぶち壊し。

どれだけ器が小さいんだアークニンはよ。

考えてることと言ったら女のことばかり。俺も人のこと言えないけど。

生徒にはもっと真摯に向き合って欲しい。

当時から何ら成長してない自称異世界研究者のアークニン。


              続く

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