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第三ゾーンの鍵

当主・唄子様に謁見中。


「大変申し上げにくいのですが鍵を貸していただけないかと」

「ああこんなのが欲しいのかい? いいだよ。持って行きな」

そう言って放り投げる唄子様。

「はは! ありがたき幸せ! 」

相手に合わせるのも大変だな。これで意外と本気だったりして。


「これが第三ゾーンの鍵ですね? 」

「いやただの屋敷の鍵だよ」

「ちょっと…… 」

まったくふざけやがって。俺が欲しいのは第三ゾーンの鍵だ。

「ご冗談を。第三ゾーンに行くには鍵が必要と聞きましたが」

「誰からだよ? ふんまあいいだよ。いずれ分かることか。

おい鏡子や。鍵を持って来てくれんか? 」

受け取ると老女は直々に手渡す。失くすでないぞと忠告するのを忘れない。


意外にもあっさりとした展開。

もう少し粘るかと思ったら一度ふざけただけで素直に渡してくれた。

うーん。これは一体どう言うことだろう?

まあいいか。細かいことは気にしない。


俺たちが拍子抜けしてるところで一言付け加える。

「行くのはあんたらの勝手さ。しかし合言葉がないと第二ゾーンへは行けんよ。

せいぜい気張るといいがな。後は鏡子にでも詳しい話を聞くと言いだよ。

そうだな鏡子? 」

「はい。お任せください! 」

「よし。用は済んだようだし失礼させてもらうだよ。

最近化け物が活発になってるみたいで忙しいだよ」

唄子との会談を終える。


「ちょっと待って…… 」

さっさと行ってしまった。

合言葉…… これはまた難解な。どうする?

合言葉と言えば昨日…… うわまずい。あの時の光景が蘇る。

名もなき犠牲者の悲惨な末路。

叫びたくて叫びたくて堪らない。

大丈夫。大丈夫。俺は何も怖くない。恐れてなどいない。

俺は教師だぞ? ここで我を失ってどうする?

必死に抑え込む。


「大丈夫ですか青井さん? どうしました? 」

「問題ありません。合言葉について思い当たることありますか? 」

さっそく鏡子に協力を求める。

「合言葉ですか…… それは私にも分かりかねます。

ただ仮に知ってようと何も教えることはありません。それだけはご理解ください。

私どもは関知しません。すべてあなた方の力で解決してください」

ヒントをもらえると思ったのに…… どうやらそう簡単ではなさそうだ。

ここはポジティブに面白そうと捉えるべきだろうか?

ミホ先生辺りはワクワクするんじゃないか?


「それは困ったな。なあ皆? 何かあるか? ミルルなら分かるんじゃないか?」

だがミルルはただ首を振るばかり。

演技できるような子じゃないからそこまでは知らされてないのだろう。

しかしだとすれば一体誰に聞けばいいのか?

ここに来てようやく動きだしたかと思ったのに……

まあそう簡単ではないだろうな。今までが順調過ぎただけ。


唄子様の指示により詳細を説明してもらうことに。

第一ゾーンと第二ゾーンの間には見張りが。

合言葉を伝えなければ通してくれない仕組み。

だからって合言葉を盗み聞こうにもそこを通り抜ける者はいない。

まったくいないのではなく年に数名が通ることになってる。

それはどうしても必要なことらしいのだが理由は教えてくれない。


となるとその数名が鍵だがいつかなどは当然教えてもらえていない。

だからゆっくり気長に待つしかないのだがそうも言ってられない事情がある。

生徒たちは飽きやすいし我慢がそれほど出来ない。

ずっと恐怖と戦ってればそれこそ壊れてしまう。

だからなるべく早く。少なくても一ヶ月以内には何とか。


合言葉は三回まで可能で一日三回を超えて答えた場合に問題が……

仮に三回目までに正解しても無効で反応しないそうだ。

もちろん合言葉を知る者ならば一回目でクリア出来る訳だが。

我々より前に向かったアークニン探索隊も恐らくどうにかクリアしたのだろう。

そう考えると意外にもこれが最後の試練と捉えられるかもしれないな。


「どうだいミルル? 思い出せない? 」

絶対にどんな形であれ伝わってるはずだ。

町の者はそうだろうし特に旧常冬村の者は知っている可能性が高い。

それが思い出せないのか思い出したくないのか。

疑う訳ではないがミルルが鍵を握ってるのは間違いない。

「やっぱり思い出せません。どうしても無理です」

泣きそうになってしまい居た堪れなくなる。

おっと協力者であり隊のメンバーのミルルを疑ってどうする?


                 続く           

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