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ミルク 異世界探索隊完成

素直な気持ちをぶつけるミルク。

それをどうして祖父に向けてぶつけられないのだろうか? 


「ではあなたも旧東境村へ行きたいと? 」

「はい。ぜひとも。私を連れて行ってくれませんか? 」

どうやら決心したようだ。こちらにとっても好都合だ。

少しでも旧東境村を知ってる人物がいた方が有利にことが進むからな。


「それではだめですね。声が小さい。もっと気持ちを込めて! 」

調子に乗ってつい…… 自分の教え子でもないのに熱くなる。

それでもミルクは付き合ってくれる。良い子だ。

「旧東境村へ連れて行って」

「もっとだ! 気持ちを全開にして。ほらもう一度」

「私を旧東境村へ連れて行って! 」

「うん。それでいい! あなたの想いが伝わった気がします」


こうしてミルクが仲間に加わった。


「ありがとうございます。もちろんタダで行こうなどとは考えてません」

ミルクが決心した。と言うことは当然?

ワクワクするな。この流れは昨日と同じ……

クルミとミルクは姉妹なんだから考え方だってきっと……

期待していいんだよな? 期待するぞ?

ははは…… もう妄想が止まりそうにない。どんどん興奮していく。

ああもうダメだ。興奮状態では体がまったくコントロールできない。

情けないことにいつの間にか己を失いかけている。

そんな時生徒たちを見て我に返る。


「少ないですがイントコインを二枚差し上げます」

現在はあまり使わなくなったから二枚しかないそう。

確かに今必要なものに違いないが想像してたのとは随分違う。

「こんな貴重なものを二枚も? 本当に良ろしいんですね? 」

おいおい一緒に行くならこれはどうせ必要なものじゃないか。

誰が持ってるかの違いでしかない。

それよりももっと大切なものがあるだろうが。なぜそれが分からない? 

おっとまずい。絶対に悟られないようにしなければな。

それはミルクにだけでなく二人も同様。


「はい。これで私を連れて行ってください! 」

どうやら想いは強いようだ。

本来ならここで止めるのが教師だろうがそこまでの強い決意。揺らぎはしないさ。

「それは内緒でと言うことでしょうか? 」

念の為の確認。そうでなければ簡単なこと。

「はい。祖父の面倒は集落の人に見てもらって。数日の間なら構わないでしょう」

「分かりましたミルクさん。我々と一緒に行きましょう。旧東境村へ! 」

安請け合いしてしまったかな? よく考えれば無理があるような気がする。

クルミに気づかれずにミルクを連れて行くのは不可能とまで言わないが……

骨が折れるのは確か。

だが一度約束したことだし何とかしてみるしかない。


イントコイン二枚獲得。

合計九枚に。残り一枚となった。


「さああと一枚だ。早く見つけ出すぞ! 」

「先生ってば気合い入ってる」

「ああ二人とも覚悟はいいな? 」

「もう先生大げさ! 大丈夫だって。何とかなるでしょう」

アイはポジティブだ。


「何か不安になってきました」

タオは正直に胸の内をさらけ出す。

すごく怖いのだそう。

うんうんよく分かるなその気持ち。俺も似たようなものさ。


「おいタオ…… だったらここで戻るか? 」

もう間もなくのこのタイミングとは言えこれも合宿の一環。

ここで戻る選択をしても構わない。

最後のチャンス。今帰るを選べばギリギリで踏み止まることが出来る。

旧東境村は何が潜んでいるか分からない恐ろしいところ。危険なのは間違いない。

だからこそ帰るを選択すべきだ。すべては生徒たちの安全が最優先される。

もし船で渡ればもう簡単には戻ってこれないだろうからな。

本当にそれで良いのかよく考えて欲しい。

今がラストチャンス。


こうして三人はミルクと別れて町へ向かう。

昼に昨夜訪れたレストランに寄ることに。

「主人! 昨夜はどうも! 」

財布を拾ってくれた恩人だ。感謝しても感謝しきれない。

再びお礼の言葉を述べるのも寄るのも至って当然のこと。

「ああいらっしゃ! 安くしておくよ! 」

笑顔の主人。余計なことは語らない。

そう生徒たちに知られたら格好悪いしな。

それどころか教師の立場が危うい。



昼時とあって店内は町の者で繁盛してる。

すぐにでもイントコインを持ってる者を探し出し交渉したいがそうもいかない。

タオとアイと軽食を取る。

朝食べたばかりだからお腹がまだ空かない。


                続く

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