王太子殿下の婚約者の公爵令嬢に付きまとう男は、地の下から恋をする。
エルンスト・アレクトス公爵令息は、ミットス王国名門の公爵家の三男である。歳は18歳。顔立ちは黒髪黒目の平凡なその辺にごろごろいるような顔立ち。
今日の授業を終え、王立学園の庭に自分を待っている馬車に向かって足早に歩いていた。
空は夕闇が迫っている。
自分の家の公爵家の紋章のついている馬車を見つけ、そこへ歩を進めようとすると、一人の男性に呼び止められた。
生徒ではない。その男はエルンストに向かって礼儀正しく、
「コレティトス公爵家の者でございます。フィレンティーヌお嬢様がエルンスト様と話がしたいと申しております。」
フィレンティーヌお嬢様?
フィレンティーヌ…
これはまずい。非常にまずい。ばれたか?ばれたのか?
逃げたら逃げたで余計に疑われるであろう。
指示される馬車に乗り込めば、そこにはフィレンティーヌがメイド二人と共に座っていた。
異性と二人きりで会うのは不貞を疑われる。彼女は婚約者のいる身だ。
そこでメイドを配置したのだろうという事はよくわかった。そして、フィレンティーヌは不機嫌そのものの表情をしている。
フィレンティーヌ・コレティトス公爵令嬢。
この王国の王太子の婚約者でもあるこの令嬢は、それはもう、美しい銀の髪にエメラルドの瞳の令嬢だ。
白い肌にきつめの整った顔立ち。そして女神のごとく高貴で品がある。
眉を寄せるその表情もまた、美しい。
フィレンティーヌはエルンストを見ると問い詰めるように、
「エルンスト様。貴方は、わたくしに対して付きまとっているのではなくて?」
苦情を言ってきた。
エルンストは慌てた。何故ばれた?どうしてばれた?
「た、確かに…付きまとっているかもしれないけれど…だからって…」
「わたくしは王太子殿下の婚約者なのです。貴方のような得体のしれない男性に付きまとわれているなんて…きっぱりとやめて頂きたいわ。」
「それにしても、どうして付きまとっているってばれているんだ。」
「だって貴方…わたくしを下から覗いていたじゃない?違うの。解るわよ。」
「どきっ…どうしてそれが解った?」
「わたくし、気配には敏感なのですわ。わたくしがお気に入りの王立学園の中庭で本を読んでいると、いつも足元から気配を感じるのです。ですから、わたくしは…エスカレートする前に、貴方に苦情を言いたかったのですわ。」
「いや、あの中庭は俺のお気に入りの場所で。」
「いえ、わたくしの方が先に見つけた中庭ですわ。」
フィレンティーヌは睨みつけてきて、
「それを足元から覗くなんて、わたくし、スカートを履いているのですよ。」
「スカートを履いているのは解っている。でも。まさか、下着一枚じゃないだろう?ほら、覗かれても大丈夫なように、下着の上に履いていると思うんだけれども。」
「貴方は下から覗いているから知っているのではなくて?」
「うっ…そりゃその…俺だって男だから、令嬢のスカートの中身は気になり過ぎて。」
「でしたら、そうね。しっかりとアレクトス公爵家に苦情を言わせて頂きましょう。」
「それは困るっ…令嬢の足元から覗いていたなんて父上母上に知れたら。」
