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守るべき注意点

異世界捜索隊はついに異世界の扉を開き歴史的な一歩を踏み出した。

これで当初の目的は果たしたことになるだろう。

後はどこまで探索するかだが……


ここに来て突如浮上したのがミルルへの違和感。

いくら優秀な案内役とは言えミルルはあまりにも詳しい。

しかも出し惜しみしてる節もある。

ミルルの正体が気になるところ。


「いえ噂に過ぎません。どこの誰が言ったか定かではありません。

ただそのような噂が流れています。いえ流れていました。私の集落では」

「ミルルさん。あなた方はまさか…… 」

ミホ先生が核心に迫る。

「はい。昔旧東境村で生活を送っていたそうです。

なぜ今旧常冬村で暮らしているのかはまったく。しかし…… 」

ミルルの告白はここまで。

含みを持たせた最後の言葉や集落の者の過去も気にはなる。

だが今は目の前のこと。即ち異世界に集中すべきだろうな。


「他に言っておきたいことや注意点は? 」

この際すべて吐いて楽になるといい。

「ええ…… そうですね。この世界はあちらの世界と仕組みは同じです」

ミルルが言うあちらとは我々の世界。この世界とは異世界のこと。

分かり辛いが今は異世界にいるので。ここは現在世界とでも言えばいいだろうか。

だから我々のいた元の世界は異世界になる。


異星人と同じようなものだ。

地球から飛び出し新しい星にたどり着けばそこは異星人が住む世界。

だが実際は我々が異星人なのだ。

この手の話はイセタンが詳しい。

そう言えばイセタンは完全回復したかな?


「それから気を付けることと言えばこの扉でしょうか」

「扉? 」

「はい。絶対に守って欲しいことが一つ…… 」

異世界にたどり着いたことで弛緩しきってる中一人真剣な表情のミルル。

あまりにも真剣なのでリラックス! リラックス! と言ってやりたい。


「ミルルさんは扉がどうだと言うんです? 」

「一日以内。日が沈むまでにこの扉を抜けなければ一生戻れません。

それだけは頭に入れておいてください」

ミルルが忠告する。


俺は慌てて確認することに。

「ちょっと待ってくれ! 一生って言ったな? 戻れないってのは本当か? 」

まさか大げさに言ってる? 

「はい。この扉は入り口です。出口は他にあると言われてます。

もし日が沈み一日が過ぎると自動的に閉まり決してこちらからは開きません」


衝撃的な事実が明らかに。

このことに気が付かずに一日が過ぎれば俺たちは閉じ込められてしまう。

とてつもなく恐ろしい未来が待っていた。

そのことに気づかせてくれたのは紛れもないミルル。

彼女の協力がなければどうなっていたか。感謝しても感謝しきれない。

おかしな疑いなどかけるべきではないな。

命の恩人なのだから。

それほど貴重な情報を手にした。


「一日以内? 日が沈むまで? 一体どちらが本当だ? 」

はっきりしないミルル。まったく違ってくるぞ。

とは言えその場合は安全策として日が沈むまでに戻るとしよう。


「分かりません。でも本当に気を付けてください。

閉まってしまえば出口を探す以外脱出する方法はありませんから」

それは要するに長い長い旅になると言うことらしい。

我々が苦労したその何倍もの時間をかけて異世界の出口を探す。

それはほぼ不可能に近いだろう。


「ミルル…… 」

「分かりましたね皆さん? きちんと伝えましたから」

いつになく口調が厳しい。

これは冗談なんかじゃないと言うことだろう。

扉の件は守るべき重大事項だときつく言うことが彼女の役割であり思いなのだろう。


「いいんじゃない。要は一日経過しないで日暮れ前に戻ってくればいい訳でしょう?

楽勝だよ。ねえタオ? そうでしょう先生? 」

そんな風に呑気なアイ。守れるのか? お前が一番不安だ。

「そうですよミルルちゃん。そこまでデリケートにならなくても。

私たちなら大丈夫ですから」

ミホ先生が笑い飛ばす。

そうだよな。何をビビる必要があるんだ。

一日もあれば異世界探索は完了するさ。


「あのミルル。もし一日が経ったとして再度行くことはできるのかな? 」

何もずっと中にいる必要はない。

探索を終えて日暮れ前に戻り再び探索すればいいだけだ。

「それは分かりません。ただ一定時間閉ざされたままだと聞いたことがあります」

どうやら限りなく低いようだ。


                続く


AN

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