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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

読み切り連載候補

せっかく、5年かけて準備して美少女奴隷買ったのに、何故か勘違いされて厄介なことに巻き込まれてしまったのだが

作者: 花河相

最後まで読んでくださると幸いです。


「これより!本日の目玉商品!亡国の貴族令嬢!体は清いままです!」


 その一言に周囲は歓声を上げる。

 ここはクレオス王国、ナンマルの街。ここは表では流通しない物や人を扱う……通称「闇市場」


 俺はそんな地にいる。

 会場はコンサートホールのようにスポットライトがこれからオークションの目玉となる美しい女性に当てられる。


 女性は無表情でよく見れば体は震えている。その光景をみて興奮する人間は多く、男どもは今か今かと待ち望む。

 自分がこの入札を勝ち取り今日の晩のおかずにしようと考えているゲスの連中。


 ふ、残念ながらそれは叶わんよ。


 なんせ今回の落札するのはこの俺なのだから。


「では!始めはなんと10億ギル!では会場の皆様!検討をお祈りしております!」


 その一言で始まった。

 

「なんと!10兆ギル!これは!……オークション市場最高額!……他にどなたかいませんか!………決定!96番の方に決定!」


 ふ、俺はこの日のためにひたすら金を貯め続けた。五年の年月をかけて。

 それは俺の目的のためだ。

 

 長かった。……やっとこれで。


「では!96番の方!ステージへどうぞ!」


 俺は会場から罵声や殺気を浴びせられながらも気にせずに向かう。


「美しい」


 ステージに着くと目の前にいる美しすぎる女性に息を呑む。

 腰まで伸びた長く伸びた癖のない銀髪。シミや傷が一切ない綺麗な肌、この世のものとは思えない神秘な容姿。

 年齢は10代後半から20代前半くらい。


「さぁ、行こうか」

「……はい」


 俺は笑顔で告げる。少女の目は潤っていて、震えそうになっている。

 

 奴隷商人に一括で金を払い会場を後にした。

 その後、礼服屋で彼女に似合う純白のドレスを購入し、宿屋に向かう。


 少女は道中表情は暗かった。

 ま、そうだろう。今からされることを考えれば俺も同情する。

 

 だが、それでいい。奴隷の彼女には拒否権利はない。

 ご主人様には従順なのだから。












 



 この世は力さえあればモテる。


 これ俺が幼少期より憧れの冒険者から言われた言葉だ。


 俺は国境の小さな村で育った。

 父は俺が生まれる前に死に、母親一人に育てられた。

 純粋であった俺はそんな母が大好きで恩を返すためにひたすら努力した。

 勉強を人一倍頑張った。知識があれば母のためになると思って。人に騙されることはないと。

 魔法を人一倍練習した。魔法が優れていれば食いぶちに困ることはない。冒険者で成功すれば母に楽な生活をさせられる。王国の宮廷魔法使いになれば人生は約束されている。


 だが、そんなある日村に珍しく来客がきた。

 それは冒険者と呼ばれるパーティであった。

 男一人に複数の女性がいるパーティ。

 

 みんな美男美女ばかり。

 俺はその光景に憧れを抱いた。

 そして、思い切って聞いてみた。


「どうすればあなたのようになれますか」と。


 それで帰ってきた回答はシンプルであった。


「強ければモテる、この俺のようにな!」


 俺はその言葉に感銘を受けた。

 だから、強くなるために一層努力した。

 もちろん母の恩返しのためでもあるが、魔法を訓練する理由は「モテるため」に変わっていった。


 幸い俺には才能があった。

 

 だから、人一倍努力し、成長していった。


 そんな日々を過ごし15歳となり成人した。

 俺は故郷を離れ独り立ちした。

 もちろん定期的に帰った。仕送りをした。大好きな母に会えなくなるのは嫌だからだ。



 そして、クレオス王国王都で俺は早速憧れの冒険者となった。

 王都は美女が多かった。


 強ければモテるという言葉を信じてひたすら貪欲にランクを上げ、実績を重ねた。


 そうすればモテると思ったから。

 

