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地獄絵図 トラ対化け物

空からやってくるとんでもなく恐ろしく邪悪な生物。

それが異世界からの使者である化け物だ。

しかしデンジャラスゾーンはそれだけではないのがまた恐ろしいところ。

上ばかり見ていては取り返しのつかないことになる。


我々が発する臭いによりハンターが目覚める。

気づいた時にはもう遅い。

殺気をまき散らしたトラが一直線に襲い掛かってきた。

どうやら我々は奴の縄張りに入ってしまったらしい。

お邪魔しましたで済むはずがない。

とにかくトラの気を逸らす必要がある。


「うおおお! 」

大声で威嚇。とにかく何でもいいから叫ぶ。

どうやらトラにも多少効果があったようだ。

一旦怯み立ち止まったところで手に持っていた鏡を向ける。

一度目はそれで怯んだがすぐに襲い掛かろうと立て直す。

二度目に鏡を向けても動じなくなってしまった。

それでも当て続けるがあまり効果がないらしい。


うごおお!

うめき声を上げ舌なめずりをすると草を強く掴み弓のように体をそる。

再び突撃態勢に入ったハンター。

涎を垂らしもう我慢の限界だと。それでも我慢するのが長生きの秘訣だと思うが。

しかし汚いな…… 

そんな呑気な感想はいらないか。

もうすぐ第一の犠牲者が出る。それが誰かまで分からないがその事実は変わらない。


「うがああ! 」

ついにロックオンしたらしい。

確率としては八人だから八分の一。

運の良いあるいは悪い奴がターゲットになる。

俺はなるべく大人しく後ろにあとずさり。

存在を消すように心がける。

こう言う時に助かるか助からないかはいかに騒がずに冷静な行動を取れるかだ。


全員がかけがえのない仲間だ。

隊長である俺が仲間を犠牲にして助かろうとは正直思ってない。

ここは敢えて俺が騒ぐことで引き付け他の者を逃がす作戦に。

「こっちだ! 」

決死の覚悟で臨む。


うごおお!

獲物を前に雄たけびを上げてふざける余裕ぶり。

もう逃げられないだろうと油断している。

そこに影が迫る。


トラが…… トラが…… 

もはや信じられない光景に皆絶句する。

雄たけびを上げたトラがいつの間にか襲われている。

ハンターが獲物に変わる瞬間。

肉食性の何かに急所の首を噛まれる緊迫した状況。

為す術なく食されていく。

大きな翼を持った圧倒的な大きさの化け物に。


異世界より放たれた化け物。

化け物はトラを食い尽くすばかりの勢い。

我々はその様子をじっと見守るしかない。逃げるなど微塵も頭にない。

もう残酷だとかそう言うレベルを超えている。

もはや清々しいとさえ思える捕食シーン。


一体何が起きた? 何が起きているんだ?

トラはむなしく化け物によって解体されて肉になっていく。

食事して隙だらけの今こそ逃げる絶好のチャンスだがそれでも体が動かない。

トラを食い尽くした化け物は我々に気づいたらしい。

絶体絶命のピンチ。


まさかまだ足りないと言うのか?

あれだけのものを食ったんだ。動けずに緩慢になるだろ普通?

それなのにこちらに向かってくる。まさか冗談だろ?

本能なのか? 躊躇なく襲い掛かろうと。


「青井先生! 」

「先生! 」

「大丈夫だ。落ち着けって。こっちには鏡があるだろ? 」

襲ってくる化け物に一斉に鏡を照射する。

どうやら化け物は動きを封じられているようだ。

それでも激しい抵抗を見せる怪物。お食事を終え体力充分と見える。

一分が経過してもその勢いは衰えない。何て奴だ。

まさに化け物に相応しい。

まさか耐えると言うのか?

想定外の粘りについ手が震えて鏡を落としそうになる。


ふう…… どうにか二分経過したところで消滅。

「危なかった…… 助かったな。さあ急いでたいまつをつけるんだ! 」

こうして一応の対策を取る。


「あの青井さん…… 気を付けてくださいね。

店で買ったフンは数十分で効力を失います。

それだけでなく効力を失ったたいまつは逆に化け物を引き付けてしまう欠点が。

自然のフンは半日から一日は持つと言われていますがそれもどうか」

「ああ気を付けるよミルル。さあ火をつけるぞ! 」

先頭のカズトと最後尾に回った俺がたいまつを持つ。

他の者は上空に目を凝らし鏡を手に。

これが最低限出来ること。


ミルルのおかげで化け物はもちろん獣に遭遇することもなくなった。

しかし化け物とトラでは一体どっちがましなのだろうか?

状況によるよな。

化け物は鏡さえあれば何とかなる。

それに対してトラはたいまつを怖がるが限定的。

飢えた巨大トラが死に物狂いで襲ってきたら勝てない。


               続く

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