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途絶えた道

「ではまた明日にでも」

我々は体調を考慮してお邪魔することにした。

結局追い出される形になった。

もうこりごり。

さあこれからどうするかな?


「あーびっくりした! あの爺さん何なの? 」

「アイさん言葉使いが下品ですよ。ほら気をつけて! 」

見かねたミホ先生がすかさず注意する。

俺もアイと同意見。皆口にしないだけでそう思ってるに違いない。

アイは正直だよな。それでいて馬鹿だから何も考えずに口に出る。

他の者はマナーもあるので黙る。

これではアイだけが損することになる。

ミホ先生がいくら注意しても効果はないだろう。

あっても次にはもうない。

それが彼女の可愛いところと言いたいが困ったところでもある。

集団行動には向いてないな。だからこそ俺がフォローしてやるのだ。


「落ち着けってアイ! 手掛かりが見つかって良かったじゃないか」

「そんな呑気なこと言って! あの人が動けなかったらお終いでしょう? 」

渡しをしていたお爺さんは数年前までは現役だった。

ところが体を悪くして今は床に伏せてる状態。

とてもじゃないが渡しの復活はあり得ない。

いやこれがすべてではない気がする。他に手立てはあるはずだ。

「そうですよ先生! 何か他に手はあるんですか? 」

うわ…… 二人に責められる。ここはミホ先生に頼ろう。


「ミホ先生…… 」

「そうですよ青井先生! 」

ダメだ。ミホ先生まで俺を責め立てる。

ここは最後の手段。ミコにどうにかしてもらうか。

だがミコは異世界に近づいたと嬉しそう。無理と言ったら冗談では済まないかも。

ダメだ。皆に責め立てられてもうどうすることもできない。


「えっと…… 済まん。特に何も考えてない。

なるようにしかならないさ。さあ諦めて祈ろう」

「先生! 無責任ですよ! 」

「落ち着け。これからだ。これから皆で考えればいい案が思いつくかもしれない。

俺にだけ頼らずに自分で考えてみなさい。

これはお前たちへの宿題にしよう。ははは…… 」

どうにか誤魔化す。だがその目は俺を非難するよう。


「先生。早く行きましょう! 異世界! 」

エンジン全開のミコが大声で叫ぶ。

「止めろ! 聞こえるだろ? そのワードは禁止だ!

ここの者がどう考えてるか分からないんだぞ? 」

暴走気味のミコ。いつも冷静なミコがおかしくなってしまった。

これではこの隊は誰がまとめて行くんだ?

ああミホ先生か。


一行は別行動の二人と合流する為町へ向かった。

酷い目に遭った。ここは気分を変えて遅めの昼食を取るのが良いかもしれないな。

そんな風に考えていた俺の前に見覚えのある二人組が姿を見せる。

血相を変えてこちらに向かってくる。これは何かあったかな?

ダッシュと言うより全力疾走に近い。

まさか日課のランに励んでるのか?

俺が厳しく言ったものだから改心して走ってる?

ははは…… そんな訳ないからこれは一大事。


「おいお前たち何をやってる? どうした何があったんだ? 」

嫌な予感しかしない。俺もまさか巻き込まれるのか?

トラブルメイカーの二人。

学校では大人しいのに外では人が変わったように無茶をするカズト。

百八十度性格が変わる。

これが厄介。イセタンでは止められない。

どちらかと言えばカズト中心に動いてる。


迷惑なトラブルメイカーの二人は息を切らしながらダイブ。

先生と言ってダイブして見せるが魂胆は見え見え。

ミホ先生に抱き着こうとしている。

こんな時に何を考えてやがる? 可愛くないんだよお前らは!

目当てのミホ先生の前に行き両手を大きく開いて受け止めてやる。

カズトなどそのことに気づきアイたちの方へダイブする。

これで怒られても言い訳が立つからな。

上手い手だけどあまりにセコイ。これではモテるはずがない。


向きを変えた図々しいカズトを受け止める。

可哀想にイセタンはただ地面にダイブする羽目に。

怪我したらどうする気なのか?

後先考えない愚か者には制裁が下る。

だが地面は柔らかくて軽い擦り傷で済んだ。


ミホ先生の介抱を受けたんだ。もう目的は果たしただろう。

まったく本当に転んでもただでは起きないんだから呆れるぜ。

俺もほんの少し真似しようと思ったがイセタンの悲惨な結末に考えを改める。


                続く

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