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接触!

ついに本題へ。

「何だと思いますか? 」

「そう言えばこんな話前にもしたな。あなたみたいな人たちがいましたよ」

マスターは仕方なくアークニン探索隊について話してくれた。


「他言無用は? 」

「ああ彼らは気にしてませんでしたから。

お客さんが心配してるようですので背中を押す意味でも。

恐らくあなた方も狙いは同じでしょう?

私は関わり合いにはなりたくないので口を閉じます。

ですがあなた方が来たと言うことは目的もほぼ同じだと見ています。

正直に告白して協力を得ろとまでは言いません。

ですがすべて漏れてると見て間違いないでしょう」


マスターは善意で教えてくれた。いくら隠そうが無駄だと言うことらしい。

前回来たのがアークニン探索隊なら当然か。それ以外が来た形跡はないのだから。


「最後に旧東境村についてご存じのことを? 」

「旧東境村? ああ伝説のあれですか…… 」

「マスターお願いだ! 何でもいいから教えてくれ! 」

懇願する。そうしてマスターの堅い口を何とか割る。

「ああだからアークニン探索隊だろ? 旧東境村はどこだって騒いでたよ。

お客さんもやっぱり探してるんだね」

まずいぞ…… 悟られたか?

「いえ…… そう言う訳では決してありません…… 」


「あの時は酷いものよ。大騒ぎして旧東境村はどこだって。

知る訳ないのに隠してると思われて嫌な思いしたな。

どうやったら行けるか知ってたら教えてやるが生憎何一つ情報がない。

奴らどうも町中で悪さしてたみたいで追われてたみたいですよ。

その後どうなったかまでは分かりませんが恐らく諦めて帰ったんでしょう。

騒がしい連中だったから清々してますよ。

旧東境村についてもそれ以上のことは分かりません。存在するかもどうか怪しい。

私の感覚ではただの伝説に過ぎず実在しないと見てます。

お客さんには悪いけどそう言うことですから。

後は町の方にでも聞いてください。

特に集落の者はよく知ってると思いますよ。

残念ですが恐らくただの伝説でしょうが調査するのは悪くない。

ただ静かにお願いします。町の者が怖がりますからね」

マスターは熱くなってつい長話になってしまう。


「そうですか…… 分かりました」

収穫はなかった。マスターは興味なさそう。

でもほぼ我々の目的は敵に読まれている。

当然か。ここに来る者はマスターが言うように旧東境村関連だからな。

どんなに言い繕っても無駄と言う訳だ。

だからって大胆に動けばやはり逆鱗に触れるだろう。

あーあ無駄足だったかな。次はミホ先生を連れて来るかな。


「マスター! カクテルお替り! 」

「ヘイ毎度。ゆっくりしていってくださいね」

うん? 人の気配がする。

昨日もそんな気がしたんだよね。後ろに立たれてる気配。そんな訳ないか。


「ねえ! 旧東境村へ行きたいの? 」

いきなり話し掛けられてビックリする。

だが後方には誰もいなかったはず。

しかもバーには俺一人。貸し切り状態のはずだが。

それなのに…… これはただの幻聴?

俺がつい念じたから都合のいい話が舞い込んできたか?


「ねえってば!」

キャップを深くかぶった厚着の服装。

ズボンはサイズが合ってないのかダボダボだ。

顔はよく見えないが少年のような声。まだ若いな。

十代で生徒たちと変わらない年頃。

ようするに幼さの抜けないガキってところかな。

俺も高校教師だからなそれくらいは分かる。

まさかマスターの子供? 似てるかどうかは顔をよく見ないと判断できないな。


「ねえってば! 答えてよ! 」

あれおかしいな…… よく聞くと女の子っぽいんだよな。

興奮すると男の子が保てなくなってるそんな気がする。

ただの思い過ごしだとは思うがな。


「ああそうだ! 君は? 何者なんだ? 」

「そんなことどうでもいいだろ? 」

口の利き方のなってないガキだ。このタイプは異世界探索部にはいないな。

「マスター。お子さんが騒いでますよ」

「いえ…… 私は独身です」

コップ磨きに戻ったマスターはこちらも見ずに答える。

当然自分の子供のはずがないか。

いや待てよ。独身って。離婚したってことも。


「この子はお宅の息子さんでは? 」

「いえ…… ですから私には息子など。

それにこの方は恐らく…… 」

歯切れが悪いマスター。

まあどうでもいいか。この子が誰であろうと。


「なあ聞いてるのか? 俺の船に乗せてやるって言ってんだろ! 」

生意気なガキに絡まれたな。これは後が大変だ。

マスターの子でないならこの子もお客と言うことになる。


                  続く

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