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光の道の終着点

<絶望の楽園編>


「よし行こう皆! 異世界へ! 」

「オウ! 」

異世界探索隊はついに念願の異世界へ。


光の道は細く狭い。一人ずつ通るのがやっとだ。

もしこの光の道を外れたらどうなってしまうのか?

実験してみたい気もするが…… 危険は冒せない。

まだ異世界にはたどり着いてないのだ。


ただここも異世界の一部と言えなくもない。

少なくてもここでは日本の法律どころか世界の法律さえ及ばない。

保護されることも捕まることもない。

ある意味俺たちは自由だ。

異世界に行きついに完全なる自由を手に入れたのだ。


これは喜ぶべきことか? それとも恐れるべきことか?

どの道ここからは俺たちが法律だ。

おっと…… 今はゴチャゴチャ考えずにもっと感情を爆発させるべきだろうな。

それは分かってるんだけど。ついつまらないことを考えてしまう。

この際つまらないことは後回しにすればいいさ。


この光の道は恐らく異世界と異世界をつなぐものなのだろう。

もしかしたらアークニンもここではないどこかで光の道を通ったのかもしれない。

だが奴は異世界には入れなかった。

それは奴にはその資格がなかったから。

でも我々は違う。すでに条件をクリアしている。

アークニンの示した条件であるならばだが。

後は勇気を出して異世界に飛び込むこと。それだけだ。


イセタンは元気を取り戻しつつあるがまだ支えられてしか歩けない。

ミホ先生の手を借りて一歩一歩ゆっくり。

頑張れイセタン! もう目の前だぞ。

異世界はイセタンの悲願だったからな。

それこそ異世界探索部を創設したほどの力の入れよう。

俺なんかとは比べ物にならないほどだろうな。

今夢が叶ったんだから這ってでも行くだろうさ。


「なあカズト。イセタンは大丈夫なのか? 」

「大丈夫なんじゃないの? 問題ないって」

もう気に掛ける様子がない。

あれほど二人は仲良しだったのにカズトの奴はどうしたのだろう?

やる気満々で笑いながら急ぎ足。俺を追い抜く勢いだ。


いくら一本道で迷うはずないとしても姿が見えなくなったら危険だ。

きちんと後ろを確認し問題がないか徹底する。

浮かれててはいけない。俺は引率の教師なのだからな。


もうここまで来れば夏合宿は当然ながら異世界探索も成功だったと言える。

随分と日数を要したがそれも後で言い訳を考えておけばいいさ。

その頃には大騒ぎになってるかもしれないな。

異世界発見の第一人者か? うん悪くない肩書だ。

おっと…… これではアークニンと何ら変わらない。


アークニンと言えば確か祝い酒をくれたっけ。

異世界を発見したら全員で飲むように言われた。

確かまだパックバックの奥の方に締まってあったよな。

乾杯でもしようかな。ははは!


それにしてもカズトの奴はタフだな。初日とはえらい違いだな。

多少成長したのかな?

これもすべて俺の指導の賜物だな。


一行は俺を先頭に光の道を奥へ奥へ。

どれくらい歩いただろうか?

どれくらい時が経っただろうか?

細い光の道をひたすら奥へ奥へ。

果てない道を前へ前へ。

そしてついに細い道の終着点へ。


よく見るとここの終着点に向かって伸びる光の道は一本だけではなかった。

複数の光の道が存在する。

左にも右にも同じような光の道がある。

光の道の終着点。

それは他の道の終着点。

即ち無数の光の道の集まった一点。


合体した光の道。

その先に何かがある。

これは何だ?

扉?

扉が見える。

扉が存在する。

扉が! 扉が!


ついに夢にまで見た異世界。その扉が目の前。

我々異世界探索隊はついに悲願の異世界へ。


うんうん。嬉しいぞ。感動したぞ。

大はしゃぎしたくなるほど。自分を抑えるのがやっと。

もはやルーズコントロール状態。

もしミコが踊ってくれと言ったら一緒に異世界の舞を披露したっていい。

ミホ先生は当然そうするつもりだろう。

そうだ。皆で軽く舞ってみるのも悪くないな。


「先生! 」

ぼうっとしてるところを促される。

異世界の扉を開けるのは当然隊長の仕事。

「よし開けてみるぞ! 」

扉は重いが思いっきり力を込めれば開きそうだ。


まず扉を後ろに引く。

まったく動かない。

次に前に押してみる。

力を込めて思いっきり。


ギギギ……

ゴゴゴ……

扉は嫌な音を立てて開く。

ついに扉は解き放たれた。


                 続く

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