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ついに第三ゾーンへ

まさかのトラと遭遇。危うく食われるところだったがそこに救世主が現れる。

何とそれが我々を苦しめた化け物。

ハンターが一瞬で獲物へ。

哀れなトラは化け物によって食い尽くされてしまった。

目の前で目撃した俺たちは恐怖から足が竦みその場を離れることができなかった。


夕暮れ間近。

四時を回ったところ。

夕方になるにつれて闇が深まりつつある。

「あれは何だ? 」

カズトが耳を押さえて音のする方に音のする方にと近づいていく。

「危ないぞカズト! 勝手に動くんじゃない! 」

注意するがちっとも言うことを聞かない。困った奴だな。

それともまさか聞こえないのか? 

いや違う。どうやら本当に何かを発見したらしい。


「先生! 早く! 」

こっちに来るように叫ぶ。

「だから危ないと言ってるだろう? 」

勝手な行動は控えてもらいたい。それはカズトのためだけではない。

皆を危険にさらす行為なのだから。

念のために辺りを見回して化け物がいないかよく注意する。

警戒は怠らない。少しの油断が命取りになる。

だからその分慎重にもなるし緊張もし疲れるのだ。

うん問題ないだろう。


一段と深まったモヤを抜けると頑丈な門が見えてきた。

皆つい大声を上げてしまう。

ふふふ…… これで第三世界だぞ。うんうん。良いペースだ。

そう思ったのも束の間。化け物が奇声を上げて後方から近づいてきた。

どうやらたいまつの効果がなくなったのか逆に引き寄せられてるようだ。


「よし急いで鏡を持て! 」

もう手慣れたもの。皆自信を持って対処する。

そう怖くない。もう何も怖くない。


ギャアギャア!

ギャアギャア!

やかましいほどの奇声を上げ最後の抵抗をするが鏡の威力には敵わない。

いくら化け物が恐ろしく不気味でも弱点の鏡さえあれば怖くない。

経験も随分積んだ。ただそこで隙が生まれるのも事実。

もう一度気を引き締めるためにも厳しく当たる。

「ホラしっかりしろ! 食われても知らないぞ! 」

「先生! 言われなくても分かってるって! 」

生意気な者が数名。困った奴らだ。過信してるな。

「口答えするな! しっかり鏡を持て! 」

こうして襲撃者は消滅。

誰もケガすることなく第二ゾーンをクリア。


門が目の前。

ここからついに第三ゾーン。

即ちデッドゾーン。比較にならないほど危険なゾーンへ。

黒い頑丈な門。簡単には開きそうにない。

やはりこの門を開けるには鍵が必要になってくる。


ガチャガチャ

ゴーンゴーン

ガチャ

ギギギ……

ゴー

グググ

ギュイーン


当主・唄子様より預かった鍵を回し門を左右に強く押す。

そしてようやく人ひとりが通れる空間が開く。

よしもう少し。あとちょっと。もうちょっとだ。

「ガンバレー先生! 」

「青井先生もう少しですよ」

声援に応えるように門が完全に開く。

何と言っても初めてのことだからな。少々手間取ったが問題ない。

「ふう…… ようやく開いた。さあ皆次のゾーンだぞ! 」


ゾーンファイナル。

通称デッドゾーンへ足を踏み入れる。

第三ゾーンはそれほど変わりない気がする。

ただそれが逆に怖い。不気味だ。


夕方になり辺りは暗くなっていく。

異世界を早く見つけなくては……

誰もが落ち着かない様子。

第二ゾーンでは運よく自然のフンが手に入った。

これは野宿用に取ってある。

そして大量のフンを効率よく手に入れることもできた。

ここ第三ゾーンでも変わらずにできるだけ多くのフンをゲットしておきたい。


すう……

風などないと言うのに吹かれたように突然消えてしまう。

何だかとても嫌な予感がする。

急いで新しいフンに火をつける。

もう慣れたからな。当然いい臭いだなんて思わない。

この煙が、この独特の臭いが我々を守ってくれるのだと思うと愛しい気も。

ふふふ…… どうやら俺は狂ってしまったらしいな。


カズトがたいまつを片手に先頭を引っ張る。

本来は異世界探索部の部長のイセタンが相応しいがどうも無理そうだ。

まだ耳が慣れてないと頻りに押さえる。本当に大丈夫かと心配になってくる。

これが彼らの使命だとしても俺がどうにか代わってやりたい。


だがアークニン曰く俺ではダメらしい。

穢れを知らない若者がその役割を担うそうだ。

仮に俺の耳が痛くなったり悪くなってもそれはただの旅の疲れか気圧の関係。

だから俺では絶対にたどり着けない。


異世界発見は二人の耳に掛かっている。


                 続く

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