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アイ

クルミとの情事はあまりにも想定外だった。

彼女が俺を求め俺が彼女を求めた結果。

この出会いはただの偶然なのではなく運命なのだろう。

ただ彼女がよく分からないんだよな。

残念だが俺にはただのエッチなお姉さんにしか見えなかった。


中途半端に起きて朝帰り。早朝なのでまだ誰も起きてない悲惨な状況。

これでは寒さで凍死してしまいかねない。

後悔しても遅いんだろうな。


コソコソ

ブラブラ

ああ先生だ! と言う声が聞こえて来た。

この辺りで先生と言えば俺ぐらいなものだが……

こういう時にいつも運悪く見つけるのはアイ。

アイは常に俺を求めている。

何だかんだと文句を垂れても俺を慕ってくれるからな。

それは生徒と先生と言うよりは飼い主とペットに近いのかな。

俺がペットでもいいがやっぱりここはかわいいアイがペットに相応しい。

何のためらいもなく抱きついて来る仔犬のよう。

タイミングの悪い時にいつも出くわすのがアイ。

飼い主がいなくなって心配で探しに来てくれたのかな?

自分勝手な妄想で自分の世界に閉じこもる。


「先生何をやってるんですか? 」

アイが噛みつく。甘噛みだ。

「ははは…… アイちゃん早いんだね。そうだ朝のお散歩ってのはどうだい? 」

爽やかに誘ってみる。さあどうする?

クンクンと言って近づいて来たら成功なんだが。


どうも低血圧で朝が弱いのか機嫌が良くない。

「先生キモイ! 」

その言葉だけは放って欲しくなかった。俺の指導不足は否めないな。

ただ彼女はそんなに頭が良い方じゃないからな。

バカな子ほどかわいいのだから仕方ないさ。

しかしどうしてこうもアイはタイミングが悪いんだろう?


どうにか朝飯にありつけた俺は昨夜の成果を話して聞かせる。

クルミの箇所はオブラートに包んでなるべく抽象的に。

期限は明後日と言っていたが要は明日のことだよな。

もう二十四時間を切った。


「先生! 本当に明日までに十個貯められたら行けるんですよね? 」

ミコが積極的に話に加わる。いつもは無口だが一旦スイッチ入ると止められない。

関係の長いイセタンでもどうすることも出来ない時があるらしい。

それでどうするかと言えばまた元の冷静なミコに戻るまでひたすら我慢して待つ。

喜びのダンスを披露する前に止めないと大事だぞ。

昨日みたいに怪しまれては元も子もないからな。


「先生凄いよ! 」

カズトも大喜び。

うんうんとイセタンも熱心に耳を傾けている。

「それで先方はどのような方でしょうか? 」

さすがはミホ先生。冷静だな。

「大丈夫。信用できます。きちんと確かめましたから」

適当なことを言って誤魔化す。

確かめたのは体の適正と言うか相性。二人の相性は抜群だった。


「お名前は? お伺いしたのでしょう青井先生? 」

粘るミホ先生。これは意外にも難敵だ。

ミホ先生の場合は疑ってるのとはちょっと違う。

ただ真面目なだけ。

「確か…… 名前は何だったかな…… 若い男でしたよ」

「先生怪しい! 」

アイが敏感に嗅ぎ取る。

「ははは…… 何を言ってるのかなアイちゃんは? 」

「だって…… 敢えて男と強調するのが凄く怪しくて」

「おいおい気のせいだって」

「これは何か隠してますね」

タオまでが疑いの目で見る。何て心外な。でも言い訳が難しい。


「ああそうだ。お前たちの言うとおり女の人だったよ」

もうこの際だから正直に告白してしまえ。

「ボロを出しましたね先生」

タオは追及の手を緩めない。何てことをしやがる。

「俺は良いから朝飯を早く食えっての! 」

皆で朝飯を食べるのも良いものだ。

「ちょっと先生! 」

どうにか振り切る。


「よし今日もチームに別れて行動開始! 

イントを持ってそうな者に手当たり次第。

あと三つで目標の十個だ。旧東境村はもう目の前だぞ! 」

「オウ! 」

皆気合いが入ってるな。目標が目の前に迫ったのでやる気が違う。


チームごとに動く。

「先生どうする? 」

アイが面倒だとでも言わん勢いで聞いて来る。

俺に頼らずに自分の力で何とかすることを覚えて欲しいな。

「先生! 」

タオも指示を待ってるようだ。部長だろ? 

逆に俺たちに指示するぐらいでなくてはダメだ。

「まずもう一度あの爺さんのところに行ってみよう。

町に行くのはそれからでも遅くない。急げ! 」

士気を高めようと声を張る。


Aチームはミルクの家に。

体を壊して伏せてる爺さんと再交渉。

「旧東境村まで行ってもらえませんか? 」

丁寧に思いを伝える。


              続く

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