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怪しげな宝石店

第二ゾーンへの鍵である合言葉探しが難航中。

そんな中、花屋で貴重な情報を得る。

どうやらこの島に関するもので対となる言葉らしい。

しかしそれ以上のことはいくら聞いても無駄だった。

仕方なく次の店へ。


花屋の三軒隣にある宝石ショップに顔を出す。

「おお。何て可愛らしいんだ! そこのお嬢さんも。

花飾りかい? それはきれいだね」

いやらしそうにニタニタしながら近づいてくる亭主。

これは危険人物?


さっき買った花をさっそく取り入れる女性陣。

褒められて満更でもない様子。

それならイセタンのサボテンも褒めてやってくれよな。

本人は気に入ってるみたいだけど重そう。


「いや本当に素晴らしい。信じられないくらいだよ」

大げさな男だな。相当な女好きと見た。

これはこの島にいる女の子にも似た様なことしてるな?

俺たちだっているのに。完全無視。まったくそれはないだろ?

取り敢えず要注意人物として頭の片隅に入れておこう。

ただのおべっかの可能性も充分にあるが。


「どうも初めまして。お高そうですね」

一応は挨拶をしてみる。

最初亭主は怖そうに見えたから念の為。

「何を言ってるのかな? うちは島で一番安い宝石店で通ってるんだよ。

だからあんまりおかしなことを言わないでくれないかな?

あーお客さん。そこのケースには絶対に触れないでね。誤作動しちゃうから」

言葉の節々に見え隠れする威圧的な態度。

どうも横柄なんだよなこの亭主。

信用できないなこれでは。話半分で聞くのがいいだろう。


「嘘? 本当ですか? 」

アイとタオが男の戯言に興味を示す。

うわ…… これはまずいぞ。時間が掛かりそうだ。

「どれどれ」

イセタンもカズトも興奮して前のめりになる。

初めて見るような光輝くお宝だからな。

わくわくするんだろうな。その気持ち俺もよく分かるぜ。

我々は異世界探索隊だからな。

異世界そのものに興味を示す者もいればそこのお宝に興味を示す者も。

前者はアークニンやイセタンで後者は俺たちと言うことになるかな。

どのみちその魅力に憑りつかれれば身を滅ぼすことになる訳だが。


あれ…… こう言うことに一番に興味がありそうなミホ先生が大人しい。

「ほら二人ともお店の人を疑ってはいけません」

ここに来てこうも冷静でいられるのはなぜ?

そうか。これは推測だが宝石に関心がないんだ。

そう言えばお嬢様だったよねこの人。

信じられないほどの大金持ちなら興味も薄いはずだ。

それとも一目で偽物だと見抜いたか?


島で一番安いなどと言ってるがそんなの当たり前。

見たところこの島には宝石店はここ一つしか存在しない。

だから比較しようがない。一番安くもあり一番高くもある。

それが一番安い店のからくり。

これでは安いも何もないではないか。本当に抜け目のない男だな。

それに最新型の防犯装置を導入するとは儲かってる証拠。

もちろんこの装置が化け物には何の役にも立たないから笑えるが。


心の中で毒づいてるのが漏れたのか態度を変える亭主。

「お客さん本当にお金持ってるの?

ここの商品はどれも見れば分かるけどそれなりに値段するものばかりだからね。

冷やかしならとっとと帰ってくれ! 」

おっと何か感じ取ったな? 怪しいぞこの亭主。


うーんどうする? さすがに色仕掛けで行くのもあれだしな。

そもそも誰が色仕掛けする気だよ?

それでは正攻法で行きますか。

「そのブローチを一つもらおうか」

格好つけてみる。これで紳士に見えるだろうか?

「お客さんお目が高い! 若い女性に大人気の品で。

これ一点限りなんですよ。それでは十イントほど頂きます」

イントと引き換えにブローチを受け取る。


「あの…… これはどこから仕入れてるの? 」

「それは異世界から…… ってのは冗談でトップシークレットなので申し訳ない」

「これをまた買いたくなったら? 」

「またお越し頂くほかありませんね。ではどうも」

これはかなり怪しい。それどころか異世界を口にするのはタブーのはず。

しかもよそから来た者に不用意に言うなどあり得ない。

考えられるとすれば彼は恐らく……


「あなたはこの島の者ではありませんね?

生まれも育ちもまったく別でもっと西の方。違いますか? 」

これはある程度推測できること。

大体ここの男にしては訛りがなさ過ぎる。

商売慣れしてるところも異質だしな。

「なぜそれを…… いや何でもない」

亭主はそれ以上喋ろうとしない。

怒らせてしまったかな?


さあそれではそろそろ正体を現してもらいましょうか?


                続く

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