「だったら、あの中庭はわたくしに譲りなさい。そして二度と、わたくしに付きまとわないと約束して下さらない?」
「ぐっ…」
唯一の楽しみだったのだ。
中庭のベンチで本を読むフィレンティーヌの足元から、その気配を感じ、その空気を共有し、かぐわしいフィレンティーヌの香をかいで。
ルイド王太子殿下の婚約者だという事は解っている。
でも、好きという気持ちを止められない。
フィレンティーヌにきっぱりと宣言される。
「わたくしは、婚約者のいる身なのです。二度とわたくしに近づかないように。」
アレクトス公爵家の兄達にその事を話せば呆れられた。
両親は領地に戻って、今、公爵家には身内は兄達しかいない。
長兄のレッドルは、
「令嬢の足の下から覗いたんだ。そりゃ、相手も怒るだろうよ。」
彼は騎士団で活躍する金の髪の美男だ。女性達にモテて、かつ、騎士団長からも可愛がられており、将来有望な男だ。
「女性には礼儀を尽くさないといけませんよ。」
そう言って来たのは、青い髪の次兄のロディーマ。
王宮で宰相の下で働いており、将来の宰相候補と言われているこれまた、優秀な兄である。
エルンストはハァとため息をついて、
「ちょっと、地に潜ってくる。」
エルンストは実は地の竜である。幼い時に兄達と共にアレクトス公爵家に預けられた。
竜達にとって自然界は暮らしにくくなっている。
人間として、暮らせるようにと…三人はアレクトス公爵家の養子になったのだ。
だから、地の下にもぐっているときが一番、癒されるエルンスト。
王立学園の昼休みでも、人の姿で地の下に潜って、のんびりするのが楽しみで。
その中庭のベンチに現れるのが、フィレンティーヌ。
あまりの美しき令嬢の足の下に居られる変態的な幸せを感じるようになったエルンスト。
言葉を交わすことは出来なくても、こうしていられるだけで。
彼女の気配を感じ、その香りを感じるだけで、とても幸せで。
それなのに、ストーカー扱いされて、近づかないでと言われるなんて。
公爵家の庭に、もぞもぞと潜り込んで、考えを巡らせる。
ああ…あんな美しい女性が自分の妻だったら人生がとても幸せだろうなぁと…
しかし、彼女はルイド王太子殿下の婚約者なのだ。
手を伸ばしても届かない…
あれ?最近、ルイド王太子殿下は、他の女性と一緒によくいなかったか?
これは…探ってみる価値はありそうだ。
エルンストは、ルイド王太子とその一緒にいる女性の間柄を探ってみることにした。
翌日、王立学園の校舎の片隅で、ルイド王太子殿下とマリアという男爵令嬢がイチャイチャちゅっちゅしている。
「ああ、愛しのマリア…私は君と結婚したい。」
「嬉しいですわぁ。マリアも、王太子殿下のお妃さまになりたい。うんと贅沢したいのよ。」
「勿論、マリアに苦労はさせない。」
二人で抱き合って、キスをしながら、愛を囁き合っているのだ。
その足の下で、様子を伺うエルンスト。
これは…もしかして自分にもチャンスが?
自分はこれでもアレクトス公爵家の三男である。
家柄的には問題がない。
え?種族が違う?
愛の前にそんなの些細な問題ではないだろうか?
