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男の夢

美人三姉妹の三女。

なぜ彼女だけが来なくなったのか?


「彼女は純粋なの。私と違ってまだね…… 

美人三姉妹ってまとめて言われてるけど性格は随分違う。

私たちは先生をからかったりイタズラしたりして楽しむ明るいタイプ」

自分で言うなよな。自覚アリとは鬼か?

明るいんじゃなくて異常なだけだろ。


「どうしようもないなお前たちは。その性格どうにかならないか? 」

もはや笑いごとでは済まないレベル。

と言うことは三女はまとも。これは良い情報を得たな。

もうこの二人を救うのは不可能だろう。

俺が付き合うかは別として行くとこまで行くだろう。

ならばせめて三女だけでも救ってあげたい。

いくら気をつけていてもこいつらと一緒ではいつか巻き込まれる。


「いいでしょう? 楽しいんだから! 」

二人同時に答える。

いやちっともよくない。人の迷惑も考えずに何をやってるんだか。

そんなことを続ければいつか身の破滅を招く事態に。

俺にはちっとも理解出来ない。そんな人間もいるんだな。

「そうか勝手にしろ! 」

突き放す。これで少しは反省するかと思いきや勝手にすると頑な態度。

好きにすればいいさ。後悔するのは自分なのだから。


俺は英語教師だから英語は教えるし厳しくもする。

だが道を大きく逸れた者を助ける義理はない。報告するぐらいはするかな。

積極的に助けない。ただ見守るのみ。教師としての自覚はそれ程ある訳ではない。

あと一年もすれば大学に戻れる。だからどうなろうと知ったこっちゃない。


ただ一つ懸念することが。

俺が一年後に戻ったとして付属高校であるから彼女たちと再会する可能性は高い。

二年後には俺の講義を受けてるかゼミの学生になってるかもしれない。

関わりがある以上避けられない事態。

俺が避けようにも無理がある。言い訳も出来ないだろう。


まあ今は未来のことを考える余裕はないよな。

一年どころか半年後だって分からないのだから。


先日占ってもらったら夢は叶うが絶望が伴うと不穏なことを言われた。

俺の夢ってのは恐らくあれだろうが。どうも聞いてると違うんだよな。

占い師が言うには男の夢だと言っていた。

男の夢とは何だろう? 決して占い師は具体的なことを言わない。

もちろん叶った時のお楽しみだろうがせめて絶望の詳細を教えてもらえないか?

まさか今回の一連のことだとしたら的中したことになる。

さすがはスケルトンが紹介しただけはある。

今思い返せば怪しさ満点だったが。

夢占いって当たるんだな。


どうであれ教え子との不適切な関係を隠し生き延びる確率は低い。

いくら二人に口止めしたところでどこかで漏れる。

最初は不可抗力だったとしても続ければ言い訳も出来やしない。

俺のキャリアが崩れ落ちる。

これは次の手を打つしかない。

口止めが出来ないなら口封じをしてしまえ。

俺はこいつらのお遊びの犠牲者で終わる訳にはいかないんだ。

完全犯罪で葬り去ってやろうか…… いやそれでは事態が悪化するだけか。

ここは自重すべき。

それに俺はまだ一応教師だ。彼女たちの為に犠牲になるなら本望。

おっと…… 格好つけ過ぎだな。

やる気はさほどないがある程度は先生らしく振る舞うかな。


「お前たち仲間外れにするのは良くないぞ」

「だからそれは勘違いだって! 」

二女が面倒臭そうに頭を掻く。

「だったら呼ばない理由は何だ? 」

これで答えらえなければ単にわざと仲間外れにしたことになる。


美人三姉妹と言いながら三人は仲が悪いのか?

彼女はシンデレラで二人は血の繋がらない義理の姉。

それなら辻褄は合うがそこまでギクシャクした関係?

歴史的に見ても美人姉妹が仲良かったことはないがな。

美人で魅力的である以上周りを惹きつけお互いギスギスしてしまうのはよくある。


「うるさいな! 先生には関係ないでしょう? 」

逃げやがった。確かに関係ないが…… 意外にも正論。

「ほら言って見ろ。ちゃんと聞いてやるから」

「だから! 巻き込ませない為だよ。私たちのお遊びはヘビーだからね。

先生だって分かってるくせに。言わせないでよ! 」

そう言って笑って見せる。

もしかして…… これは危険なサイン? やはり嵌められた?

「先生は何のことか分からないかな…… ははは…… 」

「嘘ばっかり! 本当に最低! 」

罵られてばかりの人生。女子高生にまで罵られるとはな。

ため息が出る。もっとマシな生徒はいないのか?


                続く

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