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神社にて

社会科見学当日。

異世界探索部は社会科見学に向かう。

バスでゆったりがいいんだが四人ではさすがにマイクロバス使わせてくれないか。

学校集合で学校解散ならすごく楽だったんだけどな。ワガママ言ってられない。

大人しく公共交通機関を使うとしよう。

「何度も言うがお前ら失礼のないようにな。今日お会いするのは高名な学者だ。

自称異世界の第一人者。礼儀を弁えればいくら不機嫌な彼でも教えてくれるはず」

「はい! 」

部長以下皆元気一杯だ。夏休みにピクニックに行くようなものだからな。

少し見ないうちに逞しくなっている。先生見直したぞ。


異世界探索部はどちらかと言えば文化系のイメージが強い。実際文化系だしな。

薄暗い部屋であーだこうだと怪しい議論してるイメージがあるかな?

実際異世界探索部を知る者は僅か。だからイメージもくそもないのだが。

前は文化系だったのだが俺の指導のもと生まれ変わった。

ついて行けない者もおり二名ほど抜けた。

残ったのは部長とミコともう一人の計三名となってしまった。


彼らを一度や二度説得してもみた。だが聞く耳を持たない。

どうも俺が来て雰囲気が変わりやる気を失くしたらしい。

らしくなく熱くなってしまったが今思えば彼らを遠ざけてしまった原因かもな。

もちろん去る者は追わないがこちらにも事情があるのは理解して欲しい。

ただ辞められては部の存続に関わるので頼み込んで退部届は今年度末まで。


彼らが辞める理由も明らかだ。

メンバーには日課を与えたのだ。

毎日腕立て、腹筋、背筋、スクワット、反復横跳び。

各二十回。合計百回。

ランニング五キロ。

これをクリアできない者、やる気のない者、反抗する者はやめてもらった。

これは遊びではないのだ。

俺がついてると言っても少しでも隙見せればどんな危険な目に遭うか分からない。

最低限の体力作りと反射神経は鍛えておかなければ。

ランニングで足腰鍛えハイキング程度でへこたれない力を身に着けてもらいたい。

異世界探索部の顧問になってから二ヶ月が経過した。

その間日課の体力作りを欠かさないように命じた。

そろそろ体力と自信がついて来た頃だろう。

行動開始と行こう。


七月の第一日曜日、皆で決めた目的地へ向かう。

下町にある外国人観光客にも人気の神社。

都会と田舎が融合したような下町の神社でたまに一人で行くことがある。

ある意味ホームグランド。

今日も世界各国から観光客が押し寄せている。

駅から真っ直ぐ五分でごった返す。

平日も変わらずに混みあっており修学旅行生の生徒たちも見かける。

それにしても今日は多いな。

駅前通りからの人が絶えることはない。

どうやらこの日は年に一度のお祭りと重なったらしい。

ここでは珍しくない光景だが近くから出し物が。

音と共に過ぎ去っていく。


人が多いせいか動きが制限され通り抜けることさえ難しい。

お目当ての神社は十分も掛からないので迷うこともなくすぐに目的地に着く。

「よし。面白そうなのがあったら知らせてくれ」

一時間ほど自由行動にする。

これももしもの時の為。何かあってもいいように三人で行動してもらう。

少しはチームワークも向上するだろう。


異世界を探索する部活。

確かにおかしな部活だが異世界がないとは決して断定できない。

俺たちは俺たちなりに異世界を探してみたい。

部長が納得するほどの世界が広がっているといいのだが。


「よし時間だ! 皆集まれ! 」

そう言わなくても五分前には姿を見せていた。

うん。優秀優秀。団体行動の基本は時間を守ること。

まだ調べ足りなさそうな部長。

「何か発見したか? 」

「いえ手が掛かりはまったく」

残念そうに報告する男の子。

部長に感化されたのか熱心だ。ミイラ取りがミイラになったよう。

今日の探索は収穫ゼロ。空振りに終わる。

まあ俺もそんな簡単には見つけられないと思っている。

ただ何かしらの手掛かりを見つけないと完全な無駄足になってしまう。


仕方なく最後に参拝しておみくじを引く。

何卒大吉が出ますように!


                続く

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