竜と言っても、寿命は人間と変わらない竜である。
ただ、竜というものは空や水や地の中を、移動するのが好きというだけの…
可愛い可愛い生き物だ。
心を込めて説得すれば、フィレンティーヌと婚約を結べるかもしれない。
エルンストの心は希望に燃えた。
ふと、不穏な話を耳にする。
「ねぇ、私、フィレンティーヌ様に虐められているの。本を隠されたり、階段から突き落とされそうになったり。」
ルイド王太子は、マリアの言葉に、その豊満な胸をガン見しながら、
「そういうのって古いぞ。あちこちの王国で、それを言い訳にマリアみたいな男爵令嬢と仲良くなった王族が、婚約者の公爵令嬢と婚約破棄をして、廃嫡されているって聞いた。」
「ええ?古いの?」
「そんな子供じみた事を父上が信じると思うか?」
「確かにそうねぇ。私は、王妃様になれればいいの。」
「私はマリアの事を愛しているっーー。でも、男爵令嬢は王妃にはなれないらしいぞ。」
「えええええっーーー。マリア大ショック。王妃様ってニコニコしていればオールOKでしょう。」
「まずはフィレンティーヌと婚約破棄をだな。お前を虐めたなんてネタは弱い。もっと強烈な何かはないものか…」
「それなら、フィレンティーヌ様が不貞すればいいんじゃなーい?」
「罠か。」
大変だ…フィレンティーヌが不貞をでっちあげられて、断罪されてしまう。
フィレンティーヌはそんな女性ではない。
中庭にいる時だって真剣に本を読んでいたし、とても真面目な女性だ。
女性の不貞にはとても厳しいミットス王国。
婚約者がいながら、不貞をした女性には、それなりの罰が下される。
結婚していて不貞をした女性は死刑、婚約している間に不貞をした女性は僻地での強制労働。
結婚している男性と不貞をした未婚の(婚約者のいない)女性は、相手が既婚者だと解っている段階で、修道院。そして婚約者のいる男と不貞をした(婚約者のいない)女性はそれなりの慰謝料の支払い。
女性に対してだけそのように厳しく決められているミットス王国。
土の中から、エルンストは思う。
ちょっと、そこのマリアって言う女。お前こそ、婚約者のいる男と不貞を働いているんじゃないのか?
そりゃ、訴えられて公になれば、慰謝料の支払いは王太子がするだろうけれども…
それよりも、フィレンティーヌに不貞の冤罪がかけられたら、僻地での強制労働だ。これは、非常にまずい。
彼女をなんとしても助けたい。
これまで以上に彼女の傍にいなくては…しかし、地の竜は地面がないと、潜れないのだ。
なんて不便なのだろう…
彼女に危害が加えられないように、人の姿の時でも、彼女の事を見守ることにした。
朝、彼女が公爵家を出て、馬車で王立学園に通う時間に合わせて、彼女の家の門の前で待ち伏せていた自分は地に潜って、その後をつけていく。
地の竜にとって、地面は海のような物だ。
学園について建物の中に入ってしまったら、地に潜れないので、彼女の後をつけて、教室へ行く。
幸い、同じクラスなので、なんの違和感もなく、教室の中で、彼女を見守ることが出来る。
不貞の罠から彼女を守らなくては。
中庭では、ちょっと距離を取って、彼女を地の中から見守る。
足元にいたらバレてしまうので…ここは紳士らしくちょっと離れた地から…
中庭で読書をするフィレンティーヌは、本当に美しくて…
ああ、彼女の足元に行きたい。
もっと近くで彼女を感じたい。
中庭のフィレンティーヌに近づく不穏な男っ。
平民のクラスの男子生徒二人が、フィレンティーヌのベンチの両脇に座って、
「なぁ、綺麗なお嬢さん、俺の相手をしてくれよ。」
「な、なにをするのですっ。」
「いやいや、僕の相手をしてくださいよ。」
フィレンティーヌに何をするんだっーー。
