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ミホ先生の過去を知る者

爺さんお怒り中。

まずい。俺では油に水を注ぐだけだ。

ここは何とかして落ち着かせなければ。


「もうお爺ちゃんごめんなさい。疑っちゃって。ほら機嫌を直してお願い」

すかさず長女と二女が前に出る。うんそれでいい。

「いやいや…… ははは…… 若い娘さんは大胆でいかん」

美人三姉妹の色香にやられて気分を良くしたかに見えたが……

そうは行かないらしい。


馴れ馴れしく肩を組まれても自分を変えない恐ろしく頑固な爺さん。

「やめんか! 何をする? 」

「ねえお爺さん…… 今度正式にご招待するから」

「ふざけおって! 儂はその程度のことで騙されはせんぞ! 」

ああまた怒らせてしまった。仕方ないか。

このピンチの場面でこそ真の力が発揮されるもの。

美人三姉妹には荷が重過ぎる。

ただのおじさんならコロッと行くところだがさすがは爺さん。

簡単には騙されはしない。


「大変申し訳ありません。トラブルがあって皆イライラしてるんです。

どうかお鎮めください。私とあなたの仲ではないですか」

あれミホ先生はこんな爺さんと関係があるのか?

まさかの元彼? とっても上がお好きだとか? 守備範囲が広いな。


「おおそんな風に呼んでくれるのはミホちゃんぐらいなものじゃ。

そうかミホちゃんは学校の先生になっていたのか。

しかもこの学校の先生にかい。感慨深いね」

自分の世界に浸る。

「はいおかげさまで。何度か声を掛けたと思いますが」

どうやら爺さんは覚えてないらしい。今日初めて会ったみたいな言い方。

「いやきれいになったな。これは会っても気づきはせんだろう」

下手な言い訳を繰り返す爺さんは再び自分の世界へ。

急いで元の世界に戻すようにミホ先生に頼む。


「よしこれで一つ解決した。ここからはサクサク行こう。

お前ら本当にこの子の服を盗ってないんだな? 」

厳しく追及。様子を見る。

両方ともかなり怪しいが決して口を割りはしない。

そうなると決め手に欠ける。証拠もない状況だから下手に疑えない。

「本当に本当だな? 」

プレッシャーをかける。それでも否定し続ける容疑者二人。

「はい神に誓っても! 」

「俺だって盗んでません! 」

どうやら二人は本当に盗ってないらしい。

目を見れば分かる。透き通った目をしている。

長くなるぞこれは。

やはり爺さんも容疑者に加えるとしよう。


「先生も容疑者の一人じゃないんですか? 」

美人三姉妹の長女がからかうように指摘する。

何てことを言うんだ。俺が潔白なのは知ってるくせに。それなのにそれなのに。

くそ…… 彼女たちに弱みを握られてる手前強く否定できない。

そもそもポケットには例のブツがあるのだから大人しく彼女たちに従うしかない。

金曜日のお楽しみもあるのだから。


再び疑われることになるとは。

俺は顧問だぞ? 教師なんだぞ?

教師がそんなことをするものか。

中には探せばいるだろうが制服を盗むほど俺は落ちぶれてやしない。

これが長女や二女のだったらあり得たかもしれないが。

それこそ美人三姉妹のなら誰のだって欲しい。

だが盗まれたのは副部長の制服。それだけでなく着替えの全部が消失したのだ。

ピンポイントで狙うはずないだろう?

俺はそんな趣味してない。

分かってるくせに俺を困らせようと策を練るんだから恐ろしいしぜこいつら。

もはや二人とは運命共同体だと思ってたがそれは俺の思い過ごしだったらしい。


「先生? 先生! 聞いてますか? 」

黙ってしまえば疑われる。

「俺が男だからと言うならそれは間違ってない。

だが本当に真犯人は男だろうか? 」

タピオカ部の部室には鍵が掛かっていなかった。

着替えもあるんだから防犯上掛けろよなとは思う。

だがこれも着替え場所に問題があるのだ。

更衣室なら鍵が掛かるのだから。なぜ利用しない?

せっかく用意したものを使わなければ宝の持ち腐れだ。


「先生が何を言ってるのかちっとも分かりません」

部長が釘をさす。

「だから常識に囚われ過ぎだ。犯人が生徒なら難しくも何ともない。

男よりも女を疑う時代になったのさ。

いいか。ここにいる者全員が真犯人の可能性がある」

「それは無理がありませんか? 」

今まで静観していたミホ先生が動く。

「いや決めつけは良くないと言ってるんですよミホ先生。

目的が嫌がらせやおふざけならどうです? 」

俺たち男が疑われる合理的理由が思い当たらない。

こうして皆を黙らせる。


                 続く

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