旅立ちの朝に(再)
ついに合言葉が判明。これで第二ゾーンへ。
唄子様から第三ゾーンの鍵も手に入れた。
後は準備するだけ。
明日には出発できるだろう。
「はい右と左のことです」
嘘だろ? ものすごい単純。ガキじゃあるまいし。どこかイカレてるぜ。
「そう正解。有料でこのからくりをもっと深く教えることもできるよ」
商売っ気を出すちっとも反省しない男の言うことを無視して皆で盛り上がる。
「やった! 」
「これでようやく次のゾーンだ! 」
「異世界へレッツゴー! 」
「明日なんですね? 明日には第二ゾーンへ行ける」
皆それぞれ浮かれて嬉しさのあまり感情を爆発させる。
そうそれでいい。大人しくなどしていられるか。
ミコは再び喜びの舞を盛大に披露する。
ハイテンションなので大笑いして拍手まで贈る狂いっぷり。
妙に明るいメンバーであった。
ミホ先生とついハイタッチ。情けない。俺まで浮かれてどうする?
しかもミホ先生までだから誰がコントロールするんだよ?
「よし今は気分がいい。詳しい帰り方を教えてやる。メモしてやるからな」
さすがにこれなら帰れるだろうな。
「クッククク…… 」
全員で喜びを分かち合い大盛り上がりの中一人不気味に笑う。
なぜ笑っているのか見当もつかない。
まさか馬鹿な生徒たちだとでも思ったか。だとすればものすごい恥ずかしいこと。
でも違う気がするんだよな。結局男は口を割らなかった。
不気味だがそこまで気にすることでもないよ。きっと……
収穫は十分。
店を後にする。
本日は大変大きいものになった。
何気ない気づきがここまで劇的に変化したから分からないものだ。
明日の希望になる。十分すぎるほどの収穫だ。
夜になる前に館に戻る。
おいでおいで
再び起こる夜の儀式。
俺は全力でイセタンとカズトを守るつもりだ。
たとえ俺の体を犠牲にしたとしても。
それは俺が教師である以前に男でもあるからだ。
絶対に阻止! それだけを胸に過酷な試練に耐える。
耐えることそれは即ち人生なり。
おいでおいで
誰が何と言おうと守るのだ。大切な大切な生徒だからな。
こいつらに何かあったら顔向けができないからな。
うん? 明るい。もう夜明けのようだ。
「よし出発だ! 」
「おお! 」
異世界探索隊出発!
ついに今日異世界の扉が開かれる?
少なくても第二エリアまでは到達するだろう。
ただそこに行くまでも危険。
第二エリア自体も昨日とは比べ物にならないほどの危険が付きまとう。
それは叫ぼうが喚こうが容赦なく食い尽くす化け物の巣窟とも言える。
だから必ず複数で。固まって行動すべき。
役割を決めて常に上と周りを見張らせるようにするつもり。
それでも完全ではないだろうが。いち早く異変を察知できるはずだ。
俺を先頭にイセタン、カズト、ミルク、タオ、アイ、ミコの順。
ミホ先生が最後尾につける。
さあ第二ゾーンはもう間もなくだぞ。
デンジャラスゾーンとは一体どのようなところなのか?
嫌な予感しかしない。
続く
投稿ミスのため再度投稿。
失礼しました。
そこで一つ。
さすがに夏休み特別編なので年内に。
次回から異世界探索編。