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ミルルとミラーロード

クルミが姿を消し一番不安なのは妹のミルクだろう。

それはそうだよな。捨てられたように感じるもんな。

俺だって置いて行かれて裏切られた気持ちに。

それは決してクルミのせいではないが。立派に渡しの役目を果たしただけ。

ミルクを密かに連れ出したのは我々の方。

どちらかと言えば我々が欺き裏切ったと言える。


落ち着いたのかどうやら恐怖や悲しみは消えたらしい。

ミルクに笑顔が見えた。これでうまく行くだろう。

「ではミルクさん。この島の案内をお願いします」

隊長の俺が先頭を走る。その後にミルク。最後尾をミホ先生に任せる。

こうして異世界探索隊は本格的に島の探索を開始する。


「そうだ先生。ミルクさんをどう呼べばいいでしょうか? 」

やはりイセタンとカズトが喰いついたか。

「さあ好きなように呼べばいいんじゃないか? 」

もういちいちそんなことに付き合ってられるか。こっちは忙しい。

いつ襲って来るとも知れない未知の生物をいち早く発見しようと目を凝らしてる。

だが目にも止まらぬ速さで来られたらお陀仏。

せめて名乗り出てからにして欲しいな。それが最低限のマナーだろ?


「先生は興味ないってさ。俺たちで決めようぜ。ミルクちゃんで良くないか? 」

「ミルンはどうだ? 」

「済みません。それはちょっと…… 」

カズトの案は速攻で却下される。

「普通にミルクって呼んであげたら? 」

「いやいやそれだと硬いよ。もっと親しみを込めてさ…… 」

「はいはい。盛り上がってるところ悪いけどミルルで決定だから」

タオが勝手に決めてしまう。

「ミルルですか…… 良いですね」

ミホ先生も可愛らしくていいと賛成している。


「俺は…… 」

皆が自由に発言してるので俺もつい参加したくなってしまった。

「はい先生は却下! 私におかしなあだ名つけたでしょう? 」

タオの奴タピコを嫌がっていたのね。てっきり気に入ってるとばかり。

部の名前も含まれていて可愛いと思うけどな。


「はいそれでいいです」

これ以上おかしな呼び名にされたら困ると了承するミルク。

「よしミルルに決定! 我々の命運はすべて君に掛かってるから頑張ってくれ!」

「先生プレッシャー掛け過ぎ! 」

アイが大人しくしてるなと思ったらこれだ。

「そうか。でも彼女の役割はとても重要なんだがな」

「だからそれがプレッシャーだって! 大丈夫だよミルル」

タオも続く。

「はい分かる範囲で…… 」

「頑張れメルル! 」

「だからそれがダメなんだよ。それからメルルじゃなくてミルル」

呼び間違いまで指摘するアイ。まったくどっちだっていいのに細かい奴だ。


「旧東境村は別名鏡島と呼ばれています。ほらあれを。

たくさんの鏡を並べて道を作っています。

左右対称に置かれているこの道をミラーロード……

ここまでは大人たちが話す昔話に出てきました」

うわ確かにこれは古くて立派な鏡だ。

「この鏡は古そうだね。巨大な丸鏡って何か儀式のような…… 」

ミラーロードに入る。

「そうですよね? 先生もそう思いましたか? 」

今まで一言も発さずにいたミコが興奮した様子。

今にも舞を披露しそうな勢い。


黒く縁取られた巨大な鏡はどれも丸く威圧感がある。

まるで侵入者を閉じ込めてしまうような不気味さ。

「あの…… 決して触れてはなりません。何が起こっても責任は取れませんので」

ミルルはこの鏡が侵入者を防ぐものだと主張する。

触れば天罰が下るし近づけば閉じ込められる恐れもあると。


「皆さん。こんな風に島には至る所に鏡が置かれています。

いえ私も行った訳ではないので伝聞ですがそうだと言われてます。

何の意味があるのか私にはまったく見当もつきませんが何やら魔除けだとか。

一度そんな話を耳にしたことがあります」

ビギナーにしては上出来のガイドぶり。

あとは鏡の歴史やなぜこうなったか等の解説があれば完璧なんだけどな。

まあ知る訳ないよな。


ミルクの話は祖父や集落の者に町の大人たちの噂話から出来ている。

正確なとこは誰も分からずに不明と言うことか?

島内を行き来するにはこのミラーロードを通り抜ける以外方法はないらしい。


「どうしました青井先生? 」

ミホ先生は俺の異変をいち早く察知した。

「いえ少々息苦しくなったものですから」

動悸がする。これは一体どう言うことだ?


ミラーロードに立ち入った瞬間に体に変化が。


                  続く

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