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閉ざされた楽園

異世界に入ってついに本性を現したカズト。

ミホ先生たちの静止を振り切り俺に刃を向ける。

しかしイセタンが庇う形で胸を刺されてしまう。

こうしてカズトの暴走でイセタンが命を落とすことに。

ついに世界は狂い始める。

果たしてカズトの狙いは何なのか?


「何を言ってるカズト! 」

「先生は生き残った。仕方がないから仲良くしましょうと言ってるんですよ」

余裕のカズト。どう言うつもりだ?

「何を言ってる? カズト! カズト! 」

あまりの絶望感からただ怒りのままカズトの名を連呼する。

ダメだ。俺まで冷静さを失ってどうする? 

ふう…… まずは深呼吸して落ち着こう。


「ははは! だって戻れないんですよ先生。あっちの世界にはね。ははは! 」

カズトは確信している。もう自分の思い通りになると。

しかしなぜだ? その計算はどう考えても無理がある。

戻れないとはどういう意味だ? 比喩なのか? それとも……


「何をした! お前は一体何をしたんだ! 」

「おお…… 怖い怖い。そんなに怒らないでくださいよ。

だから扉を閉めちゃったの。ふふふ…… ごめんなさい。へへへ…… 」

カズトは悪びれる様子もなくホラを吹く。


「いい加減にしろ! どれだけ皆に迷惑を掛けたか分かるか? 」

「へいへい。済みませんでした。ははは…… でももう遅いけどね」

「謝って済むか! もちろん冗談だよなカズト? 」

俺は信じてるぞカズト。そんな愚かしい真似は絶対にしないと信じてる。

「へへへ! 」

笑うだけで答えない。もう完全におかしくなってしまったらしい

「おいカズト! カズト! 」

「へへへ! えへへへ! 」

ただ笑うだけ。聞いてるんだか聞いてないんだか。


「冗談のはずないでしょう先生? 」

ようやくまともに返事したかと思ったら反抗的な態度をとる。

こいつだけは…… 絶対に許せない。

「おい嘘だろ? 」

「だから嘘な訳ないでしょう先生? いい加減しつこいよ」


「何をした? お前は何をしたんだ! 」

「だから異世界の扉を閉めたんだって言ってるだろうが!

いつまでもやってないでそろそろ本題に入りましょうぜ先生」

そう言って余裕の大笑い。

「本題? 何のことだ? 」

くそ…… いくら誤魔化そうとしても最悪の考えが頭に浮かんでくる。

「嫌だな先生。とぼけちゃって。先生は一人だけだからね。

好きな子を選びな。先に選んでいいから」

嫌らしい目つきで見回すカズト。


「一人はどうぞ。後は俺がもらう。どうしてもってならシェアするのも悪くない。

ああ面倒だから先生を殺してもいいんだけどさ。ほら相談相手だって欲しいのよ」

カズトは勝ち誇ったように笑い好き勝手抜かす。

どうやら自分の考えが通らなければ強行するつもりらしい。

情けない話だがもはや俺に選択の余地はない。


「カズトお前…… 」

「おっとその呼び方も気に入らないな。カズト様にしてよ。ねえ先生? 」

本当にふざけたガキだ。そんな思い通りにさせるかっての。

「先生早く選びなよ。へへへ…… 」

「分かった」

これ以上奴を刺激させない方がいい。

今は大人しくしてるがまたいつ牙を剥くか分からない。

俺が教師だから酷いことはしないと舐められてるのだろう?

だが時と場合によっては断固とした態度に出ることも。


「先生まだ? 遅いな。俺からのお勧めはミコだな。

こいつとは長い付き合いだからさ。あっちはちっとも相手してくれないが。

でももういいや。俺を嫌がってるようだしいらない」

何と選ばせずにミコにしろと言いだす始末。我慢のできない奴だな。


カズトの真の狙いは女性陣の独占。

王にでもなったつもりか?

彼の人生でモテた試しがないのだろう。

異世界探索部にはミコが。

タピオカ部には大勢の女の子が。

高校は元々由緒正しき女子高だった訳で。女子の割合が多い。

しかしモテるモテないに数は関係ない。人気のある者に集中する。


要するに運動ができる頭のいい格好いい男。

その現実を理解してるつもりでもどうすることもできない自分に腹立たしいのだ。

機会を窺って自分の思い通りの世界を作り上げる。

そんな妄想にリアリティー与えたのが異世界探索でありアークニンの悪魔の囁き。

そしてついに異世界に到着。彼の願望が叶った。後は実行するだけだった。

何の迷いもなく実行。彼にとってのベスト。

我々にとっては最悪の選択をしてしまう。


「先生早くしろって! 俺が全部モノにするぞ。わははは! 」

カズトの支配が始まるのか?


                続く

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