ミホ先生絶対阻止!
第二回ビキニ相撲大会。
副顧問のミホ先生も大会を盛り上げようと……
「今日はデートだと…… 先生ほど美しいと男を取っかえ引っかえでしょうから」
これはさすがに言い過ぎたかな。
俺がやる気がないのもあるがミホ先生に見られてはならない。
絶対秘密の生徒参加型の一大イベント。
それがビキニ相撲大会。
「もう! そんなに私に参加させたくないんですか?
また怪しげなことをするんじゃないでしょうね? 」
ミホ先生はすっかり疑り深くなってしまった。
でも俺の助言も聞き入れた方がいいと思うがな。
「ははは…… 疑り深いな。もちろん健全な青少年の…… 」
「要水着とはどう言うことでしょう? 」
説明もロクに聞かずに疑ってばかり。嫌になるな。信用してくださいよね。
「さあ? 暑いから? 」
「本気で言ってますか? 」
「あれ誰だ水着を持って来いと言った奴はよ? 」
「先生でしょうが! 」
美人三姉妹の二人にばらされる。
本当は疑われるから書くつもりはなかった。
でもミコあたりが何もつけずそのまま出場しそう。
だから一応条件として水着着用を義務付けている。
これでも多少考慮してるのだ。
「ははは…… おかしいな。何かの手違いでしょう」
「また青井先生ったら理事長に言いつけますよ」
うわ…… そう言えばこの人学園の関係者だったっけ。
まずい俺の密かな楽しみが奪われていく。
週に一回で我慢してる。月一のこれまで取り上げるのはなしにしてくれよな。
「ミホ先生…… 」
目で訴えかける。
「冗談です。もちろん冗談ですよ」
冗談も言えるんだな。いつも俺がふざけて隣で笑ってるのがミホ先生。
「あーよかった。俺の楽しみが一つ減ってしまうところでしたよ」
「楽しみ? 」
つい余計な一言を。
これはもう笑ってごまかすしかない。
笑ってればそのうち忘れてくれるだろう。
そこまで甘くないだろうが。
「それでは私も着替えてきますね。更衣室は確かあちらでしたよね」
無邪気なミホ先生。そう言うとZERO館の一番奥にある部屋へ向かった。
俺はと言うと二人とも別れて例の如くタピオカ部へ直行。
こうして再び虚無に支配される。
俺は間違ってる。だが今更どうにかなる訳でもない。
諦めが肝心とも。
コツコツ
コツコツ
強くリズミカルに一定の速さで刻む。
足音にも違いがある。その人の体調や性格が分かると言うもの。
大股で大胆に歩く者は男性に多い。
自信に溢れている。しかも大した根拠もなくだ。
ゆっくり音を立てるのは自信のなさの表れ。
一定ではない時は疲れてる場合がある。
リズミカルに急いでると良いことでもあったのかなと勘繰りたくなる。
慎重な人ほど音を悟られないように音を消すような歩き方をする。
それは警察関係や探偵がまさにそうだ。
コツコツ
コツコツ
一定の足音で向かってくる者。
こちらへ向かってくる。
「ちょっと! ちょっと待って! 」
大慌ての少女たち。
今日は悪ふざけできない事情がある。
だがそんなことはお構いなし。
足音が止まると一秒ほど間が。
ガラガラダーン!
扉が壊れてしまうぐらいの轟音。
近所に人が居ないのでいいが癖になれば己に帰って来る。
改善すべきだろう。
扉が開き一瞬凍り付く。
男が立っていた。
容赦ない男の登場。
きゃあ!
ぎゃあ!
いやああ!
悲鳴がセット。
今日は本気だ。
ものを投げる。
その辺にあるものをすべて投げつける。
男が退散するまで。
だが男は怯むことなく中へ入ろうとする。
もちろんそれを許すはずもなく第二戦へと展開されていく。
うおおお!
男は見てはいけないものを見ている。
それが何か? 分かるとしても言えはしない。
「先生! 」
「何をしてるんですか? 」
「いい加減にしてください! わざとでしょう? 」
「絶対そうなんだから」
ものを投げ疲れた少女が後ろを向き怒りを露わにする。
何と美味しそうなおしりが揺れてるのだろうか?
そこに青の衣が重なっていく。
そして何をとち狂ったのか前を向き急いで同じ色の衣を被せる。
分かっているのだろうか? すべてをさらけ出したということを。
もちろん俺は一切気にしてない。
それがどうしたと思うレベル。
まだ子供なんだから気にしない。
お互いに気にするのはよそう。
続く