思いっきり、地から飛び出て、二人の男達の前に行き、
「フィレンティーヌに何をするっ。」
「なんだ?お前は?」
「僕らはお嬢さんと仲良くしようとしているだけですよ。」
「婚約中の女性が不貞を働くと、強制労働になるって知っての事か?」
フィレンティーヌは、エルンストの傍に来て、その後ろに隠れ、
「わたくしは、この二人に誘われただけですっ。」
エルンストは頷いて、
「ええ、見ていましたから。フィレンティーヌには手出しさせない。」
二人の男性達の足元の地が、ずぶずぶと沈み始める。
「な、なんだ?」
「足元がっ?」
「誰に頼まれた?」
首まで地に浸かった二人に聞いてみる。
二人は真っ青な顔をしながら、
「王太子殿下にっ…」
「俺たちは不貞をしても罪にならないけど、フィレンティーヌ様は罪に問われるでしょ?だから…王太子殿下に頼まれて。」
「しばらくそこで反省していろ。」
フィレンティーヌの手を握り締めて、その場を立ち去るエルンスト。
あの二人を騎士団へ差し出しても、ルイド王太子が二人の事を知らないと言えば、こちらが王族を陥れようとしたと断罪されかねない。
悔しいけれども訴えられない。
フィレンティーヌの事を心配する。
「危なかった。怪我はないか?」
フィレンティーヌは、エルンストを見つめて礼を言ってきた。
「大丈夫ですわ。助けて下さってありがとうございます。」
「いえ…」
「それにしても、あれだけ、わたくしに近寄るなと苦情を言ったはずですが?」
「いやその…あの…」
「ああ…わたくしは、ルイド王太子殿下に嫌われているのですね。あの二人はルイド王太子殿下の命で…薄々は感じていましたわ。」
悲しそうなフィレンティーヌを背後から抱きしめたくて、
でも、それこそ不貞になってしまうので、ぐっと我慢をし…
「フィレンティーヌ。」
「貴方には感謝しかありません。ありがとうございました。」
背を向けて行ってしまうフィレンティーヌ。
これ以上、何も出来ない自分が悔しかった。
それから一月経ったが、何事も無く、相変わらず、フィレンティーヌを守りながら、恋心を募らせていく、エルンスト。
王宮勤めの次兄ロディーマが久しぶりに屋敷に帰って来た。
何でも仕事が忙しくて王宮に缶詰めになっていたとの事。
三兄弟、久しぶりに朝食時に顔を合わせる。
朝から肉汁の滴るステーキを食べながら、ロディーマはにこやかに、
「面白い法案が可決されたぞ。王宮の法律改正会議でな。」
「え?兄上。どのような?」
「男女平等。今まで女性だけが厳しかった不貞に対する法律が、男女平等になったという事だ。結婚しているのに不貞を働いた男性は死刑、婚約している間に不貞をした男性は僻地での強制労働。結婚している女性と不貞をした未婚の(婚約者のいない)男性は、相手が既婚者だと解っている段階で、玉抜き。そして婚約者のいる女と不貞をした(婚約者のいない)男性はそれなりの慰謝料の支払い。」
「…なんか、平等でないような事を聞いた気がするけれども…」
「さぁ、気のせいだろう。気のせい。」
という事は、不貞がばれた時点でルイド王太子は強制労働…いかに王族といえども、免れまい。
しかし、どうして急に男女平等法案が通った?
ロディーマは、
「知らなかったのか?コレティトス公爵は宰相だからな。娘に泣きつかれたのではないのか?ルイド王太子は、宰相の娘フィレンティーヌ嬢と婚約していたからな。彼はどうも不貞を働いていたらしいぞ。宰相は訴えたと言っておられた。」
父親を動かして法律を変えさせた?
ロディーマは言葉を続ける。
「だから、フィレンティーヌ嬢は、ルイド王太子殿下有責で婚約破棄をしたそうだ。」
「え?そうなのか…」
これは自分にチャンスが回ってきたのではないのか?
