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映らない鏡

ミラーロード?

どちらかと言えば鏡の墓場と言ったところか。

これをごみと捉えればごみの最終処分場とも言える。


ワクワクする気持ちを何とか抑え一歩ずつ一歩ずつ近づく。

それにつれてイセタンの顔がどんどん歪んでいく。

近いぞ。近くなっている。

「どうだ? 」

「はいもう限界です。近い。とにかく近いんです」

イセタンは痛みと苦しみで我慢の限界。

いつぶっ倒れてもおかしくない。


鏡の墓場には無数の鏡が重なるように棄て置かれている。

その一つ一つを丁寧に確認。

「おい皆手伝ってくれ! 俺一人ではいつまで経っても終わらない。

今こそ全員の力が必要だ。さあ団結せよ! 」

「おう! 」


動きの鈍い足をどうにか引きずって一つ一つ確認していく生徒たち。

これで最後ならやる気も出ると言うもの。

「これか…… いや違う! 」

「もしかしてこれ? うわ! これじゃないや」

すべての鏡をチェックする勢いで。

「おいお前たち! ゆっくりでいいからきちんと確認しろ」

取り残しがあっては目も当てられない。

もちろんそれでも二度も三度も確認するだろうが。

「はーい! 分かってますよ! 」


異世界の扉か…… 一体どう言うものだろうか?

そもそもモノを知らなければ見つかるものも見つからない。

だがその地道な作業を続ける中で一つの考えが閃く。


異世界は鏡によって隠されているのでは?

イセタンの反応からもそれはまず間違いない。


鏡の墓場の三分の二を確認。

急いで確認したので確実ではないが恐らく残りの三分の一にあるはずだ。

ただそう思うだけで何の確信もない。あるかもしれないしないかもしれない。


さあ早くたどり着け!

急がなければ光を失ってしまう。

もう周りに気を留めることもなく一心不乱に鏡の確認。

こんな時に怪物が現れたら一貫の終わりだ。

だから一人監視役をつける。


監視役にはタピオカ部がいい。異世界にさほど興味がないからな。

アイに任せると取り返しのつかないことになりそうだからタオに頼むことにした。

「どうだタオ? 」

「今のところ向かって来る気配はありません」

攻撃態勢に入ったらすぐに知らせられるように笛を持たせる。

ただ急がなければ闇に包まれてしまう。そうなったら対処のしようがない。


左に移動。

白いモヤで道が続いてるのか不確かであるかないか分からずに突っ込んでいく。

暗くなったことで前を余計に捉えることが難しくなっている。

ああ早くしなければイセタンが壊れてしまう。

どんどん顔が青くなっていく。

堪らずにミホ先生が介抱。

意味があるのかないのかもよく分からないが寝かされ目を閉じてさえいる。

まずいな。イセタンに付き添う形で脱落。

もう目前でこんな事態になるとはな。これも全部俺の責任だな。


「先生! 先生! 」

アイが大騒ぎする。

まったくこんな時に不謹慎な奴だな。せめてイセタンのために祈ってやれよな。

「ホラ早く先生! 」

アイのやかましさに辟易する。ああどうして静かにしてられない?


「何だアイ? お前うるさいぞ! 」

ついイセタンが心配になってアイを雑に扱う。

それでも不貞腐れることなく必死に訴えかける。

「左の鏡。ねええ? そうでしょう? 」

「何がねえなのか? 訳が分からんぞ! 」

「だからもう! ミホ先生お願い! 」

「ですから青井先生。彼女は左の鏡が変だと言ってるんです」

ミホ先生の通訳があってようやく理解できる。

要するにアイは世紀の大発見をしたかもしれないとそう言うことらしい。


「それでどこが変なんだ? 」

「えっと…… 映らないの…… 鏡が映らないの! 」

また訳の分からないことを言ってやがる。もう勘弁してくれよ。

こっちは睡眠不足と歩き過ぎで疲れてるんだからさ。

「鏡が映らないはずないだろ? ただ割れたか壊れたかしてるんだろ? 」

堪らずため息が出る。

「ホラ先生。アイみたいにやってみて」

理科の実験かよ? 俺は英語の教師だっての。専門外さ。


仕方なく言われたとおり左の鏡の前に立つ。

うん? 本当に俺の姿が見えない。いくら立っても映らない。

だからってもちろん壊れてるのでもなければ割れてるのでもない。

これはどう言うことだろう?

「ほらアイの言った通りでしょう? 」

そう言うアイの姿も映らない。


まさかこれなのか?

これが異世界へと通じる扉なのか?


               続く

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