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衝撃! 合言葉は左右対称?

宝石店の亭主は実は異世界探索隊の生き残りだった。

結局異世界探索隊がどうなったのか知らないそう。

第二ゾーンへ向かったことだけは事実らしい。


合言葉は有料だそう。まったく本当に困った奴だな。

状況判断もできないようでは終わってる。

「おいおい。いいのか帰らなくても? 」

冗談じゃない。そんなふざけた交渉に乗れるか。

「ちっ! 分かったよ。教えればいいんだろ? どうせすぐに分かることだしな」

男は頭を掻いて不満を表す。イライラが止まらない様子。

まったく自分勝手な奴だな。


「おいそれはどういう意味だ? 」

「大した意味はない。ただこれも一種の駆け引きなのさ。

あんたらだって大歓迎されたんだろ? 

客の機嫌を損なう訳にはいかないのさ」

「だったらお前…… 」

「ああそうだ。俺は女から聞いた。ありゃ本当にいい女だったよ。へへへ…… 」

そうか彼女たちも必死なんだな。どうにか調べてこの男に教えてやったのだろう。

だがもう愛想を尽かされて今は寂しく一人。自業自得だな。

すべては唄子様の手の内。

価値のなくなった男をポイっと。

俺たちも気をつけなくてはいけない。

特に夜。今夜あたり何が起きてもおかしくない。


「知りたいか? 」

「もったいぶらずに教えてくれ。頼むよ」

もはやここまで粘るとはどういう神経してるんだ?

「よしまずこの島に関係する言葉だが…… それは鏡のこと。鏡がキーワードだ。

そしてその反対の言葉を合わせるのだが…… ここでもう訳が分からなくなる」

男は難しい言い回しで俺に悟らせないようにしてるのか単に説明が下手なのか。

どっちもダメだができたら前者であってほしい。

このままではいつまで経っても合言葉にたどり着かない。

それでも俺はまだ我慢できる。ゆっくりゆっくり暗号を解くのは好きだからな。

だが聴衆と言うか生徒がそれでは持たない。


「ふう疲れる」

そう言って呑気に茶をすする。いい気なもんだ。

もう帰れると余裕。先に教えてしまったのは悪手だったか。

「鏡に反対ってあるの? 」

アイの素朴な疑問。俺も純粋にそう思う。

あれアイ? くそ! 飽きて話に加わってくるとは……

休憩室で大人しくしてろと言ったのに。勝手に戻ってきてしまう。

アイではこれも仕方ないこと。

一人で考えるよりも皆で考えた方が早いのも事実。


「そう誰だってそう思う。頭のいい奴ほど悩んじまうものさ」

「あなた違うと」

「ははは…… 先生も失礼なこと言うね」

調子に乗り始めた男。

「そこで鏡をよく見てみろ! どう映る? 」

「変化ですか? 特に何も…… 」

タオが鏡の前に立つ。これは魔よけの鏡でなくただ貴金属の見栄えよくするもの。

ミラーロードのように一種異様な雰囲気がある訳ではない。

これで戦えるかと言ったら大いに疑問だが。

「変化なんてしてないじゃんおじさん! 」

いかにもだるそうに答えるアイ。もう眠くなってきたか?

睡眠不足なのかもしれないなアイちゃん。


「待ってください! 左右対称になってます。私の右手が鏡では左手に。

左手が右手に。もちろんこちら側から見た場合ですが」

当然のことを何を今さら言ってるんだ? だからそれがどう関係する?

まったく! 合言葉を教えろと言ったのにふざけたなぞなぞを出しやがって。

時間稼ぎも大概にしろよな。

もちろん男の気持ちは痛いほど分かる。

久しぶりの客。しかももう故郷に帰れるとなれば調子に乗ってふざけたくもなる。

それだけ心躍るのは当然でそれ自体に文句ない。でもいい加減きちんと教えろよな。

少なくてももう充分に遊んだろ? 暇つぶしになったはずだ?


「ハイ正解! 良く分かったね。ご褒美にキスをしてあげよう」

そう言って無理やり迫る馬鹿な男。一体何を考えてるのだろう?

多分何も考えてないんだろうなきっと。

ビンタを食らい沈む男。哀れで見ていられない。

俺だってそのアプローチの仕方では玉砕するのに。

まったく雰囲気も何もあったものじゃない。


「それではミホ先生。二つの合言葉は? 」

もう男に聞く必要もない。ミホ先生が分かりやすく解説してくれるさ。

「ではお教えしましょう」

改まって咳をゴホンと一つ。随分偉そうだな。

「右と左のことです」

嘘だろ? ものすごい単純。ガキじゃあるまいし。どこかイカレてるぜ。

「そう正解。有料でこのからくりをもっと詳しく教えることもできるよ」

商売っ気を出すちっとも反省しない男を無視して皆で喜びを分かち合う。


                続く

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