第二回ビキニ相撲大会
【第二回ビキニ相撲大会】
会場: ZERO館ホールにて。
ZERO館の入り口前に看板が。
土曜日。
「なあちょっと待ってくれよ二人とも! 」
美人三姉妹の長女と次女。お馴染の面子。
「もう先生しつこい! 」
二人は明らかに嫌そうな顔をする。
本気か冗談か分からないからこの年頃の娘は困る。
そんな風に言えばただのおじさん。教師だから別に構わないが。
「あんな催しなどどうだっていいじゃないか?
もう少し俺とこの部屋で楽しいことをしようよ」
教師でありながら何て情けないと最初は思った。
だがそれも三度も繰り返せば不思議なことに何とも思わなくなった。
俺には部活の行事などはっきり言ってどうでもいい。
二人と限られた時間を楽しく過ごしたい。
「ダメだって先生! 金曜日は金曜日。土曜日は土曜日。さあ一緒に早く! 」
どの口が言うのか?
あれだけ誘惑しておいてちょっとの我がままも聞いてくれない。
あーあもう相手してやるのよそうかな。
でもそんなことを言えば俺が捨てられるだけ。
新しい男はすぐに見つかるだろう。
だからこそ無駄な駆け引きはしない。
「なあ考え直そうぜ。ビキニ相撲なんてつまらないさ」
どうにか粘るが二人は頑なだ。
「お前だって面倒だろ? そう思わないか? 」
長女よりも次女の方が説得しやすい。味方につければ長女だってきっと折れる。
「ほら先生。いい子だから行こうね」
無理矢理家から引っ張り出す荒っぽい二人。
子ども扱いするから困る。
同伴で学校へ。
両手に花とは言うがまさか教え子だとはな。少々情けない。
「なあ良いだろ? お願いだ。この通り! 」
無理矢理頼み込む。意志の弱い者ならこれで引き止められる。
だが相手は美人三姉妹の二人。
ルックスとスタイルは申し分ないが人間性に問題あり。
俺を教師だとも顧問だとも人間だとも思ってない節がある。
自分のことしか考えてないから当然俺の気持ちなど無視。
「ほらおいで」
早く来るように躾けられる。これではまるでペットではないか。
どこまでも堕ちて行く。
もはや彼女たちの魅力にひれ伏す。
ただ無為に過ぎて行く毎日。
それでも構わないと思った。
「ねえお願いだよ。ちっともやる気が出ないんだ」
「うるさい! 月一回の行事なんだから大切にしないと先生。
それでも本当に私たちの顧問なの? 」
これは痛いところを突いてくる。
俺だって本当はもっと理想の教師像を描いていた。
だがこいつらの手によってそれも夢へと消えた。夢と言うより幻だが。
「お願いだ! 」
「本当にダメだって! 人が見てるでしょう? 」
こいつらでも人目を気にするらしい。
俺はもうとっくに解放されてしまってるが。
確かに制服姿の女の子に尻尾を振るおかしな奴は要警戒だろうな。
まさかもう噂になってるなんてことないよな?
冗談じゃないぞ? シャレにならない。
正気を取り戻しいつもの俺に戻る。
これが芝居なのかそうでないのか自分ではもう分からない。
二重人格でもないしな。二重生活かな?
朝九時学校に到着。
「おーい! 置いて行かないでくれ」
最近冷たいんだよな。まさか飽きたなんて言わないよな?
扱いも雑だし。俺の魅力では惹きつけるのは限界か?
「ほらふざけないで行こう! 」
さすがに学校に来てまで縋りつかない。みっともないからな。
「青井先生! 」
うわ…… 余計なのが来た。
おっと心にもないことを思ってしまう。
「ああミホ先生? お忙しいのにこのような催しに参加されて……
つまらないでしょう? 嫌でしたら無理せずここでお帰りになって結構ですよ。
後はすべてお任せください! 」
一応は気を遣ったつもりなんだが変な空気が流れる。
「ミホ先生? 」
「何を言ってるんですか青井先生? どんな行事にも参加するのが副顧問の務め。
お気を遣わずにお願いします」
説得はした。後はミホ先生次第。
俺はもちろん今すぐ帰って二人と続きがしたい。
でも分かってるんだよな。後一週間は無理だと。
だから土曜が憂うつになる。
立ち直れず一週間を廃人のように過ごす。
ミホ先生からも部員からも心配の声が上がるほど。それこそ二人までもが。
だったら解決策は一つしかないだろう? もっと触れ合う時間を増やすこと。
彼女たちも分かってるくせに頑なだから困るんだよな。
お預けを喰らうこちらの身にもなって欲しい。
続く