 だが、現実はそうではなかった。


 美女に話しかけても相手にされない。ひどい人では煙たがられ、もっと上だと通報された。


 力だけではモテることはない。

 容姿も必要であったのだと後に判明した。


 俺の容姿は平凡であった。


 母親は茶髪の綺麗な容姿をしていた。

 だが、その血は受け継がれず俺の容姿はいわゆる地味面であった。


 決して不細工ではない。


 俺は絶望した。

 何のために努力してきたのかと。

 

 俺は生きる活力がなくなった。もちろん母に不自由ない生活をさせるという目的もあるがそれは達成してしまった。

 

 

 そんなある日興味深い、話を耳にした。

 同僚の冒険者が話していた内容だ。俺は盗み聞きする形で聞いた。


 ざっくりいうと、奴隷は最高だ。という内容。


 奴隷は主人には逆らえない、という内容ではなく、奴隷の中には訳ありで売られた美女が偶に売られるという内容に俺は食いついた。


 モテないのなら金で権利を買えばいい。そうすればキャッキャうふふのことも夜の営みもしてもらえる!



 そう結論づけ、俺はその日から奴隷のことを調べた。

 

 まず、必要なのは金と奴隷オークション会場の闇市場に入るためのコネ。


 俺は目標達成のため努力を続けた。


 冒険者の最高のSランク冒険者になった。

 貴族や商人のコネを作りまくった。

 

 結果、俺は数年のかけて目的を達成した。

 

 だが、そんな中俺はある欲が生まれた。


「どうせ奴隷買うなら絶世の美女で、穢れがない女がいい」と


 それから俺は機会を伺った。

 入札を確実にするために金を集め続けた。


 そして機会は訪れた。

 オークション市場最も最高の商品だと名高い女性が現れた。


 亡国貴族の息女、しかも体は清いまま。


 俺はその女性に狙いを絞り五年かかった計画に終止符を打とうとした。














 そして、ついに目標は達成した。俺は嬉しさのあまり今夜のことを考えニヤケが止まらなかった。

 街を歩く中奴隷の女性を連れて宿屋に向かった。


 暗い街中でも奴隷の彼女は人目をひいていた。

 

「さぁ、ここが俺の泊まっている宿屋だ」

「……はい」


 少女は表情をさらに暗くしながら返事する。

 

「早速部屋に向かおう。色々……しなきゃいけないことあるし」

「……はい」


 おい、なんでそんなこの世の終わりみたいな表情してんだよ。俺が悪者みたいじゃないか。

 

「さぁ、行こうか」

「……」


 俺は彼女の肩に手を置き、優しくエスコートする。

 触れた瞬間ビクッと反応したが、今更だと思い、そのまま階段を上がり部屋に入る。


「……とりあえず、そこに座って」

「お気遣いありがとうございます。しかし、私はあなた様の奴隷です。そのような気遣いは無用です」

「そ……なら命令、そこの椅子に座って」


 彼女は椅子に座った。

 これからされることに恐怖を感じている。

 とりあえず、やることをしよう。


 奴隷には契約が必要だ。それは胸に俺の血を混ぜた特殊な液体で胸に紋章を描く。


 会場では俺は狙われていたので、安全な場所で契約したいと思い、その場で契約の手続きをしなかった。

 逃げられるかもと言われたが、俺がSランク冒険者と教えると商人は納得した。


 せっかく手に入れた奴隷だ。少しでも不安要素を残したくない。

 もしかしたら騙されて奪われるかもしれないし。


 だから俺は自分で契約することにした。


 奴隷商から渡された液体を確認。一応、本物か調べる。


「よし……本物のようだ」

「……へ?」


 彼女は俺の呟きに反応する。

 本当に挙動不審だよな。

 

「さて……少し話をしようか」

「……わかりました」

「え?」


 彼女は突然ドレスを脱ぎ始めた。

 え?なんで急に!


