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クルミの正体 ただのエッチなお姉さんだ!

旧東境村を知る謎の人物の怪しげな誘いを受け廃屋と化した一軒の家へ。

話し方や態度から生意気なガキだと思っていたが違った。

彼女はクルミと言う正真正銘の女の子だった。

とは言えこのまま流されるように体を重ねて良いものなのか?


ミルクってどこかで聞いたような…… 

「へええ…… 」

寒さに耐えかねて布団の中へ。

もう覚悟を決めるしかない。

好きでも嫌いでもない今さっき会った女。

求められるなら構わない。ただ欲望の赴くままに。

本当に俺はどうしちまったんだろう?

もう自分が自分ではない。そんな気がする。


「好きだよ」

男は常にこの言葉を投げかけ女を安心させる。

「好きだよ」

続けてもう一度。相手の反応を窺う。

そして許可を得たと思ったら突撃。

「嬉しい! 」

侵入を許す。


二人は時間が許す限り愛し合う。

刹那的な男女の交わり。

もう二度と出会うことはないだろう。


まずは男が上に立つ。

負けじと女が上に。

立ちつ立たれつ。

交互に入れ替わる。

まるで何かを争ってるかのように激しく忙しなく。

丁度いいところで戦闘態勢に入る。

良いかどうかを問うのだ。

気持ち良いかどうか。痛くないか確認するのだ。


「クルミ? 」

「ああん? 聞いてるんじゃねえよ! 」

「でも…… 」

「ほら早くやれっての! 」

しかしクルミはそんなの確認不要で早くやれと促す。

何てクールでワイルドなのか。

そうしてたくさん愛し合ってようやくことが切れる。


ふうこんな激しいのは何日振りだろうか?

週に一度金曜日の密かな楽しみを彷彿させる出来事。

まさかこんなことになるなんて誰が予想出来ただろう?

少なくても俺はバーで眠り込む情けない自分を想像していたがな。

第一印象は最悪だったがその分どんどん彼女に惹かれている。

クルミとの出会いは思っても見なかった奇跡だ。

俺がどんなに否定しようとこれは単なる偶然などではなく奇跡だ。


もう間もなく夜明け。

急いで帰らなければ。

「クルミちゃんの妹はミルクちゃん? 」

決して妹に興味があるのではないがどうも引っかかるんだよな。

「ちゃん付けは止めろ! ちゃん付けは! 気色悪い! 」

どうやら気に入らないらしい。かわいいと思うがな。そう言う性格なら仕方ない。


「でもミルクちゃんが…… 」

「ミルクだと! さっきから何だ。お前ミルクを知ってるのか? 」

「いや別に…… 少し気になったことがあってさ」

「だったら言ってみろ! 」

「実は…… やっぱりいいや」

まだどうすべきか自分でも分ってない。

恐らく彼女の言うミルクは俺の知っている人物。爺さんの孫娘のことだろう。

そうするとこのクルミもあの爺さんの孫娘と言うことに。


「おい! 気になるだろうが! 」

「いいからいいから。俺帰るわ。明後日…… いやもう明日か。よろしく頼むわ。

もしかしたら時間を変更してもらおうことになるかもしれないな」

格好をつけて外へ。

「おい待てってサプロウタ! ふざけるな! 」

別れを惜しみ縋ろうとする女を振り切って無理やり出て行く。


うわ…… 外はさすがに寒い。常冬地方独特の雪景色には慣れたつもりだったが。

これではすぐに風邪をひいてしまいそうだ。

服を着て急いで集落の方へ。

別に独身だし何をしようと問題ないがさすがない教師の立場ではちょっとな。


コソコソ

ドキドキ

早朝。冬のちらつく朝に鼻をすすりながら寒さに耐える。

ああやはりあんなことしなければ良かった。

罰が当たったらしい。

お世話になっている家はまだ閉まっておりドンドン言っても起きやしない。

誰でもいいから気づいて欲しい。だがこれ以上はまずいよな。

じっと待つしかない。試練の時。

ああ神様。もう二度としませんからどうか中へ入れてください。

大声では近所迷惑なので囁く。


ふわあ!

それにしても昨日はあまり眠れなかった。

クルミが寝かしてくれなかった。

しかし奴の素性を知らずに誘われるままノコノコと。

これはまずいな。反省しないといけない。

ほんの少し羽目を外したかな?

振り返れば反省すべき点は多々ある。


結局クルミは何だったのだろう?

男なら誰でもいいと言う訳ではないだろうがきっと溜まっていたんだな。

そこに俺が現れたから誘うように。

だからクルミは単なる男好きでただのエッチなお姉さんだったのかもしない。


おっと…… 今はクルミのことよりもこの危機的状況をどう脱するかだな。

皆はどうしてる?

入りたいし入らないと凍死する。

ああ誰か。誰でもいい俺を中へ入れてくれ。


                  続く

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