決勝特別ルール
こうして決勝戦へ。
その前に伝えたくても伝えられない事実がある。
優勝者に手渡される某テーマパークの一日券のペアチケット。
あれは彼氏とデートしろとかではなくペアはペアでも俺とのペア。
だから大喜びされると辛い。拒否されたらどうしよう。
ここは思い切って告白すべきか?
ミホ先生にそれとなく伝えてもらうべきか?
どうでもいいことで悩んでいる。
前回の王者のミコ。
相手の反則で勝ち上がった美人三姉妹の三女。
「揃って入場です」
葉っぱで編んだビキニ着用のミコ。
布ではなく葉っぱで挑む。
水に浸かればたちまち破れてしまう葉っぱではどうなるか分かったものではない。
大変危険な代物。
もちろんこれはビキニ相撲だからビーチでもないので水もない。
あるとすれば汗ぐらいだがそれもどうにかなるだろう。
凝視でもしなければ見えやしない。
ただ一つ懸念することが。
優勝者には水かけでお祝いすることになってる。
もちろんホールが濡れてはいけないので校庭で。
試合終了後すぐに校庭で表彰式。
水かけのサプライズで勝者を祝う。
ここは敢えて負けるのが良いかもしれない。
それが本人の為だろう。
だが彼女はまったく気にする素振りはない。
続いて恥ずかしそうに前を隠しながら歩く白のボーダーのビキニ。
各自予備の水着を用意することになっている。
最悪こちらが用意した際どいビキニを着てもらうことに。
どうやら予備はあるようで決勝戦には影響はないらしい。
だがそれでも前を隠そうとするのは頂けない。
自信なさそうに見えるから減点。
決勝戦に相応しい戦い方をぜひ見せてもらいたいものだ。
贅沢ばかり言ってるとまたミホ先生に睨まれそう。
ここで決勝特別ルールを説明。
そもそもこのビキニ相撲は前任のスケルトンが始めたこと。
俺はそれに忠実に従っているだけで他意がある訳ではない。
まず紙の束から一枚選び追加ルールを決定。
「決勝戦はより厳しくより激しくよりエキサイティングに。
その為トップレスといたします」
観客から大ブーイング。
選手たちからも怒りのクレームが。
とは言えこれも決勝戦を盛り上げる為のもの。
俺の趣味と言う訳でもない。
考えたのはあくまで生徒たちだ。
面白くしようと生徒たちからアイデアを募集した。
その一つがトップレスと言う訳だ。
恐らく長女か次女だろうな。こんな悪趣味な演出を考えるのは。
「嘘? 聞いてない! 」
「別にいい。何の問題もない」
三女は不服そう。反対にミコは受け入れている。
「なお棄権もありです。その場合は準決勝で負けた者が代役を。
よろしいでしょうか? 」
だがブーイングは収まりそうにない。
行司はルールの説明をするだけ。
文句を言われる筋合いはない。
いかに盛り上げるかを考えるのが俺の役目。多少羽目を外したっていい。
「どうする? 二人とも。無理にとは言わない」
意志の確認。
ミコは表情一つ変えずに同意。早くしようとやる気満々。
見られようが見ようが関係ないらしい。
それに対して三女は迷い続けている。
「良いぞ! 良いぞ! 」
無責任に煽る恐らく追加ルールを考えたであろう美人三姉妹の上二人。
一応は予想であって本当にこの二人が書いたかは不明だが。
「どうしますか? 棄権しますか? 」
念の為に確認。ここまで来れば勝ちたいだろうな。
だが勝つには皆の前にトップを晒すことになる。
さっきはどうにか防げたが今回は無理だろうな。
決してお勧めしない。
一教師としては見てはいけない。ただ男としては見たい気もする。
「どうするの? 」
長女が勝手に話を進める。
「ちょっと無理…… 」
怯む三女。当然だろう。俺だって嫌だぜそんなこと。
たとえ女の子だけしかいないとしても裸を晒されては堪らない。
「頑張れ! 私たちがついてるから! 」
無責任な声援に押される形で決意する三女。
「もう分かった! 」
「それでは不正の無いように行司の方で処置させて頂きます」
二人の前まで行き脱ぐ準備を始める。
そして三女のビキニに手を掛けるとキャッと反応。
ふう緊張で手が震える。
冷静に冷静に。これは行司の役割。
俺がやらなければ誰がやると言うんだ?
損な役回りをするのも大人としての責任。
ラッキーだなんて思っていない。
その時だった。ホール内から女性の叫び声が響く。
続く