表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
195/246

三つのゾーン

薬屋から歩いて十分。

次は服屋だ。

「いらっしゃい! 今日は何と閉店セールだよ」

そう言って余りものを売りつけようとする何とも商魂逞しい店主。

嬉しそうに笑っているが今日が最後ならもっと沈んでいてもいいのでは?

どうも違和感がある。

「明日はやってないんですか? 」

「ああ今日が最後! 好きなの選んで行ってね」

普通こう言う場合安くするものだがすべて定価と書いてある。

買えるかっての!

 

「残念だな。明日女の子を連れてこようと思ったのに」

生徒たちも島に来て以来緊張状態が続く。買い物する楽しみぐらいあっていい。

だから出来るなら明日以降にまた来たい。でも閉店では仕方がないよな。

我がまま言って店主を困らせるのは悪いもんな。

「ああもう仕方がない! ここだけの話ですよ」

店主が喰いついて来た。


「今日は閉店セール。明日は開店セール。

明後日はアニバーサリー特別セールと一週間にイベントが目白押し。

だから明日も来るといいよ」

店存続にも関わる極秘情報をばらす人の良い店主。

その人の良さに心を動かされる。

「これください」

せっかくだから服を何着か購入。

もちろん初めから買う予定ではあったが。

上着も三人お揃いで分厚いのを購入。

これで少しは不安が解消されたかな。

うん満足。満足。足りなかったら明日また買えばいいや。


その後食堂、魚屋、八百屋、肉屋、貴金属店を回る。

肉屋ではどこぞの見たこともない肉が売られている。

スタッフに聞いてみるが何の肉か言わない。当然購入することはなかった。


貴金属店では武器と盾になるものを見てみたがどうも違う。

重くて持ち運びには向いてない。買っても無駄になる。

もう少し小さくて軽いのはないかな?

それに恐らくこれでは異世界から流入した化け物に歯が立たない。

スーパーもあるそうだが一番奥で遠いそうだ。

だから立ち寄る人は少ないらしい。

このやり方なら商店街も活気を取り戻すかな?

おっとここは旧東境村。呑気なことを考えてられないぞ。

その後ダンスショーで一日を終える。

まるで海外のよう。国内でも似た様なところもあったっけ。


「ああ先生だ! 」

「青井先生お疲れ様です! 」

ご機嫌な女性陣。この様子なら異世界に関するビッグ情報を得られたかな?

現在旧東境村に来て二日目。

異世界を見つけるにはありとあらゆる情報を得る必要がある。

ミルルのお友だちから貴重な情報をゲット。


「名前はハナさん。他言無用でお願いしますとのこと。

この鏡島は白いモヤに全体が覆われていて広さも全体像も把握できていません。

調査することさえ許されてないそうです。

この館を中心に第一から第三の三つのゾーンがあります。

第一のセーフティーゾーン、第二のデンジャラスゾーン、第三のデッドゾーン。

ほらこの地図を見てください。

円の外へ行けば行くほど未開の地。危険地帯と言うことです」


本来この地図も持ち出し禁止。

ただ旅行者には許可を取れば特別に貸し出される。

ただしそれは唄子様の信頼を得た者に限る。

俺たちはまだそこまでの信頼を得ていないので条件をクリアしていない。

勝手に持ち出したのがバレればやはり罰を受けるそう。

だからミルルのお友だちはその危険性を顧みずに協力してくれたことになる。

ただ厳重管理されてる訳でもなくほぼ誰も気にしてない。気づかれる心配ないと。

だからと言って話題に上がれば話は別。ここは決して他者に気づかれないように。


ミルルを通して協力者が増えてきている。

これは物凄いこと。思ってたより早く異世界へたどり着けるかもしれないな。

「へええ…… 面白そうだね。うんどれどれ…… 

そうか今日行ったところはすべてセーフティーゾーンって訳だ。

そうすると第二、第三と行けば当然命の保障はないってところかな」


代わり映えのしない夕食を済ませると二人だけに。

「青井先生の方は何か分かりましたか? 」

今回は浴衣ではない。ジャージの上下。

これで寝るそう。少し疲れてるのかな?

「うーん特にはこれと言って何も。ははは…… 」

情報を交換する。そして共有する。

これはとても大切なこと。


「いろいろ買い物したりダンスショーを見て回ったけどね。

手掛かりになるようなものは何一つ見つからなかったよ。

ミホ先生たちには悪いけど少し遊ばせてもらっちゃった」

潔く告白する。


                続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