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アイ バカな子ほどかわいい

常冬村編


遅れてやって来たヒロイン・アイの登場で七名に。

「行ってきます! 」

美人三姉妹の二人に見送られ異世界探索隊は旅立つ。

いつ戻って来れるともしれない異世界を探す旅。

ワクワクドキドキが止まらない。


定刻の八時二十分に電車が動き出した。

「ようやく動き出しましたね青井先生? 」

「ええ遅れることもなく無事出発。これなら予定通り行けそうだ」

「はい。一本逃すと後が大変。今日中に着くかどうか」

ミホ先生も危惧するようにギリギリのプラン。

どうせ行けば行くほど遅延は避けられないだろうからな。

予定の宿に着けなかったら最悪初日から野宿も。

出来ればそれだけは避けたい。生徒たちの士気に関わる。


ではそろそろやるか。

初めが肝心。まずは忘れ物確認と健康チェック。

「ちゃんと持ってきたなお前たち? 」

「先生! アイちゃんが忘れたそうです」

「何をだ? 」

「水筒にペットボトルだそうです」

タピオカ部の部長は責任感が強い。

アイの世話は自動的に部長が。

「よし分かった! 水筒もペットボトルも予備がある。大丈夫だ」

ふう…… この程度なら問題ないさ。

着替えが一番面倒臭いのでそれだけは避けられて良かった。


「体調不良の者はいないか? 」

「何か眠くて…… 」

ワクワクして眠れなかったと部長君。

「気持ち悪くなったらミホ先生に。次! 」

「急いで走ったから筋肉痛に」

続いてアイ。決してふざけてるのではなく真面目に答えてるらしい。


「よし皆問題ないな。では他の乗客の迷惑にならないように」

健康は問題なさそう。忘れ物も想定の範囲内。

今のところ順調と言っていいだろう。


続いて飛び入り参加のアイに今回の旅の概要を説明する。

「うわ…… 長い! 」

もう姿勢を崩して寛いでる。

美人三姉妹とは言ったものの可愛いのは最初だけ。慣れたのか生意気な口を利く。

まったく本当に先生を敬わずに何をやってるんだか。

俺の想像を遥か上を行くアイ。頭が悪い分考えなしに行動するからな。

常識もなく話すと馬鹿がばれるので大人しくしてるようにアドバイスする。

今までここまでじっくり話すことはなかった。避けられていたからな俺。


「ねえ先生。二人とは何かあったんですか? 」

「二人ってアイちゃん? 」

あまり生徒のことを愛称で呼ぶのは良くないが親しみを込めて。

部長と共にせっかくタピオカ部から来たんだから。

実際は二人の話をされたくないからだが。

「その呼び方はやめて! アイでいいよ先生」

恥ずかしそうに俯く。らしくない三女。もう忘れたな。

俺だってアイちゃんなどよりも三女と言った方がしっくりくるのだが。

誰もそんな風に呼んでないし。ミホ先生に疑われたくもない。


「おいそれ以上股を開くな! みっともないだろうが! 」

ビキニ相撲では随分恥ずかしそうにしてたのになぜか大勢の乗客がいる前で。

少しは恥じらいを持てよな。

「先生気にしすぎ! 」

もう調子に乗ってるよ。本当に困ったな。


「それにしてもミホ先生! なぜこの子たち制服なんです? 」

当日の動きや服装等の細かいことはすべてミホ先生にお任せしていた。

「はい。制服こそが学生のあるべき姿かと思いまして」

マイペースなミホ先生。

これでいいはずないだろ? せっかく探索用の機能性抜群の服があったのに。

これでは台無しではないか。

「大丈夫ですよ。きちんと持って来てますから」

「本当ですか? お前らもか? 」

確認を取る。アイ以外きちんと持参したらしい。

この際服装も格好もどうでもいい。

出来たら完全装備してもらいたかった。

そうしたらこんなセクハラまがいの注意をしなくて済む。


「先生まだですか? 」

部長君から矢の催促がある。

だからこれはそんな生易しいものではない。

それだけでも自覚してもらえたらな。

「まだだ。我慢しろ! 」

「あとどれぐらい? 」

今度はカズト。うーん敬い方が足りてない。

先生は常に敬うべき対象である。


「乗り換えにはまだ一時間以上ある。少しは我慢しろって! 」

これは何も俺のせいではない。

異世界を探そうと言うんだそんな簡単じゃない。

分かってることじゃないか? 特に部長君は異世界マニアだからな。

まったく甘えてばかりで困った奴らだ。

「うえ! ひいい! 」

「お前らそんな簡単な訳ないだろ! 」

考えられそうなものなのに俺に聞くんだからな。

少しは自分の頭で考えてくれないか。


電車を乗り継いで最終目的地の旧東境村へ。

長い長い旅の始まりである。


                 続く

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