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写真

夏部はほぼ夏にしか活動しないので引き受けたがもうこれで限界だ。

追加でもう一つ顧問を引き受けろなど無茶もいいところ。

どれだけ頼まれようと首を縦に振るつもりはない。


「残念ですが他を…… 」

「おいおい! それでは困るんだよ! 後任はぜひ君にと決めてるんだ」

勝手に決められてもこっちが困る。そんな話聞いてない。

「そんな勝手な! 俺には夏部が。彼らの指導に全力投入するつもりです」

さあこれでうまく逃れたはず。あちらはどんな手を使ってくるかな?


「まあそう言わずにこれを見てくれ」

かばんから写真を乱雑に取り出しばら撒く。

まさか俺の隠し撮り写真?

まだ結婚してないので問題ないはずだが?

それともただの写真部だとか? 

「済まん済まん。間違えた。これは家内と旅に行った時の写真だ」

テーブルの上を片付けスペースを空ける。

その上に一枚一枚写真を並べて行く。


「この子なんてどうだ? 」

被写体は明らかに少女。

しかも制服が混じってることから我が校の生徒だと分かる。

何でこんなやばいものをこの男は所持してる?

危険な匂いがする。

お宝を集めている変態教師だとでも言うのか?

どうやら付き合う相手を間違えたらしい。


「へへへ…… いいだろう? もっと見たいか? 」

自慢されてもどう反応していいか分からない。いや分かってたまるか! 

こういう趣味が一番困るんだよな。俺を仲間に引き込むのは止めろ!

先輩変態英語教師。まさか俺が同類だとでも思ってるのか?

「先生…… まさかあなた…… 」

「勘違いするな。それでどの子がいい? 」

勘違い? 果たして本当に勘違いなのか?

ただの言い訳では? しかも下手な言い訳だ。

教育委員会にもPTAにも保護者にも通用するもっとマシな言い訳を考えろよな。


「ほれこの子はどうだ? 」

それでもなお勧めてくる。

「嫌だなあ…… 私も一応教師ですよ。良いも悪いもない。

答えられる訳ないじゃないですか! 」

頭を掻き恥ずかしがる俺にさらに追加の写真を見せる暴挙。

何を考えてるんだこの人は?


「まあよく見たまえ」

「グ…… グレート! 」

「そうかそうか。君はこの子がお気に入りか? もっと見るかね?

遠慮することはない。ほらこの写真など別格だろう? 」

俺は何を見せられてるんだろう?

つい言われるまま。だがこれも付き合いの一つ。

もちろん本気じゃない。この手のが好きな奴も居ることは知っている。

我が校にもいたに過ぎない。しかも同じ英語教師。

どっぷり浸かってるのだろうな。


「いやあ…… スタイルが抜群だ。ルックスだって申し分ないですね」

「そうだろそうだろ。私もこれには自信があったんだ。

この子たちは中でもずば抜けてて美人三姉妹などと言われ方をしてるんだよ」

恐らくこの男が勝手につけたに違いない。まったく本当に困った人だ。


ああ何をやってるんだろう俺は?

これでは如何わしい店で女の子を選んでるみたいんではないか。

だが止まらない。 まるで惹きつけられるように虜になっていく。

「それでそれで? 」

「おお乗って来たな。それくらいノリが良いと重宝されるぞ」

「へへへ…… ありがとうございます」

いつの間にか相手のペースに持っていかれた。

もう訳が分からない状態。

決して惚けてるのではなくただ本心を見破られ突き動かされたから。


「よし特別サービスだ。こちらの集合写真はなかなかだろ?

信じられない気持ちになるよ。もちろん皆私のかわいい生徒たちだ」

この人いつも生徒をどんな目で見てるのか?

俺も十年後にはこんな風になってるのかな?

まるで骸骨のような見た目。いやらしい目つき。

趣味が女生徒の際どい写真。早く枯れろよなまったく。


「先生も人が悪い。ぜひ人助けさせてください! 」

つい口からぽろっと。本音ではない。これも一種の付き合い。

この場のノリって奴だ。

「いいのか? 大変ではないのか? 」

「愚問ですよ! 協力したいんです」

「愚問と来たか。よし君に頼もう。だが待てよ。掛け持ちはどうする? 」

「その件も問題ありません。私はタフですから。

それに夏部は夏が中心ですから問題ないかと。発生したらどうにかしますよ」

「そうかついにその気になってくれたか。嬉しいぞ! 」

「何をおっしゃるんです先生。顧問の一つや二つ。ははは…… 」

「君が俗物で助かるよ。本当に良い後輩を持ったよ」

俗物って言い方はないんじゃの? ただの人助け何だから。

それに一年我慢すればこの男も留学から戻って来る訳だしな。


                 続く

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