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若女将を探せ! 朝風呂騒動記

二日目。

異世界探索隊は常冬村へ到着。

運良く村に一つの旅館に宿泊し野宿を回避。

これ以降は未定。大雑把な異世界までの地図を頼りに旧東境村を目指す。

四泊五日の予定なので現地で情報を得てサクサク進めるといいな。


ふう…… 結局昨日はあまり眠れなかった。

アイの奴が俺の心をかき乱したせいで頭はアイで一杯。

いつどうやって寝たのか正直覚えてない。

いくら俺のお気に入りでも俺からは手が出せない。当然だ。教師と生徒だからな。

それにアークニンも言ってたあのことも気になる。


それにしても昨夜のあれは何だったのだろう? 俺の妄想が生み出した産物?

ミホ先生にまず事実確認してみるか。その上でアイを問い詰める。

アイだって本気ではなかったかもしれないしな。

美人三姉妹お得意の悪ふざけの可能性も。


朝食を済ますとチップを弾み話を聞く。

「このイントはどのようなものでしょうか? 地域限定の通貨と聞いたのですが」

今手元にはイントが二枚。これがどれくらいの価値があるのか気になる。

五十代の仲居さん。黒い髪は染めてるのかな?

テキパキした女性なのだが愛想があまり良くない。

聞いてる間も手を忙しなく動かす。働き者に違いない。

だとしても手を止めて真剣に聞いてくれてもよさそうなものだが。

もちろんワガママだと言うのは重々承知。


「パンフレットがそこにあるから見なって」

それを見ても分からないから聞いてるんだけどな。

「邪魔だよ! 次の仕事があるんだからね。聞きたければ女将に聞きな。

ああ言っておくけど若女将だからね。間違っても大女将に聞くんじゃないよ。

大女将は私でも手に負えないくらいだからさ。

その点若女将は良い子さ。何でもよく聞くしね。でもぼうっとしてるって言うか。

まあいいや。若女将に頼めば喋ってくれるだろう」

マシンガンのように繰り出す仲居さん。うん切れ間がない。

これは相当溜まってるな。

感謝の言葉を述べ若女将の居所を聞くが自分で調べなとつれない。


「いいかい? 絶対若女将だからね。大女将に聞いたらどうなることか」

念を押されてもな…… とにかく聞いてみますか。

「ちなみに大女将はどちらに? 」

「知るかい! 」

「ははは…… そうですよね。では…… 」

「待っておくれ! これ失礼な態度を取ったお詫びだ。やるから受け取りな」

そう言ってイントを寄越す。嬉しいがもらう訳にもいかない。

俺はイントの意味が知りたいんであってイント自体が欲しいのではない。

だが絶対に役に立つからと譲らない。

だから何がどう役に立つか教えて欲しいんだよな。


イント一枚ゲット!

これで合計三枚となった。


「あー忙しい。忙しい! 」

口癖を続け退場する仲居さん。これは若女将もさほど暇ではなさそうだ。

「青井先生どうしました? 間もなく出発の時刻ですよ」

ミホ先生が心配になって探しに来た。

「実は若女将を探してまして。心当たりありませんか? 」

「それでしたら風呂場では? お見かけしたような…… 」

ミホ先生の言を信じて大浴場へ。

その間ミホ先生には生徒たちを集めさせすぐに出発できるように指示を出す。


風呂。風呂。若女将のいる大浴場っと。

どこだ? そうかこっちだ。

「済みません! 」

何のためらいもなく若女将のいる女風呂へ。

出発予定時刻が迫っている。構ってなどいられない。

脱衣所にはそれらしき痕が。ははは…… まさか風呂に入ってる訳ないよな。

だとすれば若女将自ら風呂掃除をしてると考えるのが妥当だろう。

都合よく解釈したかな? だがほぼ間違いない。

さあ勢いよく行きますか。


「あの済みません! 」

引き戸を思いっ切り開ける。

きゃあ!

いやあああ!

あれこの展開どこかで……

いきなり桶が飛んでくる。シャンプーまで。

痛いんですけど。刺さると危ない。

これは滑るから気をつけなくては。

一通り投げると満足したのか湯船へ。

うんデンジャラス。

湯気ではっきりとは見えなかったが美人女将と言われるだけある。

スタイルもよく神秘的だ。おしりもきゅっと上がっていて文句のつけようがない。

おかしいな? 焦ってるのになぜか冷静に分析する自分がいる。


どうやら若女将は朝風呂を頂いていたようだ。

お客が終えると従業員と一緒に入るのだとか。

今回は他の者がおらず大した騒ぎにはならなかった。

だが通報されてもおかしくないレベル。反省しなくては。

ここがいくら夜通し入浴可能でも今の時刻に若女将が入ってるとは普通思わない。


土下座と二度としないと誓約書を書いて事なきを得る。


                続く

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