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イント五枚目 十枚で何が起きる?

サトさんの話は衝撃的だった。忽然と姿を消したアークニン探索隊。

一体どこに? 考えられるとしたら旧東境村を発見したのかもしれない。

そうだとすればここからそう遠くないところにあると言うことか。

どおりで胸騒ぎがする訳だ。

何であれアークニン探索隊は存在したことになる。

これでアークニンのホラ話も満更嘘でもなさそうだ。

それでも信用するかと言ったらそれはあり得ないが。

アークニンを信じろと言う方がどうかしてる。

とにかく想像以上の展開だ。


うわ…… これは凄い話になって来たぞ。

これは早く立ち去った方が良いな。

誰に聞かれてるとも限らないしな。なんだかさっきから視線を感じるんだよ。

うん? 何だよアイじゃないか。脅かしやがって。


「ありがとうございました。参考になりました。ではこれで」

立ち上がろうとしたところでサトさんが制止する。

「だから泊められないとはそういう訳。もっと奥に進むと集落があるの。

その人たちは人が良いからきっと泊めてくれると思うの。

そうだ。これおまじない」

そう言ってイントを渡してくれた。

これで合計五枚に。

いつか何かの役に立つのだろうか?

ただの記念? おまじないの効果はあるのか疑問。


「それでは改めて。ありがとうございました」

「気をつけてね。この話を聞いた人はいつの間にか消えてしまうらしいの。

充分配慮したつもりだけどもしかしたら筒抜けかもしれない。

そうなったら話したこちらも危ない」

心配そうに辺りを見て回る。我々も釣られて見る。

人の影も気配もない。聞かれてはいないだろう。


「大丈夫です。充分気をつけますので」

「あそこは旧常冬村で何十年も前に合併して今の東常冬町が出来上がったのさ」

「そこには何か? 」

知り得る情報はすべておさえておこう。

「さあね。伝説やら何やらあるって聞くけどね。

あの集落と言うか離れはこの町でもちょっと異質なのさ。本当に気をつけなよ!」

まだ行くとは言ってないが気にかけてくれる。

「はい! 」

「いいかい。くれぐれも気をつけるんだよ。

どうしても泊まれなかったら戻って来な。

亭主が熟睡したら裏から入れてやるよ」


騒がしく話好きのサトさんのお陰で情報を手に入れた。

忘れる前に異世界ノートにメモしておこう。


バイバーイ!

子供たちに手を振る。

うん面白くなってきたな。旅はこうでなくちゃ。

危険と隣り合わせだからこそ燃える。

でも教師としては危険のない方がいいかな。

「よし急ぐぞお前たち! 」


もう間もなく日没。

海が見えて来た。

なぜかここには海がある不思議。

確か山を登って来たんだよな?

まさか海ではなく湖?

とんでもなくでかい湖?

どっちでもいいか。

港らしきものが見えて来た。

やっぱり海だったらしい。


山道を終え海沿いへ。

「先生怖い! 」

ふざけてアイが飛びかかる。

今ふざけてる時かよ。

「先生怖いの…… 」

今度は震えるタオが飛び込む。

おふざけのつもりか?

しかしこの震え尋常じゃない。

まさか風邪でも引いたか?

「おい大丈夫かタオ? 」

「問題ありません。でももう少しこのままで」

震えが治まるまでこうして欲しいと頼まれては仕方がない。


「まったく二人ともまだまだ子供なんだから。こんなものじゃないぞ。

異世界はもっと地獄が待ってるさ。さあ怖かったらもう帰ろうか?

明日一番に帰ればもう忘れられるさ」

二人に選択を託す。

俺はどっちでもいい。ここは中止しても仕方ないと思っている。


迷いから隙が生まれる。

周りの警戒を怠った。

初めてくる閉鎖的な場所では何が起こってもおかしくない。

それこそおかしな音を立てて追跡する者が三人も四人も。

数人のグループが気づかれないようにゆっくり間合いを詰めている。


「先生どうする? 」

「俺に聞くなって。だからこれはお前たちの……

いや済まない。俺が無理矢理巻き込んでおいて都合が良すぎるか。

もう少し時間をくれないか。異世界探索部の為にも予定の三泊まで」

「先生に任せる! 」


俺が巻き込んだばかりのに恐ろしい目に。

もはや合わせる顔がない。

ひたすら東方を目指す旅。


                 続く

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