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化け物同時襲来

イセタンとカズトに異変。

第二ゾーンへ入ってすぐに耳に異常を来す。

幻聴が聞こえるだけでなく徐々に耳が痛くなったと喚く。

もし気圧の変化だとすれば我々も同じ症状が出ていなければおかしい。

しかし二人以外が苦しむ様子は見られない。

ただの耳鳴りとも思えないから不気味。

これ以上悪化すればどうなることか。


ミルルの様子も明らかに変だ。

二人が苦しみだしてから挙動がおかしい。慌てた様子。

どちらかと言えば積極的に話すタイプではないが俯いて表情は強張っている。


「どうしたらいいミルル? 」

敢えてミルルに。ここに一番詳しい旧常冬村の者に尋ねるのがベスト。

だが当然対処法まで分かるはずもなく首を振る。

「耳を塞げばいいんじゃない? 」

アイが閃く。単純だが盲点ではあった。

二人は耳を押さえるが完全に耳を塞ぐことはしていなかった。


「よしアイの言う通りに。両手で耳をふさげ! 」

そうすれば少しは和らぐはず。

アイに言われるまで思いつかなかったのが実に情けないが。

イセタンとカズトは言われるまま耳を塞ぎ音を遮断。

すると徐々に痛みと苦しみが和らいでいくようでどうにか平静を取り戻した。

これでいい。おかしな現象。原因を探る必要はあるが今は無理しなくてもいい。

そのうち解明されるさ。


「あれ? 治ってきたぞ! 」

「よし二人とも落ち着け! ここでパニックになったら思うつぼだ。

涎を垂らし舌なめずりして待ち構えている化け物の餌食になるだけだ」

まさかこれは化け物が発している? それなら最悪だ。

ただの偶然の場合もあるから何とも判断しにくい。

「そんなこと言って…… どうしたらいいんです先生? 」

「そうだぜ! うわああ! 」

まだ冷静なイセタンと恐怖で発狂しそうになるカズト。

カズトの気持ちもよく分かる。俺だって怖い。

発狂して走り回ったほうがどれだけ楽か?

でもそれはただの思い込みで最悪の選択でしかない。

無警戒な奴を狩るほど楽なものはない。今こそ恐怖に打ち勝つ時だ。

言うのは簡単だが行動に移せる者は僅か。


二人に気を取られて全体の把握が疎かになる。

さっきから様子がおかしい者が一名。ミルルだ。

「どうしたミルル? 」

違和感があったが何でもないと流す。まだ打ち明けるだけの信頼を得てないのか?

それとも単なる見間違いか? そんなはずはないんだがな……

「さあ急ぎましょう」

ミルルは誤魔化そうと敢えて勇ましい行動に出る。

「よし駆け足で抜けるぞ! 前の者に付いて行け! 」

「オー! 」

気合を入れ直して再び始動。


うぎゃああ!

がああ!

不快で耳障りな叫び声。

少なくても三匹は居るに違いない。

想像するだけで足が竦む。それが全身に波及しブルブル震えだす。

堪え切れずに大声を出そうとするが口を強引に塞ぎどうにか気づかれずに。

こんなことを続けていれば生徒だけでなく俺まで狂いそうだ。

いやもう自覚がないだけで狂っているのかもしれないな。


来た。再びの襲来。

モヤで全体が見通しづらいが広い大地には鏡があるのみ。

何とも殺風景な場所。

どこも似たようなものだろうが第一ゾーンとどうしても比べてしまう。

化け物が二匹同時に襲来。

これはもはや無事では済まないだろうな。

犠牲者が出る? それは俺なのか? それとも…… 

覚悟が必要だ。今まさに運命の時。


イセタンとカズトの二人は精神的にも肉体的にも疲労している。

無理はさせられない。ここは残りのメンバーで応戦。

手鏡では封じ込めるはおろか消滅させるにも威力が足りない。

だから一斉に鏡を反射させるしかないが二匹だからな。

二匹なのでどうしても分散させないといけない。

鏡の威力に比例するものの三人合わせれば何とか消滅させられるはずだ。

まあ無理なら諦めて生贄を差し出し延命を図るかな。


闇雲に鏡を当てるのではなく仲間を信じて分担する。

「いいか。アイとタオは俺と一緒に。ミコとミルルはミホ先生と。分かったな?」

「はい! 」

やれることはやった。後は鏡の威力に頼るしかない。


「先生まだ? もう疲れた」

アイは文句ばかり。

きつかろうが痛かろうがやるしかない。

「鏡を照射し続けろ! 」

ここで気を抜くと命取りだ。

「もうダメ! 」

「うわ待て! もう少し。もう少しで…… 」

アイが手を放してしまい万事休す?


「頑張って! 」

一匹目を消滅させたミホ先生が加わる。

どうやらミホ先生たちの方が威力があったのか相手が弱ったのか。

個体差があるのは当然と言えば当然かな。

続けてミコもサポートに回る。


こうしてどうにか怪物を消滅させることに成功。

危機を脱した。


                続く

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