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わざとじゃない?

タピオカ部の部室は大混乱。

それもそのはず。着替え中に乱入したのだから。

パニックにもなる。


「先生! 今日は水着なんだから絶対に部室に入っちゃダメ! 」

「済まん。以後気をつける」

数人の生徒の説得により渋々引き下がる。

「まあまあ皆。先生は大丈夫だって」

「そうそう。もう年だもん。気にしない気にしない」

美人三姉妹の二人の尽力によって大事にならずに済みそうだ。

何だかんだ言っても二人は俺の味方。

しかも金曜日は本当にお世話になってる訳で。

ものすごく助かっている。


ただそれを不審に思う者は当然いる。

「何であんたたち先生の味方をする訳? 」

「怪しいのよ前からさ。あんたらは! 」

下手な説得で二人との関係がばれそうになる。

勘ぐられてはお終い。

もういいと合図を送るがまったくこちらを見ようとしない。


「もういいか? トラブルはないな? 」

一度退出して充分時間を掛けてから再び中へ。


おお凄い。

色取り取りのマーメイドが並ぶ。

どうやら準備万端のようだ。

さあ出発だ。


「よしホールに向かうぞ! 」

「あれ…… なぜ先生は部室へ来たんですか? 」

追及はなおも続く。簡単には終わらせてくれなさそう。

疑われ始めたらどうにもこうにも。

二人に協力を要請して墓穴を掘れば今までの関係がばれてしまう。

だから慎重に。無理はさせられない。彼女たちの立場も当然あるのだから。

金曜日以外は関わるのは得策じゃない。

あっちも極力避けているようだしな。


「先生? お聞かせください! 」

副部長が離そうとしない。だがまだ上手い言い訳が思いついてない。

「それはもちろん忘れ物の確認さ。いつもの癖とも言えるかな。

ほら習慣になってるんだよ」

言い訳にさえなってないが本当のことだから仕方がない。

忘れ物があったらどうしようなどと考えてるうちについつい入ってしまったのだ。

これも無意識の行動。


ついでに生徒たちとのつまらないお遊び。

今回はお呼びではなかったらしいが。

いつもは俺が来るのを狙ってわざと着替える。

だが今回は水着に着替えるのだ。そんな余裕はないだろう。

だからって俺は気にしない。生ぬるく気の緩んだ生徒たちに現実を見せつける。

それが一つの狙いでもある。


「もういいだろう? さあそろそろ始めるぞ! 」

納得してない者もいるが強引に話を切り替える。

誰も教師、特に顧問には本気では逆らえないのだ。従うしかない。

不満の声もそのうち消える。

まだまだ彼女たちは子供。


<第二回ビキニ相撲選手権>

概要はこうだ。

五月より月に一度、タピオカ部と異世界探索部の交流を深める為のイベント。

強制ではもちろんなく自由参加。出場するもよし応援に回るもよし。

もちろん両部に参加資格があるのだが当然飛び入り参加も認めている。

こんなおかしな大会に出たい奴は勝手にどうぞ。好きなだけ恥を掻くといい。

ただ前回飛び入りする者はいなかったが。

それもそのはず。土曜日。部活道の者以外が登校することもなく限らている。

それに詳細は敢えて伏せているからか内容を理解出来ない異世界探索部は不参加。

彼らは興味を示すこともなく休みだと喜んでいる。

その為女性一名のみがエントリー。


「今回もミコちゃん一人? 」

心配の声を上げる。

「部長を誘っても疲れるから嫌だと断られて…… 」

積極的に何にでも参加するのが部活動じゃないのか?

異世界はどこから繋がっているか分からないのと言うのに。

チャンスをみすみす逃すのか?


ミコはタピオカ部との深い交流があるらしくこの大会を楽しみにしているそう。

そう言えば異世界探索部には大会があることをそれとなくしか教えてないからな。

交流を深める意味もあるのでまずいとは思うがそれならミコ一人でいいだろう。


「よし全員揃ったな! 」

ホールに集まった魅力的なマーメイドの大群。

「あの…… まだミホ先生が来ていませんが」

そう言えばミホ先生のことをすっかり忘れていた。

「ミホ先生か。彼女は参加を拒否したのかもしれないな。きっとそうに違いない」

「先生ひどい! 」

「馬鹿じゃないの! 」

「本当に先生ったら! 」

希望的観測を述べると次々に文句が出る。

ついでに罵詈雑言まで。先生だって傷つくんだよ。

あれ? 意外にも気に入られているミホ先生。

俺は? 俺の人気はどこに行った? ミホ先生ばっかり。

立場が危うい。これは由々しき問題だ。


今まで築き上げてきた信頼が揺らぎ帝国崩壊は現実味を帯びる。


                続く

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