「何故裸になる?」

「……これから……やるんですよね?」

「え?……いや」


 なんか急に冷静になってきた。俺完全に嫌われる行動してるわ。

 そういえばまだ名前も聞いてないな。うん。

 俺は段々と震えて恥ずかしがり怯えている彼女を見て……少し話をすべきだと思った。


「と、とりあえず服を着てくれ」

「……はい」


 彼女は震えながらも再びドレスを着た。

 えっと……何するんだっけ?

 

「まだ名前を聞いてなかったな」

「……アリシア……と申します」

「そうかアリシアか。俺はギネル。こう見えてもS級冒険者だ」

「S級……」


 アリシアは目を見開いた。

 え?驚く要素あったか?


 ……何を話せば良いのだろう?

 

「「……」」


 お互い無言のまま。

 俺はアリシアの顔を見れず、自然と胸に視線がいってしまう。

 それにしても豊満な体つきをしている。

 今夜が楽しみ……あ、少し見すぎた。

 やばい!アリシア両手で胸を隠してる。

 変態だと思われたか?……あれ?そういえばアリシアの胸のところから魔力反応?


 何かネックレスをつけているのか。いや、そんなことよりまだやるべきことがある。


 奴隷契約をしなきゃ。だけど、無理やりやるのもなんか気が引ける。

 少し話をしようか。


「君のことを探していたんだ。……ある知人から(奴隷について)話を……聞いてね。いやぁ、苦労したよ。情報を集めたりお金貯めたり」

「そ、それは本当なのですか?!」

「え?……ああ。本当だ」


 なんか急に話に興味を見せ始めた?なんだ?どうしたんだ?

 

「ちなみにあなたに私のことを話したというのはどのような人物ですか?」


 ……どうしたんだよ。

 えっと奴隷の存在を教えてくれた人……か。

 

「詳細は言えない」


 人から聞いたわけではないからな。盗み聞きしただけだし。


「……その質疑応答。……あなたがお父様が言っていた……方なのですね?」

「え?…うん」


 反射的に返事をしてしまった。

 アリシアからは安心したのか、恐怖や震えは無くなっていた。


 だめだ。意味わからん。

 

 なんにせよ、これなら奴隷契約出来そうだ。

 でも、胸に奴隷の紋章描くためはしている透明なネックレスは邪魔だな。


「とりあえずそのネックレス、取ってくれないか」

「そうですね。この場では必要ありませんものね」


 アリシアはネックレスを外した。するとアリシアの体に変化が起こる。

 なんと耳が長く変化した。

 

「……え?」


 俺は戸惑う。

 だって耳が長いってエルフの特徴だし……なんでそんな偽装してたんだよ。

 アリシアは俺の反応を見て微笑み、立ち上がる。

 そのまま洗練されたカーテシーをしながら話し始める。


「改めて助けていただきありがとうございます。ギネル様、あなたのことは亡き父から聞いております。ご存知かと思いますが、私の名前は、アリシア=フォン=ウェルトリアと申します」


 ……あれ?なんか変な勘違いされてる?

 フォンってエルフの中でも王族、ハイエルフのつく苗字だよな?

 あれ?……なんか状況やばくね?

 ウェルトリアって最近滅んだって風の噂で聞いたことあるような。


「ギネル様、どうか私たちエルフを助けるため……協力をしてください」

「あ、はい」


 その後詳しい話をアリシアから聞いた。

 この世界には異種族が存在、エルフはその中の一種族。

 ある日、魔族がエルフの国、ウェルトリアを攻め込んだ。


 多くの者は捕虜にされてしまった。

 アリシアは助けを求めるために内緒で逃してもらったそうだ。

 

 だが、残念ながら人間に捕まってしまい、奴隷にされてしまったと。


 ……俺変なことに巻き込まれた?

 どうすんだよこれ。


 もう後に引けねぇよ。


最後まで読んでくださりありがとうございました。


次の連載をどうしようか考えてます。

この物語の連載版が読んでみたいと少しでも思って頂けましたら差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


ポイントはモチベーションになります。


よろしくお願いいたします。





https://ncode.syosetu.com/n0988hz/


他にも短編投稿してます。

「摩擦勇者は平穏を望む」

興味とある方よろしければ!

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