短編 24 エギゾーストな姉
こんなお姉ちゃんはどうですか?
そんな思いで書いてみた。
自分には姉がいます。普通に美人です。おっぱいもおっきいです。
そんな素敵な姉ですがひとつだけ欠点があります。
極度のヘビメタ好きなのです。
それはもうすごいです。
寝言で『ダァァァァァイ!』と野太く叫ばれた時、家族全員が飛び起きました。家の何処かでサタンが召喚されたのかと思いました。
なんか新曲を聞きながら寝オチしたみたいです。腹から出てましたね。
こんな姉なので美人でおっぱいがデカイのにモテません。ざまぁ。
何人もの勇者が姉に告白して恋人になりました。でも初デートのライブ後、全員が別れます。
『ダァァァァァイ!』です。
多分あれですね。エッチの時も『ダァァァァァイ!』とか言われると思ったのでしょう。
多分言いますね。腹から野太い声で。
自分にとっては自慢の姉なので実は誰にも渡したくないというか思いもあります。無論、どなたか相応しい方に引き取ってもらいたい気持ちも多々ございます。
優しい声で『ファッキ○ジーザス~』とお風呂で歌う姉は既に手遅れです。お風呂で野太い声は禁止されていますからね。いや、そういう問題ではないのですが。
本当に素敵な姉なんです。おっぱいデカイし、お尻も大きくて多分安産に適してる……のでしょう。きっと。無駄に大きいし。
だからヘビメタの棚に『ストレスにはこれ。ヒーリング音楽』とか『胎教に効くクラシック。男性にも効果あり』とか仕込んでみました。
いやぁ、私が好きなんですよね。
姉は棚のCDを確認すると優しく微笑んだあと『ファッキ○ジーザス~』と歌いながら勉強をし始めました。
ちくしょう! 無反応かよ!
分かっていましたが手強いです。どんだけジーザスをファッキンしたいのでしょうか。姉は処女なのに。
このままだと姉はタトゥーだらけのムッキムキな外国人と結婚してジーザスな事になりそうです。
……それもありかなぁ?
いやいや、二人揃って『ファッキ○ジーザス~』とか歌われると困ります。すごく仲良さそうだけど。
こうなったら……いっそアクセルを踏んでみる?
私が頭をモヒカンにして『ヒャッハー! 人間狩りの時間だよぉ!』と叫んで自転車に跨がりコンビニに出掛けるべきでしょうか。
私のそんな姿を見たら姉も正気に返る……はずですよね。うん。あの素敵な姉の為です。では早速発声練習から始めましょう。
「ヒャッハー! お前のニキビを私の薬指で抉れるまで潰してやろうか!」
私には妹がいます。可愛い可愛い妹です。ちんちくりんで貧乳ですがそれもチャームポイントな妹です。
妹には少し困った所があります。
シスコンです。
かなり重度のシスコンなのです。
姉として妹の見本となるべく幼き頃から身を正して参りました。ですが姉はそんなに立派な人間ではないのです。
おならもするし、うんこもします。なんなら男の裸で興奮して鼻血を噴き出したりもします。
そんな姉なのです。
ですがそんな姉が妹の中では『完璧超人』なのです。
私は下衆な女です。
とても下衆いのです。
こんな姉を目指して頑張る妹に器具姦……いえ危惧感しか感じません。
なので私はひとつの賭けに出ました。
デスメタル。
私も少しどうかと思うこれ。これを私の趣味にしてみようと思います。
ヘヴィメタルと何が違うのかさっぱりですがとりあえず叫んでるあれです。
これで妹も私を軽蔑するか蔑むようになるでしょう。姉は今日から『デスメタル姉』になるのです。
お姉ちゃんは立派な人間ではありません。わりと下衆です。授業中に『私のおっぱいで男子の顔面をビンタしたらどうなるかなー』とか真面目に考えてしまう下衆です。きっと楽しい事になりますね。
上履きを脱いで『さぁ、お舐めなさい?』とかも、やってみたくて仕方ありません。無理矢理襲われて『くっ、殺せ!』とかも言ってみたいですねぇ。襲ってきた男は玉を潰して殺しますが。
さ、妄想はこのぐらいでお買い物に出掛けましょう。
デッスメタルー。
デッスメッタル~。
とりあえず中古で良いからデッスメタルー。
あったー!
私は甘く見ておりました。
デスメタル……相変わらずヘヴィメタルと違いが全く分かりません。ですが良いのです。魂の叫びを感じます。これこそ私がずっと求めてきたもの。
『ファッキ○ジーザス~』
たまりませんね。
「ねぇ、坊や? ちょっとズボンとパンツを脱いでもらえる?」
に匹敵するパワーワードです。
こんなものが普通に中古で買えてしまう。
私は良い時代に生まれました。これなら妹もすぐに私を『ファッキンシスター』として見てくれる事でしょう。
まぁ歌い手の見た目と行動はやはりどうかと思いますが。普通に歌えよ。
こうして私はデスメタルな姉としてディープでもないデスメタニストになったのです。
そして数年が経ちました。
……妹がグレました。
妹がある日突然モヒカンになって肩にトゲパッドを着けたのです。
お姉ちゃんもそれ欲しい!
と言いそうになりました。若いうちは迷走するものです。妹もそういう年齢になったのでしょう。ですが私の大切な妹なのです。
妹よ。
あなた一人にだけ黒歴史は紡がせない。
姉も共に落ちましょう。
私はモヒカンではなくスキンヘッドにして顔に顔料を塗りたくります。白地に黒と黄色で警戒色です。
妹がトゲパッドなら……姉は全裸ですね。大丈夫。靴下を履いてれば逮捕はされません。
妹が自転車に乗ったので私は昔遊んでいた一輪車に搭乗。さぁ、我ら姉妹のシンフォニーで世界を震わせましょう。
というところで妹が泣きながら私を止めてきました。
ルーズソックスなのがいけなかったのかしら。
今回の感想。
すごい話になったなぁ。R指定せざるを得なくなったでよ。