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花言葉

ミラーロードを抜けたところで鏡子と別れる。

出来たら合言葉を知る者に繋いでくれたらなと。

もちろんこれはこちらの勝手な願望であって無理はさせられない。

それはミルルにも言えることだ。

二人とも立場がある。だからどうしたって口が堅くなる。


「おい誰か本当に分かる者? タオはどうだ?

さっきから大人しいようだが。うーんダメか。

よしミコは何か閃くだろう?

やっぱり無理か…… いやいいんだ。

もうこの際アイでいいや。そうか知らないか。そうだろ。そうだろ」

「まだ何も言ってないじゃない! 」

勝手に決めつけて先に進もうとするものだからむくれるアイ。

その顔も可愛いから困っちゃうんだよな。

おっと俺は何を考えてるんだ? これでは教師失格だな。


「おいおいそんなにむくれるなって。好きな花を一本選んでいいから。

ほら好きなの選べ」

「もう知らない! 」

アイちゃんはご機嫌斜めらしい。雑に扱ったのがまずかったのかな?

後できちんとフォローしておいてやるか。面倒だけど。

アイにはどんな時でも俺の味方でいて欲しい。敵に回られたら敵わない。


一行は化け物の襲撃に遭うこともなく無事に花屋へとたどり着いた。

「あらいらっしゃい。観光の方なんて珍しいわね。ふふふ…… 」

四十代後半と思われるハキハキした女性が切り盛りしている。

まずはバラを一本買ってから話を聞くことに。

アイがあまり花を知らないのでバラでいいと。

こちらとしても手間がかからずに済んで良かったが一緒に選びたい気持ちも少々。

ミホ先生にプレゼントするのを選べばいいか。


「ありがとうございました! 」

「あの…… 合言葉を探してるんですが何か知りませんか? 」

得体の知れない他所者から秘密とされている合言葉の話。

さすがに期待はできない。問題は知っているかどうかだが。

「花言葉? 」

それだったらと熱心に語ろうとするので訂正する。

「ああはいはい。合言葉ですね。毎度ありがとうございます」

意味不明な返しをする。疲れてるのかな?


「何か分かりますでしょうか? 」

ミホ先生が丁寧にそれでいて力強く。

「何も知らない! 商売の邪魔だからこれ以上用がないならお帰りください! 」

今まで余裕で笑みを見せていたのに豹変して態度を翻す。

一体どういうこと? ちっとも理解できないが従わざるを得ない。

「ははは…… これは申し訳ない。よし皆好きなのを選んでいいぞ」

どうやらバラ一本で教える気はないらしい。

もっとたくさんもっと高級なのを買えと言うことらしい。

ただドライフラワーがある訳ではない。

生花では扱いに困るだけ。

今お世話になっている屋敷で花を生けるのも無理がある。

我々はタピオカ部であってフラワーアレンジメント部ではないのだ。


ミホ先生は黄色い花に興味を示した。

カズトは何ともいい加減で適当に一本摘まむ。

部長はサボテン。おいおい持ち運びが大変だろうが。

まさかこれを凶器に化け物と戦う気じゃないだろうな?

アイもバラをもう一本追加。

他の者も一本選んでいく。

イントを回収ボックスに入れたら完了。


「あらあらこれは答えない訳には行きませんね。

では一つとっておきの情報を教えましょうね」

何だかんだ売れたことに満足したのか態度を翻した。

さっきまでの頑な態度はどこへ行ったのやら? もはや訳が分からない。

上機嫌で椅子に腰かける。


「さすがに答えは言えない。だから噂。風の噂について教えてあげようと思うの。

合言葉は山と海のように反する言葉の組み合わせ。

まあ考えられる候補はいくらでもあると思うけど…… ヒントを一つ。

この村、この島に深く関わる言葉が入るらしいの。

もちろんこのことは極秘情報だから決して誰にも漏らさないように。

そしてもちろん私から聞いたとも言わないこと。

分かった? それが守られないと痛い目を見るのはあなたたち」

これで多少でも合言葉に近づけただろうか?


「それでおばさん他には? 」

アイが無遠慮に聞く。

バカな振りしてズケズケと聞くのが戦略だろうがアイは本物だから。

だから決して悪気がある訳ではない。

「おばさんってあんた…… ふざけた子だね。まあいいよ。

他の者にも聞くといいよ。何か掴めるかもしれない」

気を悪くしたのかその後はいくら聞いても一つも語ろうとはしなかった。

仕方なく次の店へ。


                  続く

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