長兄のレッドルは、
「まぁ頑張れ。お前にもチャンスは回って来たんだ。チャンスの神様は後ろ髪が禿げているという。ここはしっかりとしないとな。」
「兄上。頑張ってきます。」
兄達に応援されて、いざ、フィレンティーヌに告白しようとすれば、
王立学園の教室にいるフィレンティーヌの周りには、婚約者のいない令息たちが群がっていた。
「是非、お近づきになりたいと…」
「いえいえ、我が公爵家と婚約をっ…」
ひえっ…これは彼女に近づけないな…
おろおろしていたら、ルイド元王太子と、男爵令嬢マリアが、教室に飛び込んできた。
二人は喚きたてる。
「ああ、マリアとの不貞が暴かれて、私は廃嫡されてしまった。すべてお前のせいだ。」
「貴方の差し金でしょうっ。どういう事なのっ?」
フィレンティーヌは平然と、
「法の罰が下されたまでですわ。ルイド様は強制労働所、マリアにも慰謝料の請求が行きますから、そのつもりで。コレティトス公爵家を敵に回したのです。覚悟はおありでしょう?」
「貴方のせいでぇ、私は王妃様になれないっ。」
フィレンティーヌに掴みかかろうとするマリア。
その腕を捕まえて、エルンストはきっぱりと言う。
「男爵令嬢はどっちにしろ王妃様になれなかったんだろう?悪巧みが成功しなくて残念だったな。」
「え?どうしてそれを…」
青くなるマリアとルイド元王太子。マリアを学園の警備兵に手渡して、
「公爵令嬢に危害を加えようとした。騎士団へ。」
「はっ…」
マリアは連れて行かれる。
ルイド元王太子は、膝から崩れ落ちて、
「強制労働所送りは嫌だ。助けてくれ。フィレンティーヌ。」
フィレンティーヌを見上げて縋った。
フィレンティーヌは一言。
「男女平等法案が通ってよかったと思いますわ。婚約者がいながら、不貞をしていらしたのです。強制労働所でじっくりと反省なさればよろしいですわね。」
ルイド元王太子は力なく、教室を出て行った。
彼はまもなく、強制労働所送りになるだろう。
フィレンティーヌは、エルンストに、
「貴方にはまた、助けられましたわ。ありがとうございます。」
「いえ、どういたしまして。」
今こそ、勇気を出して…長き思いを告白すべきだ。
「あの…ずっとフィレンティーヌの事が好きだった。フィレンティーヌ。改めて、あの…私を新たなる婚約者として考えてくれてもいいかな…」
フィレンティーヌはにこやかに笑って、
「お断りしますわ。足元から覗く殿方なんてもっての他です。」
思いっきり振られてしまった。
屋敷に戻って、二人の兄達に慰めて貰いながら、夕日に向かって叫んだ。
お日様のばかやろーーーって。そして、大泣きした。
地の竜のはずなのだが、何故か、空がにわかに曇って、夜に大雨が降った。
落ち込んで、大好きな地の中に潜るのをやめたいと思った。
だけど、翌朝、朝日が差し込むベッドで、すっきりした目覚めを迎えて。
地に潜りたくなった。
ああ、やはり…足元から覗くのはやめられない。
彼女の傍に居たい。
今日も学園の中庭で本を読むフィレンティーヌ。
いつにも増して美しい。
新たに婚約者は誰にするんだろう…
彼女の足元でそう思いを巡らせていると、声をかけられた。
「足元から覗く殿方は嫌と申し上げましたでしょう?」
フィレンティーヌの足元から顔を出して、その洒落た焦げ茶のヒールを履いた足先に口づけを落とす。
「どうしても君の傍から離れられなくて。」
「仕方のない方ね。わたくしと婚約したければ、コレティトス公爵家に正式に申し込みにいらっしゃい。待っているわ。」
「え??」
地面から飛び出て、フィレンティーヌを抱きしめる。
「いいのか?本当に?」
「ええ…だって、一生、他人に足元から覗かれていたら落ち着きませんもの。
夫ならば諦めもつきますわ。」
「ありがとう。フィレンティーヌ。」
後に、フィレンティーヌと正式に婚約を結んだエルンスト。
堂々と、中庭のベンチで、彼女の隣に座り、共に話をし、王国の未来について語る時間は幸せだ。
え?浮気はしないのかって?
婚約している間に不貞をした男性は僻地での強制労働だからね。
ルイド王太子殿下は、今、僻地で強制労働をして苦労しているらしい。
マリアという男爵令嬢は、高額な慰謝料が払えないとかで、男爵は爵位を売って、彼女は平民落ちしたらしいよ。
まぁこいつらの事なんて、もう些細なことだ。
何よりもフィレンティーヌが愛しくて…
幸せを感じながら、良く晴れた青い秋の空を、フィレンティーヌと共に眺めるエルンストであった。