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鏡子 託された手紙

鏡子さんに屋敷の案内してもらう。

一応は唄子様へのお目通りが叶ったのだから多少は信用されたのだろう。

とは言えまだ油断してはならない。

唄子様の遣わしたこの鏡子さんは言わば監視役。

おかしな行動を取れば命の危険も。

慎重にも慎重に行動すべきだろうな。


「こちらが食堂です。お好きな料理を教えてくださいね」

「はい。へへへ…… 」

つい上品で素敵な女性に目が行ってしまう。

これは俺だけではない。カズトだってイセタンだってそう。

男とはそう言う生き物。

自分で言うのも変だがどうしようもないのさ。

もちろん鏡子さんはまったく興味を示してないので問題ないだろう。

それなのにそれなのになぜか睨まれている。

俺は一言だってかわいいだのきれいだの言ってない。

ただ幸せな生活を妄想していただけなのに……


「あれ…… 鏡子ちゃん? 」

「何だミルクか? 久しぶり。ミルクもこっちに来てたんだ」

「あれ…… ミルルの知り合い? 」

プッ…… 

上品に見えた鏡子も笑うとおかしいな顔をする。

我慢しなければダメじゃないか。これでは彼女に対する理想像が崩れてしまう。

「ははは…… ミルルって何? 」

ミルルが赤くなってしまう。まだ慣れてないから仕方ないさ。

うんうん。徐々に慣れて行けばいい。そのうち馴染むさきっと。

「まあいいやミルル。それでこちらの方とはどのような関係? 」

「もう鏡子ちゃん! 」

「ごめんごめん。ははは! 」

大笑いで馬鹿にしだしす。


「それで鏡子さんとは幼馴染か何かですか? 」

「何を言ってるんですか青井さん? 

あなた方がお世話になった家は鏡子ちゃんのところですよ」

ミルルが教えてくれたおかげで一宿一飯の恩義に応えられそうだ。

「あの奥さんが言ってた娘さんは君のことだったのか。だったらこれをどうぞ。

君に渡すように預かって来たんだ」

バックパックの奥に入れておいた手紙を取り出す。


「ほら君にだ」

「手紙? カーちゃんの…… ああ失礼しました。これはありがとうございます」

一瞬地が出た? すぐに元に戻ったが果たして? 

どんなに取り繕っても旧常冬村出身ならさほど洗礼されているはずがない。

嬉しそうに握りしめたと思ったら急に辺りを見回す。

かなり怪しい動き。何か気になるのか?

鏡の反射が関係してる? 


「青井さんでしたね? ここではいかなるものも持ち込み禁止なのです。

手紙やはがきはたとえお正月でも禁じられています。

ですから他の者に見つからないようにしなければならないのです」

「そうですよ皆さん。充分にお気を付けください」

ミルルもさも体験したように語ってみせるが彼女も今日が初めて。

真似するのは良いがきちんとして欲しいな。一応はこの島の案内役だろうが。


とにかくこの鏡島には持ち込み不可の厳しい規律があり化け物が出る。

そして何と言ってもこの島のどこかに異世界があるのだ。


「それではごゆっくり」

一通り見て回ったが異世界に繋がる何かがある訳ではなかった。

どうやら間もなく夜らしい。

島全体にモヤが掛かっており今が昼なのか夜なのかも分かりにくい。

この世界はある意味異世界だ。

本来の時間の流れと一緒とは限らない。

さあ今日はもう遅いので眠るとしよう。


通された部屋は案の定金ぴかで鏡に存在感がある。

うわ…… これは今夜眠れるかな? 違う意味で眠れない気もするが。

「ああ疲れたな」

俺が囁くと皆が口を開く。

この鏡島に関する噂や悪口に愚痴。ついには先生への不満まで。

収拾がつかなくなる前に反省会を終える。


「ミホ先生。明日もよろしくお願いします」

「はい。では私たちはこれで」

いつものように男女に別れて二部屋を占領。

まあこれだけ広いのだから一人ずつでも構わないのだろうが

怖くて眠れない者もいるので。結局こうなってしまう。

これが異世界探索部かと思うと情けないがこれも仕方ないこと。

初めてのところだしな。安全面を考えたら複数人で寝るのは間違ってない。


「先生大丈夫ですよ。怪物はここには来ませんって」

「分かってるって。でも怖いものは怖いんだ。もっとくっ付こうよ」

こうしてギュウギュウで寝ることに。

二人とも意外にも素直だから助かるんだよな。

でもやっぱりカズトが気になる。大人しいんだよな。

もっと盛り上がっていてもいいのにな。何かを悟ったような気がしてならない。

悟ったっていいから先生を置いて行かないでくれよ。


こうして恐怖の夜? を迎えるのであった。


                続く

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