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旧東境村到着!

「さらば青井。俺の愛した人」

ははは…… クルミの奴め何を格好つけてるんだよ?

聞いてるこっちが恥ずかしくなってくるぜ。

一夜の過ちだったとは言えクルミとのことは後悔はしてない。

多少強引だったが特別な夜を過ごせたことに感謝している。


クルミ。お前もう行っちまうのか?

だがまだお前には言わなければならないことがある。

でも眠いんだ。眠い眠い。


ムニャムニャ

ムニャムニャ

うーん。まだ起きられない。へへへ…… クルミ…… 

まるで金縛りにあったように体が動かない。

どんなに脳から指令を送っても手足が動くことはなかった。

恐らくこの霧のようなモヤのようなものが覚醒を遅らせているのだろう。

ただおぼろげに見えるし途切れ途切れに聞こえもする。

目と耳はどうにか使えても声は出ない。

ああ何と恐ろしく苦しいのだろう?


「あとはお前たちの力で何とかしろ! 」

「お姉ちゃん…… 」

どうやらミルクも目が醒めたらしい。まだ完全覚醒には至ってないが。

「クルミお姉ちゃん…… 」

「フンまさかな。ただの幻聴さ。行って来い青井! それにオメエらも! 」

乗客を降ろし船は再び夜の海へと姿を消す。


待ってくれクルミ! 俺たちを置いて行かないでくれ! 

何でそんなに急ぐんだ? 最後の挨拶ぐらいしたっていいじゃないか。

俺には伝えなければならないことがあるんだ!

そこにいる少女はお前のよく知る人物。

ずっとお前に会いたがっていた。帰って来るのを心待ちにしていたんだぞ。

見えるだろ? 見えるはずだ! その子はお前の大切な大切な妹だ。

なぜ気づかない? なぜ気づいてやらない?

俺が今分からせてやる。だからそこを動くな! 戻って来い! 戻って……


「クルミ…… クルミ待ってくれ! 待ってくれクルミ! 」


先生!

アイ?

先生大好き!

アイ……

先生?

アーイ!


覚醒。

気がつくと上陸していた。

俺たちはついに旧東境村にたどり着いたんだ。

異世界探索隊は念願の旧東境村へ。

合宿の目的はこれで達成された。


船がない。船は? 

クルミが姿を消しいつの間にか船も消えていた。

やはりあれは夢なんかじゃなかった。

どうするんだよ戻る時? 

まあいいか。気にせずに先に進めばいいさ。

さあ皆を起こさなければ。


「青井先生…… おかしな夢を見ていました」

まずはミホ先生が意識を取り戻した。

次にタオが目を覚ます。

そして順々にメンバーを起こして回った。

どうやら大人の方が眠りは浅いらしい。

だから意識を取り戻すのも早い。

まさか爺だなんて言わないよな?

それにしても皆が皆寝てしまうとはどう言う現象?

誰か説明してもらいたいものだ。

体に異変でもあると大変だ。


「ミホ先生どうです? 」

「はいはい。自慢はもういいですから」

「これは失礼…… 」

ついおかしな夢を見たものだから。

どうやら下半身以外に異変はないようだ。

当然この状態が続けば俺は危険ではあるが。


「ミホ先生も見て差し上げましょう」

そう言って許可を取るがもちろんベタベタ触る訳にいかないので頭に手を乗せる。

「大丈夫。熱はなさそうですね」

この分だと生徒たちも問題ないだろう。

「お前ら異変はないな? 何かあったらすぐに報告しろ」

一応は確認。やはり問題はなさそうだ。


うん一人まだ寝てるのがいる。

眠り姫はアイだ。

「アイ! 起きるんだ。もう着いたぞ。起きなさい! 」

肩を揺らすもまったく反応がない。仕方なく体の下の方へ。

「嫌! 」

ビンタが飛んでくる。

「おい寝ぼけるな! 俺だって! 」

「それでも嫌! 」

どうやらご機嫌ななめらしい。


「皆気がついたな? どうやら我々は旧東境村へ到着したようだ。

さあ各自荷物を持って俺について来い! 」

ここからは本当に何が起こるか分からない。

爺さんが言ったようにとんでもなく恐ろしい世界。

もう引き返すことは出来ない。船もないしね。


「ちょっと待って先生! 」

タオの目つきが鋭くなった。

「目的は達成したのではないですか? 」

タオはもう充分だと言っている。

「ああそうだな。もう戻る頃だろうな。

よし決を採る。戻る者? 」

「はい! 」

タオのみが手を挙げた。これでは約束の二名には届かない。


「皆本当にそれでいいの? 」

タオはタピオカ部。当然ながら異世界になど興味はない。

しかも俺が無理に頼み込んで参加してもらったようなものだからな。

タオの意見は尊重したい。


                続く

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