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真夜中の実験

真夜中の二人。

いつの間にか興奮状態のミホ先生。

紙束にでも興味を惹かれたか? 

それとも異世界そのものの魅力に取りつかれたか?

俺は彼女が来た時と変わらず興奮気味。

少し眠くはなって来たがそれでも彼女が求めるなら俺はいつでも。

しかしこちらの気も知らずに紙束の研究に没頭する困った人。

いつの間にこんなに熱中するようになったのだろう?

これじゃ立場が逆転してるよ。


「では試してみましょうか」

「もう疲れました。今日はこれくらいで後は明日にでも」

「もう少し。もう少しで何かが分かるところまで。早い方が良いかと思います」

ミホ先生の言が間違ってないので否定しにくい。


我々は今、異世界への手掛かりを求めている。

しかし異世界より生還した男は本当に手掛かりを残したのか?

もしかしたらもっと別の何かを……

とは言えこの紙束の謎を解明しない限り前に進まないのも事実。


皆見てくれてるか? 先生必死に頑張ってるよ?

異世界にしろミホ先生にしろ俺に不可能はないさ。

おっと自分までハイになってる。これはまさかのラーニングハイ?


「しかし何をしたらいいか頭が回らない状態。もう眠くて眠くて。ははは…… 」

「しっかり! 」

励ましの言葉を掛けてくれる。

「それでミホ先生は何か分かりました? 」

アドレナリン全開のミホ先生と眠くて堪らない俺との夜はまだまだ続く。


紙束には異世界の標が書かれている。

要するに地図のようなもの。

アークニンによればアメリカで収監された異世界探検家によるものとされてる。

何が書かれているのか? どのような世界が広がっているか誰にも分からない。

それは書いた本人にも分からないらしい。

勝手に分からずまるっきり適当に書いた場合もあるが無意識の可能性が高い。

または夢のように書いた時は覚えてても時間経過につれ忘れてしまった場合も。

本人に分からない以上どうすることも。


「これですか? どうします青井先生? 」

興味を示す。怖いほどの情熱。

「まずは電気のスイッチを消してみるのはいかがでしょう? 」

そう言って真っ暗に。

キャアア!

防音設備があって助かった。

近所迷惑にならないように慎重に。

声を頼りに暗闇を掛け回る。


「キャア! いや! 」

捕まえようと手を広げるが見事に払いのけられてしまう。

もう一度と試す。

三度目でようやく確保することが出来た。

強引にキスのシチュエーションに持って行こうとするも断られてしまう。

早急であったのだろう。


「青井先生! もう少し真面目にお願いします」

これは機嫌を悪くしたかな。どうにか言い訳しなければ。

「ははは…… 冗談ですよ冗談。さあ続けましょう」

暗くしただけでは何も変化がない。


「どうしましょう? 」

不安を隠せずに頼ろうとする。俺に任せろと言うことらしい。

「ではいっそのことあぶってみますか」

ライターで火を着け様子を見る。

しかしやはりこれも満足いく結果は得られない。


「青井先生? 」

「ははは…… 最終手段だ。水にでも浸しますかね」

もうやけくそ。何でも試してやれ。

「待ってください! 大切な資料を水浸しにするなんてできません」

ミホ先生も大げさだな。失敗したら失敗したで諦めがつく。

何も俺たちが生徒たちの為に一肌脱いでやる必要はない。

現実を突きつける方が何倍も生徒たちの為になる。


それでもミホ先生の手前余計なことは言えない。

恐らくミホ先生は俺とは真逆の考えのはずだ。

だとしても本気で異世界があると思ってるんだろうか?

半信半疑ではなくあるなしははっきりすべき。


「やってみる価値はあるかと…… 」

「もし違ったら? 助手の方がその方法で見つけたとは到底思えません」

否定的な上に懐疑的。

「だから試そうと。アークニンだって紙束を厳重に管理していたとは思えません。

目を盗み我々のように実験を繰り返し偶然手掛かりを見つけた可能性が高い。

しかし紛失はまずいので乾かして元に戻した。そうは考えられませんか? 」

捲し立てる。ミホ先生も納得してくれるだろう。

少々汚い気もするがこれも戦略のうち。

「もう俺のものですから構わないでしょう? 」

紙束の所有権はアークニンから俺に移った。

「そうですね…… 青井先生の言う通りです。余計な口出しは慎みます」


ミホ先生が納得したことだし躊躇いなくやるとしよう。

まず例の紙を水に浸し暗くしたところで今度はライトで照らしてみる。

さあ正体を現せ!


                続く


カウント 4

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