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最初の乗り換え

最初の乗り換えが迫って来た。

「ほら準備をしておけ! 遅れるなよ」

ぼうっとしてる生徒たちを促す。


そう言えばミホ先生以外何も知らされていなかったっけ。

本来だったら合宿としてどっか適当に一週間ぐらい探索しただろう。

しかし直前になってアークニンから情報がもたらされた。

その上旧東境村への地図も運よく手に入れた。

直前に予定が変更になったため異世界探索に行くとだけしか伝えてなかった。

これだとまるでミステリートレイン。皆のワクワクドキドキが聞こえるようだ。

どうやら部長君は分かっていたっぽいが。


「うそ! アークニン博士のところより遠いなんて聞いてないよ! 」

カズトは元気だ。こんな明るい性格だったか?

旅行になると性格が変わる子もいるか…… 暗いよりはいいよな。


「あの先生…… アークニンて誰ですか? 」

タピオカ部には詳細は伏せていた。このまま伏せたままでいようと思う。

彼女たちに話して不快になられても困るからな。

「ああ知り合いのアークニン博士だ。

今回の旅に積極的に協力してくれたかなり変わった男だ。

見かけても決して近寄らないことを推奨する。

もし先生が言ったことを守らなければ最悪何が起こることか」

ソフトにアークニン博士を説明。

間違ってはいないので文句ないだろう。

彼女たちを無駄に驚かせたり怖がらせたりさせたくない。

機嫌を損ねて帰ると言われたら厄介だからな。


生徒たちはそのアークニン曰く重要な存在らしい。

結局ミホ先生の邪魔が入ってタピオカ部の者からは聞きそびれた。

デリケートなこととは言えいつか機会を見てきちんと確認する必要がある。

「ほら文句言うなカズト! そんな簡単に辿り着いたら面白くないだろ? 」

「だってさあ…… 」

納得が行ってないらしい。


おっと今は乗り換え乗り換え。

異世界探索隊は東へ東へと針路をとる。

さあここで特急に乗り換えだ。

ぞろぞろとミホ先生の後をついて行く。


ミホ先生には先頭を任せている。俺は最後尾で様子を見る。

子供ではないので逸れて迷子になることもないだろう。

危険なのは消えたのに気づかないこと。

いつの間にかどこかへ消えては探しようがない。

少なくても旧東境村に行くまでは俺たちで見守る。ごく当然のことだ。


「おい! ちんたら歩くな。白線の内側に下がれって! 」

旅行で気が緩んでいるせいか動きが鈍い。厳しく注意する。

特急が姿を見せた。

「うわ格好いい! これに乗るんですか? 」

大はしゃぎのカズト。異世界だけでなく電車にも興味あるのか?

俺は詳しくないぞ。


「よしあと五分で出発だ。トイレはここで済ませておけ! 

次いつ行けるか分からないからな」

だが駅のトイレは思っている以上に汚く大をする勇気が湧かない。

せいぜい小をするのがやっと。臭いも酷いと来てやがる。


「あとどれくらいですか? 」

「それはさっき言ったろ? 詳しくはミホ先生にでも聞いてくれ」

しつこくて敵わない。もう少し旅を純粋に楽しんでもらえないか?

「お弁当はどうします? 」

そう旅行にはお弁当が付き物。疎かには出来ない。

隊の不満が爆発しないようにするのも俺の大事な役割。

「そうだな。少々早いが昼にするのも悪くない。好きにしろ」

この辺は生徒の自主性に任せている。


「はい皆さんお弁当ですよ」

何とミホ先生が過保護にも人数分の弁当を買ってきてしまう。

そう言えば安全の為に非常用のカネ以外持って行かないよう決めたんだった。

落としたりしてトラブルの原因になるからな。


「早くしろお前たち! ミホ先生も急いで! 」

特急が音を立て出発。

ふう危ない危ない。何とか間に合った。

ヒヤヒヤさせやがって。

あれ…… トイレは車内にあった。何だ無理する必要はなかったな。


「お前はそっちだ! 」

「嫌だよ! 早い者勝ちだろ! 」

「だから俺だって! 」

「部長の命令が聞けないのか! 」

情けないことにどの弁当にするかで口論になっている二人。

どっちだって良いっての。大人しく弁当を食え。

「ほらそこ喧嘩しない! 」

ミホ先生が間に入り事なきを得る。

ちょっとしたことで仲間割れが起きてしまった。

後々に響かないように両方から話を聞く。

どうやら部長がカズトの弁当を横取りしたらしい。

ははは…… 元気な奴らだな。

初日から飛ばして…… この元気がいつまで続くかな?


               続く

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