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俺に聞かれても……

まずは一回戦を始める前に組み合わせを決める。

問題はここ。前回も揉めに揉めた。

成長期なので大きさも変動する。


「バストの大きさは自己申告制でいい。大きい順に並びなさい」

はーいと大人しく従う聞き分けのいい子たち。

さすがは我が部。俺の指導が行き届いてるからな。


でもやっぱりまずいよな触るのは。前回のバストの計測は顧問である俺が。

だがこれは一種のお遊びでそこまで厳密である必要もないと判断し今回は見送る。

顧問であり審判である大人の俺は気にならないが嫌がる子もいるだろうから。


「先生測って! 」

簡単に受け入れる。

嫌がる奴などいやしない。まったく何なんだこいつらは。

これなら強制的に計測してもよかったかな。


タピオカ部は女性のみと言っていい。

そこに男が一名加わったからと言って気にする様子はない。

女性が圧倒的に有利である以上堂々としてる。

こっちが変に焦ってあたふたすれば逆に怪しまれる。

それは手荒い歓迎時もそう。

ただ今日だけは冗談では済まなかったが。


「先生! 私と彼女どっちが大きいですか? 」

うわまた始まったよ。醜いだけでなくどうでもいい争いが。

どちらかを挙げると片方がむくれる。

分かってるからこそ何も言えない。


「俺はこっちの方が美味しいと思うな」

直感で答える。

「そう言うこと聞いてるんじゃないでしょう? 」

怒らせてしまった。つまらないことで揉めるなよな。

時間がいくらあっても足りない。

やはり前日に計量は済ますべきだった。後悔してももう遅い。


測り手は俺しかいない。

今回はミホ先生も参加するので資格がない。

大騒ぎの観客にやらせてもいいが遺恨が残ってもいけないしな。

いっそのこと美人三姉妹に任せられたらいいのだが。

ただメインの三人が出ないのでは盛り上がりに欠ける。

前顧問のスケルトンはどう対応していたのだろう?


「俺は胸は大きいよりも形が整っていてきれいな方がいいな」

全員が全員胸の大きい女が好きな訳じゃない。

俺はどちらかと言うと小さい方がいい。

ただ誤解して欲しくないのは小さい方であって……

決して小さいのが良いと言ってるのではない。

確かに良いは良いのだがそう言うと確実に引かれてしまうので言えない。

「先生の好みは聞いてません! 」

真面目に返されるとは。俺だってこんなこと言いたくない。


「先生! 彼女反則してます! 」

今度は一体何だ?

開催の号砲を鳴らしたと言うのにちっとも進んで行かない。

「詰め物してる。これは反則! 」

どおりで前回よりレベルアップしたと思ったんだよな。

確かこの子は部の中でも目立たない子で先生としては守ってあげたいタイプ。

そんな子が隣の子を詰る。じつに恐ろしい。周りが見えていない。


「先生! 」

「今度は何だ? 」

詰め物は取るように命じた。

今ここでは俺は審判。審判の命令は絶対だ。

理不尽だとしても決して逆らってはいけない。

逆らえばきついお仕置きが待っている。

「私の方が大きいでしょう? 」

「冗談! どう見ても私じゃない! 」

再び勃発する仁義なき戦い。


少しの大きさの違いなどどちらでも構わないではないか。

拘らずに並べ。そして早く始めろ! 

これでは日が暮れてしまう。

思っても口には出せない。顧問って影が薄いんだよな。


「先生が見てよ! 」

今度は甘えた新入生。

もう慣れたのか生意気な口を叩く。

「出来るか! 俺は男なんだぞ? 」

おかしな言い訳をしてしまうがお構いなし。

結局こいつらは俺を男として見ていない。

本当にとんでもない生徒だ。まあこれも信頼の証とも言えるがな。

ただ俺だって豹変するんだぞ。えへへへ……

そうやって今までは脅せていた。彼女たちもイヤッとふざけるまでがセット。

しかし金曜日のことがあってからその冗談も言いずらくなった。

この場には美人三姉妹の二人もいるからな。


「私! 」

「ボク! ボクに決まってる! 」

我が部ではボクっ子を一名飼っている。

可愛らしい見た目に反し意外にも豊作。彼女は小結ぐらいだろうか?


騒がしいばかりでちっとも先に進まない。

ミホ先生も呆れ気味。

あーあ。やってられない。

前回もこれで揉めて開始が二時間遅れたんだよな。

今回は何時間掛かることやら。

計測はやはり荒れる。トラブルの元。でもビキニ相撲だから変更も出来ない。

それでも何とかしなくてはいけない。

これは次回への課題だな。


胸の大きさを主張する彼女たちには辟易する。


                 続く

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