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アークニン博士の密かな企み

アークニンの館。

予定が長引けば宿泊もあり得る。

そうなったら生徒たちに危険が及ぶのは間違いない。

「一人や二人ならラボでもどこでも泊まれるだろう。

しかしお前ら全員となると野宿になってしまうな。

キャンプも悪くないがぐっすり眠らないと疲れも取れんぞ。

お薦めは出来んな。体験するのも悪くないがな」


「どうするお前たち? 」

「それはちょっと…… 」

はっきりしないがミコ以外は反対らしい。

「まあせいぜい気をつけろ。この辺には夜行性の猛獣がウヨウヨしてるからな。

下手すれば食べられちまうぞ」

「そんなこと…… 」

おふざけが過ぎる博士と面白いように引っ掛かる生徒たち。どっちもどっちだな。

大丈夫だって。いくら山奥でもそうはならない。


「アークニン。冗談はそれくらいで。生徒が怖がるからさ」

「それから深夜零時になるとどこからともなく鐘が鳴り出し亡霊共が姿を見せる。

奴らは音に反応する。だから物音をたてないこと。そうすれば逃げて行くさ」

まだ続けてるよ。生徒たちが怖がるのを面白がってる。本当にたちの悪い

「ハイハイそれくらいでいいでしょう? 紹介しますね」


まずは副顧問のミホ先生を紹介。

「お前の女房か? 」

「違います! 」

ミホ先生が否定する。そこまで完全否定しなくてもいいのに。

「冗談はやめてくれ! まだ早い。それにミホ先生はただの副顧問で…… 」

「おおそうか。ならばここにいる者は皆資格がありそうだな。お前以外はな」

アークニンが何を言ってるのか分からずに聞き流す。

どうせつまらない妄想だろう。


「アークニン博士。この度はお招きいただき…… 」

「ミホと言ったな。では確かめさせてもらおうか」

また笑えない冗談を言うどうしようもない変態博士。

後頭部を叩きたくなる衝動に駆られる。


「アークニン! いい加減にしろ! もう帰るぞ」

「冗談。冗談に決まってるだろ青井? 真剣になるなよ。

しかし…… 皆お揃いとは。もう少し可愛らしい服にしてやればいいものを。

これだからお前はセンスがないと言われるんだ」

いきなり俺たちのコスチュームを貶しやがった。

俺だってもう少しマシなの選べたさ。しかし実践の場。動きやすさが優先される。

お洒落は二の次。それくらい分かってるくせに。

そもそもこんな危険な男の前に可愛らしいミホ先生を晒したらどうなることか。

「うるさい! 口出しするな! これが俺のやり方さ」


続いて異世界探索部のメンバー三名を紹介する。

「ははは…… 異世界探索部とはおかしなクラブ活動もあったもんだ」

「真剣なんです。笑わないでやってください」

「分かってるさ。ただな異世界探索は隠れて行うもの。

学校のクラブ活動で目立ってはこれではただのお遊びにしか見えん」

はっきりと否定する。俺たちの存在を否定されたよう。

「アークニン。それはあまりにも彼らが可哀想だ」

「知ったことか! これはお遊びじゃないんだ! 」

憤慨するアークニン博士。随分余裕がないな。


アークニンは異世界探索をフィールドワークにしている。

あらゆる文献に目を通し実際に当たりをつけて臭いところまで調査を行っている。

それを如何わしい雑誌で発表するが冗談としか捉えておらず誰も本気にしてない。

当然一度も異世界を発見できてない所謂詐欺師も同然。

その屈折した心からおかしな言動が目立ち狂人間と思われている。

未だに異世界はあると豪語する彼を皆相手にせず世間から忘れつつある。

どの世界も結果がすべて。残念だが仕方ない。

こうして異世界研究は夢物語として現在も皆から嘲笑される毎日。

可哀想な人物であるのは確か。しかしそれでも同情は禁物。

アークニン博士に近づかない。魅了されないよう強く注意する。


「そうか。お前たちも異世界に興味があるのだな? 仲間は大歓迎だ」

ようやく大人げない発言は消えた。

どうにか博士としての威厳もプライドも保たれた。

「はい! 」

皆力強く返事をする。

「よろしい。さっそくラボを案内してやろう。ついてきなさい! 」

そう言って行ってしまった。


「わーい! ラボだってよ。すっごいな! 」

部長が目を輝かせる。

「しかし部長。あの人大丈夫かな? 」

「そうだ二人とも。いいかよく聞け。あれがついて行ってはだめな人間の特徴だ。

下手すると精気を吸い取られるかもしれない。勝手な行動はとるな!

それから絶対に気を許すな。後ろも取られてはダメだ! 」

「はい分かってます! 」

返事だけは一人前。果たして本当に理解してくれたかな?

これは冗談ではないんだぞ?


釘を刺してからラボへ。


                 続く

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