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異世界への鍵

第三ゾーン・鏡の墓場。

世紀の大発見をしたと言い張るアイ。

だがどうも疑わしいんだよな。

アイはいい加減だからさ。


「ほらアイの言った通りでしょう? 」

そう言うアイの姿も映らない。

まさかこれなのか?

これが扉?

これが異世界の扉だと言うのか?

 

「よし。イセタン待たせたな」

カズトと二人でイセタンを鏡の前へ移動させる。

イセタンはどうにか意識を保ってるが再び失神しかねない非常に危険な状態。

「あれ…… 痛くない。もう耳が痛くないぞ! 」

痛みから解放されたイセタンは大喜び。まだ体力は残っていたようだ。

もちろんまだ無理はさせられないが。


異世界の扉の前に立ち案内役としての役割を終えたのか?

またはカズトのように慣れたのか?

こうしてようやく苦しみと痛みから解放されたイセタン。

復活を遂げるイセタンであった。


「さあどうする? ミルルは何か聞いてないか? 」

小出しにしていたミルル。ここに来て再び我々を導くのか?

それとも沈黙を貫くのか?

「まったく覚えがありません。動かしてみてはいかがでしょう」

どうやらミルルの役割もこれまでらしい。

「いやそれは無理そうだ。固定されていてとてもとても。

違う方法を考えてみてくれないか皆? 」


俺の注文に最初に応えたのはミホ先生だった。

「何か合言葉がいるのでは? 」

「ええっ! 」

「またかよ! 」

「合言葉…… そんなの無理! 」

生徒たちは不満を述べる。俺だって考えるのはもう勘弁して欲しい。


「青井先生はどう思いますか? 」

「うーん。それはどうでしょう。ミルルの意見は? 」

敢えてミルルに振ってみる。

「合言葉でないなら鍵を差し込むなんてどうでしょう? 」

自信満々のミルルには悪いが無理があるよ。

鍵と言えば第三ゾーンへ入る時に使った鍵があるにはあるが……

これをまた使うの? 絶対ないとまで言わないがかなり期待は薄い。

「それはどうかな。肝心の鍵を差し込むようなところは見つからないんだが」

どうすればいい? ここに来て難問が降りかかる。


俺には無理だ。誰か? 誰でもいいから教えてくれないか? 

おっと人任せにしてどうする。ここは考えるんだ。考えろ!

引率の教師として顧問として生徒たちに恥ずかしいところを見せられない。

だがいつ化け物に襲われるともしれない緊張状態から思いつかない。


「先生! 割っちゃいましょう。そうすれば異世界が出てくるよきっと! 」

「おお! それ良いな」

いい加減なアイの考えに流されそうになる。

ははは…… 疲れてるんだな俺……

「それはいいかもね。アイ」

あの真面目で冷静なタオまで。どうなってるんだこれは?

夢か? 夢だろうきっと。

「よし任せろ! 」

アイの戯言を真に受けてカズトまで参戦。


「ちょっと待てってカズト! 」

「先生はそこで大人しくいていてください」

「いやそう言う訳にも…… 」

もう疲れて皆考えることを放棄したか?

思考停止した人間は大胆な行動に出ることがある。

まさか異世界に繋がると言う鏡を割ると言うのか?

もし異世界に繋がっていたとしてもそれでは閉ざしかねない。

決してお勧めできない。慎重にも慎重な対応が求められる。


生徒たちは異世界が目の前とあって浮足だっており冷静さを欠いている。

なぜ割ったり壊そうとしたりするんだ?

それはある意味神聖なものを侵すことにならないか?

穢れた者の最悪の選択に違いない。


「よしこの石で叩き割ってやる」

足元に置いてあった手頃な石を手に取り鏡めがけて振り下ろすカズト。

うんワイルドだな。


一人鏡に立ち向かうカズト。

一人の行動がきっかけを作りヒントが生まれることもある。

何でもやってみることが肝心。

でもぶっ壊すのだけは危険すぎる。

覆水盆に返らずと言うしな。


ガンガン

ドンドン

叩いて叩いて叩きつける。

まるで壊れてしまうのではと思うほど強く叩く。それが…… 何だっけ?

しかしまったく効果がないようだ。

あれだけ一心不乱に打ち続けても何の打撃にもなってないような。

「おい待てカズト! 何か違うもの。石なんかでは割れっこない。

何かないか皆? 」

今こそ異世界探索隊が団結して知恵を絞るべき時だ。


ミルルが何か言いたそうにしてるが決心がつかないようだ。

困ったな…… こんな時に出し惜しみする気か?

「このままだとここで夜を明かすことになるんだぞ。いいのかそれでも? 」

ミルルは責められないので皆に強く訴えることにする。


               続く

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