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夏休み直前

俺の趣味は覗き? それはあり得ない。

何と言っても俺は紳士なのだから。

おかしいな。正論なのに言い訳にしか聞こえない不思議。

「先生。そうは言っても今日も現に覗かれていたではありませんか」

二女が追及。しかし俺にはまったく身に覚えがない。

帰り道の他愛もないお喋りのはずが俺を破滅に追い込もうとしている。


「だから偶々だって。偶然に決まってる!

お前らいい加減なことをミホ先生に吹き込むな! 本気にするだろ? 」

動揺してどうする? これも恐らく彼女たちのお遊び。

そのターゲットになってしまったのだ。

「先生ったら怒っちゃってかわいい。図星だった? 」

長女が笑いながら返す。

くそ…… 口では敵わない。二人のいない時に誤解を解くのが得策だろう。

だがここで無視も出来ないしな。どうしたら?


「図星? ははは…… 久しぶりに聞くなその言葉。

君たちはまだガキなんだからそんな古い言葉を使ってないでもっと……

「ああ? 先生はぐらかした! 」

「は…… はぐらかしてないよ。よし皆で英語の復習だ! 」

どうにか誤魔化す。


「先生最低! 」

「どこがだよ? 英語楽しいだろうが! 」

「最低! 」

こうして楽しい時間が過ぎて行った。

ミホ先生も慣れ俺も気持ちに余裕が。


でも俺が本当に待ってるのは…… 待ち遠しいのは金曜日だ。

残念だがそれまでは繋ぎでしかない。

じっと金曜日を待ち続ける。

あと二日。我慢だ我慢。

いろいろと熱くなることもあるし英語だって部活だってある。

でも俺には金曜日しかない。

それ以外の日は灰色。

身も心も入らずにただ亡霊のように彷徨っている。

ああ早く金曜日来てくれないかな。


学生の本分である勉強に試験。

俺は英語しか見てやることが出来ないが皆しっかりやってるだろうか?

部活にかまけて悪い点取ってなければいいが。

もちろん文武両道を目指してはいるがそこまで無理するなと日頃から伝えてる。

だから部活を理由に試験を疎かにしてはいけないし逆も然り。


どうやら我がタピオカ部は優秀なようで美人三姉妹以外は手応えあったようだ。

最近距離を取り出した三女が頭を抱えてる。

確かに見た目も可愛いし言葉使いも悪い。教師を舐めてる部分も。

これで頭が良いと余計に性格のゆがみが目立ってしまう。

三女はギリギリで保ってるとも言える。

簡単に言うと馬鹿なのだ。勉強の仕方が分からないタイプの頭の弱い子。

馬鹿だから自分の能力も測れずに対抗意識を燃やし玉砕。

そして罵り合う形に。最近の主流になりつつある。

それを側で見てるのが最近の唯一の楽しみ。


お気に入りだからな。かわいくて仕方がない。

上二人と比べたら何てかわいいのかとね。

英語は俺のサポートと贔屓があってまだいい方。

それ以外が壊滅状態。

どうすればと相談するがもう時遅し。

また秋に頑張れと言うのみ。


試験も終わり残すところは終業式のみ。

どこでも夏休みのことでワイワイガヤガヤしている。

特に男は誇大妄想を抱き勝手に満足している。

そうして終業式を終え夏休みへ突入。


俺も幼い頃はそうだったな。

夏休みに期待を膨らましても上手く行った試しがない。

結局ただの妄想であり実現不可能な願望。

そうして暑いから夏はあっと言う間に過ぎて行く。

残ったのは何だかよく分からない夏休みの宿題。

仮にこれが無事に終わっても良いことなんて何もない。

残暑が残る九月に弛んだ体を酷使しての体育祭。

これも中学までだけど。


まあ今回はそんな日常が戻ることもないが実に残念だ。


タピオカ部の新作は思っていたよりも早くに売り切れあっさり完売。

どうも現実感がない。生徒が喜んでるんだからそれでいいが。

やはりセット販売が功を奏したのだろう。

百杯完売が目標だがそれを遥かに超えた百五十杯が午前中で完売となった。


これは夏の暑さに加えタピオカの再ブームの兆候があり盛り上がりを見せたから。

再び全国的にタピオカブームとなる日も近い。

その勢いに乗って二百杯三百杯と売り上げて行けばなと。

夏休み直前の良い流れで二学期以降にも繋がるだろう。

合宿にも気合が入るだろうな。


いいな…… 顧問の俺は忙しくてついて行けずミホ先生にお願いする。

ついてないよな。一緒に行きたかったな。

だって台湾旅行だぜ? 

パスポートだって切れてるがそんなこと関係ない。

気合いでどうにかして見せる。


                  続く

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