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秘密の課外授業②

自宅に招いてのプライベートレッスン。

お客様は我がタピオカ部の美人三姉妹。

これは願ってもないチャンス…… もちろん冗談だが。 

 

「先生つまらない! 」

昼間の授業と変わらないと文句が出る。

特に美人姉妹の長女が文句ばかり言う。

二女はそうだそうだとはやし立てるだけで本当に理解してるか怪しい。

案外長女がいないと何も出来ないタイプ?

その二人に対して口数も少なくやる気のなさそうな三女。

まるで付き合いで来てやってるんだって態度。

今だって髪を触ってつまらなそうにしてるしな。

三者三様で教えるには骨が折れる。


「分かった分かった。楽しく面白く英語に触れるがコンセプトだからな。

だがネーティブの発音を真似ないといつまで経っても上達出来んぞ。

よし次に行くぞ。理論だ。ネイティブは大体七割の英語力で日々生活している。

良いか別に何の根拠もないが七割だ。まずそうだと思ってくれ」

話の都合上分かりやすく数字を出す。

「七割? 六割でも八割でもなく七割ですか? 」

長女は熱心だ。だが人の話をまともに聞いていない。

「だから大体七割。根拠はないと言ったろ? 」

「はいはい。続けてください」

そう言って笑いやがる。変なところに拘るんだよな。


「それ以外の国の者は六割程度でコミュニケーションを取っている。

日本人も無理せずに六割程度でいいと心に余裕を持たせれば英語力も向上する。

どんなに努力しても八割に行くことはない。なぜだか分かるか? 」

見回すが誰一人としてピンときてない。

「分かりません」

あーあこれじゃ意味ないよ。もう少しだけでも興味持って欲しいな。

張り合いが出ないな。やる気も薄れて行く一方。


「では他の者は? 」

「分かりません」

「残り三割はボディーランゲージ。身振り手振りだけでなく気持ちで相手に。

そうすれば通じるはずだ」

ほぼ根性論だが意外にも海外に行くと役に立つ。


「おっと…… 三割は言い過ぎかもしれない。一割にしよう。

後の二割は状況理解と知識常識になる。

何の話をしてるのか? どこの話をしてるのか? 

地域や国だな。誰の話をしてるのかだ。

知識や常識はそこの国や全世界的なこと。

あと忘れてはならないのは楽しむと言うことだ。

大いに楽しんで積極的に英語を普段から取り入れよ」

「ふわあああ」

「そこ欠伸するな! 返事は「はい」じゃなくて「イエス」だ」

「イエス! 」

「よし続ける。次は発音」


皆で発音の確認。

「いいか。何て言ってるかはどうでもいい。

英語として一つの単語として聞き取れるかが大事だ。

忘れがちなのだがリスニングもいいがヒヤリングも重要。

ゆっくり聞き取るだけでなく聞き流す能力も必要になってくる。

そこではアクセントと発音が大事になる。

何度も言うが発音にしろアクセントにしろネーティブを真似るんだ。

間違っても日本人から真似ようとするな。

本人はキチンと発音してるつもりでもどこかが違う。

そのどこかが違うのが分かればいいがお前たちはまだ素人。

ネーティブに教われ。俺の発音は参考程度でいい」


「よしこのままリスニングに行くぞ」

何言ってんだか正直良く分からない外人の他愛のない会話を聞く。

続いて海外ドラマ。

今回は分かりやすく刑事ものを選ぶ。

休憩を挟んで再びリスニング。


ウギャア!

はしたない声が飛ぶ。どうやら美人三姉妹の三女。

「ほらそこ静かに! 」

「はい…… イエス! 」

もう注意されなくても自分で気づく。

これでいい。これで少しでも英語を好きになってくれればいいさ。

まずゆっくり再生。続けて標準。最後は二倍速。

こうすることであら不思議英語が聞き取れるようになる。


最後は外国アニメ鑑賞。

好きなアニメを選んで字幕なしで見る。

「いいかここで大事なのは覚えないこと。考えたり覚えようとすると挫折するぞ。

英字新聞を読んで挫折するようなものだ。

お前たちも英字新聞を見て挫折した経験が一度ぐらいあるだろ?

挫折すれると英語を怖がったり諦めたり離れたりする原因にもなる。

だから出来れば挫折せずに最短ルートで英語力向上を目指して欲しい」

つい熱が入る。それだけ大事なところ。


「ありがとうございました」

ここはサンキューでもいいがやはり最後はありがとうに。


予定の八時を過ぎマンションを出て駅近くのファミレスへ。

「お疲れ様。また明日」

夕食会を兼ねた課外授業は無事に終える。

これからも毎週金曜日にはやっていきたい。

その為にはもっともっと生徒を集め信頼を勝ち取らなければならない。

俺のやる気にも関係してくる訳で。


だが願い虚しく今月をもって開催されることはなくなった。

何故なら……


                続く

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