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教師として…… ラッキーハプニングの嵐にだけはさせない!

かわいらしい二人組が来たなと思ったらうちの生徒だった。

「先生も一緒にどうです? 」

そうやってからかう。

「うるさい! 誰が行くもんか! そんなこと言ってないで手伝え! 」

そう思いつつも妄想してしまう。ああ何て情けないんだろうか?

自分が恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がない。


「ああアオイ! 」

変なテンションのミコが姿を現す。

まさか酒でも飲んでないよな? 先生心配になるよ。

いつも二人っきりの時にだけ見せる素のミコ。

旅行気分と言うより異世界が近づいたことで明るいのだろう。

少々明るく無口でなくなったとはいえこいつだけだぜここに来て冷静なのはさ。


皆隠しているが内心怯えているのだ。

アイもそうだし。タオだって。俺だってそうだ。

イセタンとカズトは昨日の出来事があるから当然として。

ミホ先生は分りづらいけれど恐らくは。

もっと怖がったら抱きしめてあげるのに。


ミホミココンビは異世界への想いが強いからな。

ミホ先生は俺が焚きつけた。当然その責任は俺にある。

ミコは出会った当初から一貫して。こっちは俺のせいじゃない。


「あらあら青井先生も大変ですね」

ミホ先生もいたのね? まずい展開だ。

まさか変に誤解されてないだろうな?

俺はただ二人を魔の手から遠ざけようとしてるだけだ。


結論 女は風呂が好きだ。そして朝風呂にもよく行く。

おっとこれではただの偏見だな。まずいまずい。

訂正 日本人は風呂が好きだ。そして朝風呂は癖になる。


ようやくターゲットの二人が風呂から出て来た。

ラッキーハプニングの嵐にはさせない。

それがこいつらを預かる引率教師としての役目。

たとえそれを二人が望んだとしてもだ。

さあ気合いを入れるぞ。

絶対死守!


「あの先生…… 」

困惑する二人。イセタンは目をつぶりカズトはぼうっと眺める。

「ほらこっちに来い! 見てはいけない。見たら固まってしまうぞ! 」

そう言ってお預けを喰らわせる。これ以上現を抜かさせてたまるか。

忍び寄る魔の手を振り払い部屋へと誘う。


「あのまだ服を…… 」

「いいから早く! 」

着ぬ身着のまま奇跡の生還を果たす。


朝食を済ますとイセタンとカズトの三人で雑貨屋へ。

ここでは持ち運び可能な小さな鏡。要するに手鏡を購入。

こいつらに持たせておくと何をするか分からないので俺が管理する。

お年頃だろうから嫌がるのも分かるし怖いのも分かる。

昨日の今日だからな。だが壊れたら意味がない。


続いて食糧調達に向かう。

もうそろそろ一週間が過ぎた頃だろうから食糧にしろ水にしろギリギリ。

ここで補充できるのは有難いこと。

ついでにあるだけフンを買い求める。

この島では一般的な薬で食べても塗っていいそう。

万能薬らしいが果たしてこれが何のフンなのかは教えてもらえてない。

だがまあいい。あまり考えるのも精神衛生上良くないしな。


外では上を向いて歩く。

音を立てずに急襲してくるタイプだっているかもしれないしな。

とにかく前後だけでなく百八十度見回すようにしないと。

こうして外では上に屋敷では女性に注意する。


警戒して一歩ずつ慎重に前に進む。

だから思っている以上に時間が掛かってしまう。

すぐに日が暮れるイメージだ。

ただそれはここが俺たちの世界と同じだった場合の話だが。

用事を済ませると午後には屋敷へ戻る。


「待たせただよ」

この独特の喋り方に威圧感。さすがは御当主様と言う気がしてくる。

それでも声から万全でないのが分かる。

年なだけでなくどこか悪いのだろう。

まあ聞いたところではぐらかすと思うので無駄なことはしない。

あまりプライベートなことは聞くべきではないしな。

特に俺は苦手だし。その辺のことはミホ先生に任せている。


唄子様は面を上げよと抜かす。

「へヘイ! 」

俺たちは罪人か? 

「それで用件は何だよ? 」

不機嫌な様子に見えるが鏡子曰くこれでも機嫌が良いそうだ。

威厳があるのは良いがやっぱり怖いんですけど。

せめてこの屋敷では癒されたい。特に俺だけはな。


「実はその…… 」

「うん? はっきりせい! 暇ではないぞ? 」

そう言って睨みつける。うわ凄い迫力。

「大変申し上げにくいのですが鍵を貸していただけないかと」

「ああこんなのが欲しいのかい? いいだよ。持って行きな」

そう言って投げつける。


ついに第三ゾーンへの道が開けたか?


                 続く

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