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先生まだ?

旧東境村へのルートと予定表を記した異世界ノート。

これさえあれば迷うことも悩む必要もない。

まずは予定通りに最後の乗り換えへ。


「先生…… 最後の乗り換えですか…… 」

お喋りに夢中で明らかに適当に流してる二人。

「おい! 聞いてるのか? お前らも降りる準備を。置いて行くぞ! 」

タピオカ部の二人はリラックス状態でお菓子片手にお喋り。

時間を忘れ夢中で話し続けている。

仲間とのコミュニケーションはとても大切。

もしもの時に助け合う為にも情報共有すべきだろう。

それは俺たち全員に言えること。

でも無駄なお喋りしてないか?


異世界探索部の方は三人で仲良くトランプに興じる。

時期が時期だけにな。カズト? ミコ? どっちが勝つことやら。

マイペースなミコも断れずに巻き込まれた形。

「うわ待って! あともう一回! 」

部長は自分で誘っておいて勝てないときてる。

一度も勝てないとなるとこれは運に見放されたな。

逆にミコは連勝してるらしい。


こう言うところも細かくチェックし今後に生かす。

運の悪い者に任せずに運気のあるミコに選択してもらう。

トランプで勝つには運やツキもあるが冷静さや判断力。それから閃きも。

もしもの時に持っているミコに判断してもらうこともあり得る。

逆に部長君には残念だが辞退してもらう。

「ほら早くしろ! 荷物を持て! 」

「はい! 」


こうして最後の乗り換え。

時刻は午後三時過ぎ。予定よりも二十分ほど遅れている。

まだいい方で想定の範囲内。

田舎だからな。そう言うこともあり得るのさ。

一時間に一本。二時間に一本が当たり前。

それに間に合わなければ何もない駅前をぶらぶらする羽目に。

観光ならば最悪それでいいがこれは異世界を目指す壮大な旅だからな。


快速がお目見え。

と言ってもほぼ各駅停車なのだが……

本来の各駅停車は十分前に出てしまっている。

そちらに乗る予定だったが狂ってしまった。

とは言え少しぐらい遅れても問題ない。予定通りさ。

五駅もすれば追い越せるだろう。ラッキー! ラッキー!


これ以降の情報は得ていない。

終着駅が常冬駅だと言うことぐらい。

どれくらい掛かりいつ着くかまでは把握してない。

それこそここからは未知の領域。

ミステリートレインの本領発揮。

何もなければ恐らく二時間もしないうちに常冬駅だろう。



午後四時ピッタリに発車。

電車はなおも東へ東へ。


ガタンゴトン

ガタンゴトン

キーン

ガタン


電車は定刻から三十分遅れで目的地・終着駅の常冬駅へ?

降りてすぐに後悔する。

八月。夏の暑さが半端ない。

照り返しが容赦なく襲ってくる。

午前中は三十二度近く。

午後は三十五度に届こうかと言う勢い。

これではやってられない。

車内は冷房が効いており快適だ。


てっきり目的地の常冬駅だと思ったがまだだった。

切り離しが行われ軽くなった列車に再び乗り込む。


「先生あとどれくらいですか? 」

タピオカ部から矢のような催促。

早くしろとのお達し。しかし俺のせいではないしそれくらい我慢しろよな。

ガキじゃないんだからさ。

もちろんそんな風に言えば帰ると言われかねないので優しく対応する。

「ごめんな。まだだ。もう少し待ってくれるか? 」

あーもう面倒臭い。やってられない。


「お願い。先生教えて」

甘えた声を出す。

気持ちは痛いほど。でも今日はまだ一日目。ここで我慢出来ないでどうする? 

まさか本気で俺に何とかしろと言ってないよな? こういう時は…… 

「知るか! 」

「先生…… アイがお願いしてるんだよ」

くそ…… 美人三姉妹の二人からお気に入りだと聞かされたか?

だが俺も教師。甘えは許さない。ここでの甘えは命取りになる。


「だから知らん! いつ着くか運転手にでも聞いてみろ」

ここからはワンマンだから車掌も兼ねてる。

「そんな! 」

タピオカ部は文句ばかり。異世界探索部を少しは見習えよな。

ほら大人しい。特にミコは動じない。

「ごちゃごちゃ言わずに座ってろ! 」

つい強く言ってしまう。聞き分けの悪い子だ。


俺は別に聞き分けの悪い子は嫌いじゃない。

あの美人三姉妹の二人も充分聞き分けが悪いからな。

性格だってとんでもなく悪い。

でもこの通りメロメロだ。

あーあ早く金曜日にならないかな。

おっとまずいまずい。俺は何を考えてるんだ。

ついオフモードに。

願望が漏れだしてしまう。


「はい…… 」

しょんぼりする二人。

まずい…… 言い過ぎたかな?


              続く

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