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光の道 異世界と異世界をつなぐもの

「先生まだ? アイお腹空いちゃった」

「その手に持ってるのは何だ? さっきからポッキーばかり食いやがって」

「冗談でしょう? 皆に分けてるよ」

「カズトが頑張ってるんだから大人しく見守ってやれ」

「先生だってミホ先生とおしゃべりしてさ…… 」

「バカ! これは今後のことを話してたんだ」

「嘘ばっかり! 」

アイが疑いの目で見る。

「そうですよねミホ先生? 」

「はい。私たちの将来のことを真剣に話し合ってました」

「ホラやっぱり。もう先生最低! 」


異世界にたどり着いたと思って浮足立っている。

アイもミホ先生も上機嫌でふざける。

他の者もカズトに託して休憩タイム。

さすがにイセタンは疲れて目を閉じているが。

真面目にやってるのは監視役のタオと異世界の舞を披露してるミコぐらいなもの。

それ以外はリラックスしておしゃべりに興じている。

こう言う気の緩んだ時が一番襲撃されやすい。

ただここは鏡の墓場だから化け物も中々手が出せない様子。

俺たちは一人黙々と作業するカズトを寛いで見守るしかない。


「先生食べないでよ! 」

「ははは…… 良いじゃないかケチケチするなって」

「もう先生ったら…… 」

アイはそう言うと咥えたポッキーを奪っていきやがった。

何て食い意地の張った奴なんだ。

ふふふ…… アイの奴め随分キャラが変わったな。


ぴー! ぴぴー!

思い出したように笛が鳴る。

上空に化け物が現れた。

奇声を上げ一気に襲って来る命知らずの化け物。

避けるのも億劫だが相手も本気だからな。

襲撃にはもう慣れっこ。華麗にかわすメンバー。

反撃する間もなく鏡に吸い込まれていく哀れな化け物。

そして何事もなかったようにおしゃべり再開。


「よしこれで最後だ! 」

大声をあげてナイフを抜くと後ろを向き完了を知らせるカズト。

うんうん。よくやったぞカズト。褒めてやりたい。抱きしめてやりたい。


「誰か手伝ってくれ。早く! 」

重い鏡を一人で外そうとするので急いで加勢する。

二人でどうにか重い鏡を外す。

「終わった! 」

カズトが雄たけびを上げると他の者も騒ぎ出した。

「やった! 」

「異世界へ! 」

「青井先生! 」

「うう…… 気持ち悪い! 」

皆口々に喜びを爆発させる。


くり抜いた鏡の本体を慎重に置き中を確認。

どうやらミルルが言うように鏡が二枚重なってくっ付いていたらしい。

邪魔な一枚を剥がしようやく準備が整った。


こうして異世界の扉が姿を見せる。

白い光の道がどこまでもどこまでも。


隊長である俺が責任をもって一番に光の道へ進む。

カズトが後ろから。アイとタオが続く。

その後をゆっくりミホ先生に支えられながらイセタンが。

喜びの舞を終えたミコが慌てて中へ。


「ミルルさんどうかしましたか? 怖いですか? それとも…… 」

入ってこないのでミホ先生が呼びかける。

迷ってるようだ。恐怖ではなく強い思いからだろうか。

ここまで来て躊躇うのか? まずは一度中へ入って欲しい。


「済みません。どうしても足が動かなくて……

本当にこの先が異世界なら私はこれ以上進むべきではない。

戻らなくてはいけません」

躊躇う気持ちも分からないでもないがここは潔く諦めてもらいたい。

いや待てよ…… ミルルは案内役なのだからここまででいい?

我々はよそから来た呑気な観光客。

それに対しミルルは祖父からも周りからも強く言われていた地元の者。

旧東境村に行くのでさえ夢だったのだから確かに荷が重い気もする。


禁を侵すのが地元の者であってはならない。

言い伝えや伝説があればそれを求めてやって来る者。

対して阻止しようとする勢力。ミルルは全力で阻止する方に決まっている。

無理して連れてきたのだからここまででいい気も。

後はミルルの判断に任せるとしよう。


「何を今さら! ふざけるな! 早く来い! 」

カズトは異世界に興奮し有無を言わせない強硬な姿勢。

そう言う残念なところがあるよなカズトには。

「カズトよせ! ミルルが無理だと言うならここまででいい」

「分かったよ」

「隊長申し訳ありません…… 」

揺らぎ続けるミルル。果たして彼女はどう判断する?

昔からの因習に囚われ続けるか? それとも新しい世界で自由を謳歌するか?


「ここまでで結構。でももう夜だ。さすがに一人で帰らすのは危険だ。

せめてここで一晩過ごしてゆっくり帰ればいい」

ミルルを誘惑する。こことは当然異世界。

一歩踏み入れれば戻って来れる保証はない。


「でも私…… 」

「どうだいミルル。我々は長居はしない。

一緒に来ないか? せっかくここまで来たんだからさ。

異世界を覗いてみるのも悪くないよ」

「はい…… 分かりました隊長! 私も行ってみます」

ミルルから強い意志を感じる。

ついに解放されたか?

もし解放されたなら俺が全力で受け止めてやる。その覚悟はある。

おっと…… 俺はまた何を考えてる? 異世界が見つかって浮ついてるのかな?


ようやく納得させて光の道へ。


「よし行こう皆! 異世界へ! 」

「オウ! 」


こうして異世界探索隊はついに異世界へ。

異世界に待ち受けているものとは果たして?


異世界探索編 完


次回からついに異世界へ。


絶望の楽園編スタート。


                 続く

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